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岡本好貴さん「第33回鮎川哲也賞」受賞作『帆船軍艦の殺人』が刊行

第33回鮎川哲也賞を受賞した岡本好貴さんの「北海は死に満ちて」が『帆船軍艦の殺人』と改題のうえ、東京創元社より刊行されました。

 

3年ぶりの鮎川哲也賞受賞作は本格ミステリの原点にして最前線!

東京創元社が主催する文学新人賞「鮎川哲也賞」。第30回の『五色の殺人者』以来2回連続で「受賞作なし」という結果でしたが、今年は3年ぶりに受賞作が決定。選考委員の辻真先さん、東川篤哉さん、麻耶雄嵩さんらが選出した注目の作品です。

 
時は1795年、国王の勅令により英国海軍の戦列艦ハルバート号は北海を目指し帆を上げた。士官、水兵、そして強制徴募された一般市民を乗せて航海を続けるが、艦内で不可解な殺人が発生し――。

海上を征く巨大な〝密室〟で相次ぐ、人知を超えた不可能犯罪を描いた傑作本格ミステリです。

 
著者の岡本好貴さんは1987年生まれ、岡山県出身。本作の冒頭に「受賞の言葉」として選考委員への感謝やこれからの執筆の決意などが述べられています。
また、巻末では選考委員各氏の選評も掲載されています。

 
【あらすじ】

1795年、フランスとの長きにわたる戦いによって、イギリス海軍は慢性的な兵士不足に陥っていた。戦列艦ハルバート号は一般市民の強制徴募によって水兵を補充し、任務地である北海へ向けて出航する。ある新月の晩、衆人環視下で水兵が何者かに殺害されるが、犯人を目撃した者は皆無だった。逃げ場のない船の上で、誰が、なぜ、そしてどうやって殺したのか?

フランス海軍との苛烈な戦闘を挟んで、さらに殺人は続く。水兵出身の海尉ヴァーノンは姿なき殺人者の正体に迫るべく調査を進めるが――海上の軍艦という巨大な密室で起きる不可能犯罪を真っ向から描いた、第33回鮎川哲也賞受賞作。

 
<『帆船軍艦の殺人』を刊行前に読んだ書店員さんから絶賛の声が続々と!>

◆逃れられない運命が転がり続ける先に何があるのか?迷える人生、友情、守りたいもの、連続殺人の謎を追い、危機にまみれるノンストップミステリーを突破せよ!
――うさぎや矢板店 山田恵理子さん

◆平穏に暮らしていた靴職人のネビルが突然、戦艦に強制徴募され水兵にされてしまう緊迫の冒頭シーン。読者も否応なく物語に強制連行されます。緻密で刺激的な冒険ミステリー。ここ最近読んだ中のベストテンに面白い小説です。
――ブックポート203栗平店 齊藤愛美さん

◆当時の地獄のような帆船軍艦の生活に、突然放り込まれてしまった主人公のネビルくんにめちゃくちゃ同情しました。そこに密室殺人が起き、海戦まで襲い来るなか、どうか生き延びてくれと、祈るような気持ちでハラハラしながらページをめくりました。
――宮脇書店松本店 月元健伍さん

◆英国海軍の苛烈で不条理な日々の中で、浮き彫りになる水兵と上官たちの人間性、そしてその奥底に隠れていた論理の輝き、ラストに用意されていた意外な展開、雰囲気のあるストーリーテリングでぐいぐいと読まされました。これが日本人の作家のデビュー作だなんて信じられないような、物語の世界観がきっちりと組み立てられた、頭の中に映像が浮かんでくるような作品でした。
――丸善ヒルズウォーク徳重店 熊谷由佳さん

◆軍人、水兵、軍艦と馴染みのない世界観だったが、丁寧に描かれていて、世界にすぐに入り込めた。戦闘シーンも臨場感たっぷりでたまらなく面白かった。船上ならではのトリックもおおお!!と唸ってしまった。
――未来屋書店明石店 大田原牧さん

◆・ラストにかけての、驚愕止まらぬ怒涛の展開に、ただただ絶句。恐怖を凌駕する興奮に、夢中でページをめくり続けました。過酷な時代の荒波を乗り越えるような、圧巻のネイヴィーミステリ!
最高でした!
――紀伊國屋書店福岡本店 宗岡敦子さん

 

著者プロフィール

岡本好貴(おかもと・よしき)さんは、1987年生まれ、岡山県出身。鳥取大学大学院修了。

2023年「北海は死に満ちて」で第33回鮎川哲也賞を受賞。タイトルを『帆船軍艦の殺人』と改題のうえデビュー。

 

『紙魚の手帖 Vol.13』に第33回鮎川哲也賞の選評と岡本好貴さんの受賞の言葉を掲載 優秀賞を受賞した小松立人さんの受賞の言葉も

10月10日に発売された東京創元社の定期刊行誌『紙魚の手帖 Vol.13』でも、第33回鮎川哲也賞の選評と岡本好貴さんの受賞の言葉を掲載しています。加えて、「そして誰もいなくなるのか」で優秀賞を受賞した小松立人さんの受賞の言葉も掲載しています。

※優秀賞受賞作「そして誰もいなくなるのか」は選考委員のアドバイスをもとに改稿し、刊行されます(刊行時期は未定)。

 
なお、同誌には、第1回創元ミステリ短編賞の選評、並びに受賞作「嘘つきたちへ」(小倉千明さん)、「朝からブルマンの男」(水見はがねさん)も掲載しています。

 

帆船軍艦の殺人
岡本 好貴 (著)

【第33回鮎川哲也賞受賞作】
辻真先
終盤で明らかとなるこの物語ならではの、
トリックにも感じ入った

東川篤哉
この舞台でのみ可能なトリックがあって大いに関心した

麻耶雄嵩
敵艦との交戦などストーリー的に盛り上げるべきところは
盛り上げ、しかもきちんとトリックに関与している。
正賞受賞にふさわしい

海上を征く巨大な“密室”で相次ぐ人知を超えた不可能犯罪

【第33回鮎川哲也賞受賞作】十八世紀末、フランスと交戦状態にある英国海軍は常に兵士不足だった。強制徴募された若者たちを乗せ、戦列艦ハルバート号は北海を目指すが、新月の夜に衆人環視下で水兵が何者かに殺害される事件を切っ掛けに、続けて不可解な殺人が発生。逃げ場のない船の中で、誰が、なぜ、そしてどうやって殺したのか? フランス軍との苛烈な戦いのさなか、軍艦という巨大な密室で相次ぐ不可能犯罪を描く第33回鮎川哲也賞受賞作。

装画:鈴木康士
装幀:岩郷重力+R.F

紙魚の手帖Vol.13
新野 剛志 (著), 今村 昌弘 (著), 桜庭 一樹ほか (著)

【受賞作決定!】
第33回鮎川哲也賞 選評 辻 真先・東川篤哉・麻耶雄嵩
第1回創元ミステリ短編賞 選評 大倉崇裕・辻堂ゆめ・米澤穂信

【第1回創元ミステリ短編賞受賞作】
嘘つきたちへ 小倉千明
●小学校卒業以来、久方ぶりに東京で再会した三人。自然とあの日、あの事件を思い出す……
朝からブルマンの男 水見はがね
●喫茶店で週三回、一杯二千円のコーヒーを注文する奇妙な客。彼の目的とは一体何か?

 
【関連】
試し読み|帆船軍艦の殺人

 


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