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お金は通用せず、文字もない世界――ブラジル先住民の暮らしに私たちが今を生き抜くヒントがある!『アマゾンのふしぎな森へようこそ!』が刊行

アマゾンの森で先住民と2000日以上にわたり生活をともにした南研子さんの著書『アマゾンのふしぎな森へようこそ!――先住民の声に耳をすませば 』が合同出版より刊行されました。

 

アマゾンの森で先住民と2000日以上にわたり生活をともにした南研子さんが見て聞いて体験したこと

日本から2万キロ離れたブラジル・アマゾンの森の中、なかまとともに、森の生き物とともに、あらゆる精霊とともに“あるがまま”の暮らしを営む人びとがいます。

電気もガスも水道もない、お金は通用せず、文字もないけれど、人びとは豊かな文化を受け継ぎ、それぞれが自分なりの心地よい暮らしを送ります。

 
偏見や差別、森や文化への攻撃などの事態にも、全員が納得するまで議論を交わし、村全体で答えを出し対応してきました。

例えば、地球規模の気候変動の影響で、熱帯林はカラカラに乾燥し山火事が頻発しています。そこで先住民はブラジル社会から技術を学び消防団をつくり、予防から消火まで自分たちでおこない、森を守ります。

 
「ジャングルがなくなればインディオは死ぬ。そしていずれはお前たちの社会も滅びる」
――34年前のラオーニ(カヤポ族の長老)の言葉(本書 P.20)

 
「この地球は限りある資源でバランスよく保っているのに、そのテンポを早めたら、自然の決まりごとが崩れてしまう。そのツケは必ず人間に回ってくるというのに」
――メガロン・チュカハマエ(カヤポ族のリーダー)の言葉(本書 P.153~154)

 
氷河期にも緑のジャングルが残り、たくさんの生き物の避難場所となったアマゾンの人びとの知恵に、日本に暮らす私たちが持続可能な社会をつくり、人新世を生き抜く答えヒントがあります。

 

巻頭カラー口絵(8ページ)アマゾンの大自然、”あるがまま”の暮らし、豊かな文化、現代社会の問題に立ち向かう人びとの姿を見て感じてください!

先住民のくらすアマゾンの森は、色鮮やかなオウムたちが空を舞い、木に目をやるとナマケモノと目が合い、川の中洲でワニが日向ぼっこ、カメやカワウソが遊びにきていて、遠くの方にはヒョウは水を飲みにくるという、まるでおとぎの国のような場所です。

先住民の人びとが生活で使用するすべての物は丹念な手仕事によるものです。感じる力に従い、「きれい」という価値のために日用品やアクセサリーを作ります。

先住民の人びとは自分たちの手で森を守り、伝統のくらしを未来につなぎ続けます。「自治」や「権利」という言葉はありませんが体現しているのです。

「アマゾンの自然と先住民の文化を守るなかまになってくれるとうれしい」とカヤポ族のリーダーメガロンは言います。

 

本書の構成

この本を読むみなさまへ

第1章 ブラジル・アマゾンの熱帯林へようこそ
アマゾンまでの道のり/さまざまな生き物とともにくらす/アマゾン流の動物との接し方/アマゾンの巨大生物たち/自然の脅威に命のピンチ/歌手スティングのワールドツアー など

第2章 アマゾンの人びと、アマゾンのくらし
アマゾンでの一日/音を立てて沈む太陽/お墓が真ん中にあるドーナツの形をした村/呪術師の活躍/毛がフサフサ生えてくる薬草!?/植物と話ができる呪術師 など

第3章 精霊とともにくらしがある
目には見えないけど感じることができる存在/星空の下の出会い/よい精霊と悪い精霊/厳しい女の子の通過儀礼と女の祭り/勇気を試される男の通過儀礼/アマゾンのアート など

第4章 みんなでともに生きる先住民の社会
インディオの村のしくみ/お金が通用しない社会/子どものころからなかまとともに/キャラメルを3つに噛み分けた女の子/なかまはずれもない/文字はない/体の内なる声を聞きなさい など

第5章 アマゾンで起きていること
アマゾンの自然を守るインディオたちのブラジルでの立場/インディオとして生きる難しさ/インディオの若者による消防団が森を守る/経済自立に向けてハチを飼う など

第6章 地球を守るためにアマゾンの森の声を聞いて
アマゾンの森から見えるブラジル社会の現状/アマゾンの鉱物資源と開発/アマゾンの熱帯林は「地球の肺」/私たちになにができるの?/アマゾン支援はお金が必要 など

日本のみなさんへ──メガロン・チュカハマエ(カヤポ族のリーダー)

あとがきにかえて──“あるがまま〟のアマゾン文化とともに、これからも

 

著者プロフィール

南研子(みなみ・けんこ)さんは、特定非営利活動法人熱帯森林保護団体(RFJ)代表。

女子美術大学油絵科卒業。大学卒業後、NHK「ひょっこりひょうたん島」などの番組で美術制作を担当。1989年イギリスの歌手スティングのツアーに同行したアマゾンの先住民のリーダー、ラオーニと出会ったことがきっかけで、熱帯森林保護団体を設立。1年に数カ月をアマゾンのジャングルで先住民とともに暮らし、支援活動を続けている。2014年1月に毎日新聞「地球未来賞」を受賞。

著書に『アマゾン、インディオからの伝言』(2000年)、『アマゾン、森の精霊からの声』(2006年、ともにほんの木)がある。

 

 


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