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【CREA夜ふかしマンガ大賞2023】田沼朝さん『いやはや熱海くん』が受賞

『CREA』2023秋号「夜ふかしマンガ大賞2023」特集

『CREA』2023秋号「夜ふかしマンガ大賞2023」特集

文藝春秋は、9月7日発売の『CREA』2023年秋号において、同誌で第二回となる「CREA夜ふかしマンガ大賞」を発表しました。

 

「CREA夜ふかしマンガ大賞2023」発表! モテる男子のままならぬ恋物語 田沼朝『いやはや熱海くん』が第1位に

総合電子書籍ストア「ブックライブ」のデータによれば、マンガ作品の書籍購入が一番多い時間帯は22時以降、ピークは深夜0時。マンガは電子書籍で読むという人が多数派になりつつある今、仕事に子育てに忙しい大人世代の女性においても、夜の貴重なひとり時間にスマートフォンやタブレットでマンガに没頭するという現象が起きています。

そこで眠りにつく前のひとときに、日中のあれこれを忘れさせ、新しい世界に連れ出してくれる力のある作品を称える「CREA夜ふかしマンガ大賞」が昨年秋に誕生し、今年第二回が開催されました。

 
選考には、各界を代表するマンガ好き30名が参加。犬山紙子さん(イラストエッセイスト)、宇垣美里さん(フリーアナウンサー・女優)、岸田奈美さん(作家)、雲田はるこさん(マンガ家)、コナリミサトさん(マンガ家)、佐久間宣行さん(テレビプロデューサー)、スカート・澤部渡さん(ミュージシャン)、つづ井さん(マンガ家)、鶴谷香央理さん(マンガ家)をはじめ、ベテラン書店員やマンガ研究家、専門ライターの皆さんが、2023年のナンバーワンを選びました。また、今年から一次選考として、一般読者による投票も実施し、1500を超える投票がありました。

※2022年7月~23年6月末に単行本の新刊が発売された(ただし、合計5巻以内)、もしくは、雑誌などに最新話が発表された作品から選出。

 
◆第1位は、田沼朝さんの『いやはや熱海くん』

「CREA夜ふかしマンガ大賞2023」第1位に輝いた『いやはや熱海くん』(田沼朝さん/KADOKAWA)

「CREA夜ふかしマンガ大賞2023」第1位に輝いた『いやはや熱海くん』(田沼朝さん/KADOKAWA)

第二回の大賞受賞作は田沼朝さんの『いやはや熱海くん』(KADOKAWA)。主人公の熱海くんは高校1年生。学年一の美形で、毎日のように女の子に告白されるのですが、熱海くん自身は同性が好きで、昼休みを一緒に過ごす1学年上の足立くんが気になっています。

 
しかし、本作は「BL」でも「ブロマンス」でもありません。作品自体が安易なジャンル括りを「必要としない」と宣言しているようにも感じられ、これまでにない物語になっています。熱海くんは「男の人が好き」ということを隠してはいないけれど、だれかれ構わず言うべきではないと思っている。悩んではいないけれど、自分の〈本当〉はどこにあるのかをゆっくりと考え続けている…。

 
自分に正直で、自分にも他人にも尊敬と期待をほどよく持つ主人公が、周囲の人たちと交わす滑らかな関西弁のやりとりもやわらかく、読んでいるうちに無駄な力がぬけていく、そんな「パワースポット」のような作品です。

 
作者の田沼朝さんは、大阪府出身。2014年より同人活動を始め、2021年5月に商業誌デビュー。2023年1月に漫画誌『ハルタ』(KADOKAWA)にて連載中の『いやはや熱海くん』第1巻と『四十九日のお終いに 田沼朝作品集』の同時刊行が話題となった、いま注目の描き手です。

第1位受賞を記念した田沼朝さんによる描き下しイラスト (C)田沼朝/KADOKAWA

第1位受賞を記念した田沼朝さんによる描き下しイラスト (C)田沼朝/KADOKAWA

<審査員コメント>

◎「今年、友人や仕事仲間におすすめしている作品No. 1」(honto電子書籍ストア コミック担当 荻野晶さん)
◎「ハイテンションでもコテコテでもない、関西弁のやりとりがなんとも心地いい」(ブログ「マンガ食堂」管理人 梅本ゆうこさん)
◎「読んだ後の人生に、ポジティブで静かなガッツをくれる作品です」(コミック編集者 伊藤絢子さん)

 

「CREA夜ふかしマンガ大賞2023」受賞作品

「CREA夜ふかしマンガ大賞2023」第1位は、「僕の顔が良いばっかりに……」 毎日のように女子に告白される高校生の熱海くんが主人公。そんな彼が好きになるのは男の人で――。ナチュラルな台詞が持ち味の新鋭・田沼朝さんが描く、モテる男子の悩める恋物語。10月14日に第2巻が発売予定。

 
第2位以下にも、現在14人に1人が体外受精で生まれる日本で、不妊治療の要となる「胚培養士」の仕事を詳らかに描く『胚培養士ミズイロ』(おかざき真里さん)、映像化で話題になった『イチケイのカラス』の作者による本格サスペンス『クジャクのダンス、誰が見た?』(浅見理都さん)、平均年齢70歳の大人の恋と人生の物語『僕らが恋をしたのは』(オノ・ナツメさん)、マンガ好きの間で、いま最も注目を集める『みちかとまり』(田島列島さん)、ヒロインとふたりの青年の約20年の歳月を語りおろすイタリア発のグラフィック・ノヴェル『秒速5000km』(マヌエレ・フィオールさん)など、現代を象徴する作品がランクインしました。

 
<「CREA夜ふかしマンガ大賞2023」ベスト10> ※敬称略

1位 『いやはや熱海くん』 田沼朝(KADOKAWA)

2位 『胚培養士ミズイロ』 おかざき真里(小学館)

3位 『クジャクのダンス、誰が見た?』 浅見理都(講談社)

4位 『大丈夫倶楽部』 井上まい(レベルファイブ/トゥーヴァージンズ)

5位 『僕らが恋をしたのは』 オノ・ナツメ(講談社)

6位 『クジマ歌えば家ほろろ』 紺野アキラ(小学館)

7位 『うみべのストーブ 大白小蟹短編集』 大白小蟹(リイド社)

8位 『みちかとまり』 田島列島(講談社)

9位 『私たちが恋する理由』 ma2(祥伝社)

10位 『秒速5000km』 マヌエレ・フィオール(マガジンハウス)

 

「CREA夜ふかしマンガ大賞」とは

「CREA夜ふかしマンガ大賞」は、マンガ好きの推薦者とCREA編集部員、そして読者の投票により選ばれた「思わず夜ふかしして読みたくなる」そして、「いま、CREA読者に本当におすすめしたい」作品に贈る賞です。

2022年7月~23年6月に単行本の新刊が発売された(ただし、合計5巻以内)、もしくは、雑誌などに最新話が発表された作品から選出。

 

いやはや熱海くん 1 (ハルタコミックス)
田沼 朝 (著)

熱海くんは学年イチの美形で、惚れっぽくて、男の人が好き。

「僕の顔が良いばっかりに……」

毎日のように女子に告白される高校生の熱海くん。
でも、彼が好きになるのは男の人でーー。

ナチュラルな台詞が持ち味の新鋭・田沼朝が描く、モテる男子のままならぬ恋物語。
描き下ろし漫画も収録の第1巻!

<「CREA夜ふかしマンガ大賞2023」発表号>

CREA2023秋号(偏愛の京都/夜ふかしマンガ大賞)
CREA (編集)

『CREA』2023年秋号の第一特集は、コロナ禍を経て初となる国内旅をテーマにした「偏愛の京都」。リアルな旅に沸く古都の、まだ知らなかったフードシーンやカルチャーを”偏愛”をキーワードにお届けします。また、2.5次元舞台の「ヒプノシスマイク-Division Rap Battle-」でファンを熱狂させた阿部顕嵐さん、いま、注目の歌舞伎役者・市川團子さんも登場。撮り下ろしの美麗なカットと独占インタビューをたっぷり掲載しています。

また、劇場版『ミステリと言う勿れ』の公開を控える菅田将暉さんに、作品や原作、そしてご自身のマンガ愛についてのスペシャルインタビューも。

 
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