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青島顕さん「第21回開高健ノンフィクション賞」受賞作『MOCT(モスト) 「ソ連」を伝えたモスクワ放送の日本人』が刊行

今年7月に発表された未発表のノンフィクションを対象とする公募の文学賞「第21回開高健ノンフィクション賞」を受賞した、青島顕さん著『MOCT(モスト) 「ソ連」を伝えたモスクワ放送の日本人』が書籍化され、集英社より刊行されました。

 

ソ連から日本へ発信される謎のラジオを支えた日本人たち!

 
【あらすじ】

MOCT(モスト)とは、ロシア語で「橋」「架け橋」のこと。

書籍カバーの写真は、モスクワ市ピャートニツカヤ通り25番地にあったモスクワ放送。
その6階に「日本課」はあった。

東西冷戦下、そこから発信される日本語放送。
その現場では、少なくない数の日本人が業務を担っていた。

彼らはどんな人物だったのか。
そして、志したのは報道だったのか、プロパガンダ(政治的宣伝)だったのか。
それとも、両国に「MOCT(架け橋)」を築くことだったのか……。

 
(登場人物の一部)
・東側ではご法度のビートルズを流した元民放アルバイトの男。
・戦時中、雪の樺太国境を恋人と越境した名女優。
・シベリア抑留を経て、迷いに迷って残留した元日本軍兵士。
・ソ連亡命後に帰国。ロシア語学校を開設し、後進の育成に尽力した、謎のロシア語使い。
・ラジオを愛して、早逝した女性ロック歌手。
・「とにかく酷い目にばかり遭った。それでもロシアを信じたい」と語るアナウンサー。
……など。

 
<選評より(五十音順)>    

書き手の静かな理性の膂力(りょりょく)に触れた読み手の心は、快い驚きに満たされずにはいられない。
――加藤陽子さん(東京大学教授・歴史学者)

ソ連(ロシア)の国策メディアであるモスクワ放送にかかわった日本人たちの有為転変を丹念に浮き彫りにしていて、最も好感が持てた。
――姜尚中さん(政治学者)

反ロシア一辺倒の時代だからこそ、争いから独立した市民レベルの「MOCT(架け橋)」を考える本作。未来へと続く橋となった。
――藤沢周さん(作家)

どんな厳しい制約がある時代にも架け橋になろうともがく人たちがいる。青島記者もそのひとりかもしれない。
――堀川惠子さん(ノンフィクション作家)

 

著者プロフィール

青島顕(あおしま・けん)さんは、966年生まれ、静岡県静岡市出身。小学生時代に東京都へ。早稲田大法学部卒業。1991年、毎日新聞社に入社し、西部本社整理部、佐賀、福岡、八王子、東京社会部、水戸、内部監査室委員、社会部編集委員、立川などでの勤務を経て、現在は東京社会部記者。

共著書に『徹底検証 安倍政治』(岩波書店)、『記者のための裁判記録閲覧ハンドブック』(新聞通信調査会)。本書が初の単著となる。

 

開高健ノンフィクション賞について

開高健ノンフィクション賞は、日本のノンフィクション文学に大きな足跡を残した作家・開高健さんを記念して創設された公募の文学賞です。集英社と一橋綜合財団が主催し、受賞者には賞金300万円(単行本化の際は別途印税)が贈られます。

従来の枠にとらわれない、広いジャンル、自由なものの見方・方法によるノンフィクション作品を募っています。

 

 
【関連】
開高健ノンフィクション賞 | 集英社

 


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