日本近代文学の忘れられた巨人・保田與重郎の世界的文業が甦る!前田英樹さん大型批評『保田與重郎の文学』が増刷
ドイツロマン主義を背景とした戦争賛美者にして反動主義者という旧来の理解を覆し、古典文学の読解からこの国の指針を示した江戸期の国学者たちの系譜に連なる文学者という「保田與重郎」像を提示した、4月刊行の前田英樹さん著『保田與重郎の文学』(新潮社)が全800頁近くという大部な本でありながら、このたび増刷となりました。
古典はなぜ読まれなければいけないのか? 文学の真の意義とは? 近代文学の極北にして核心、小林秀雄と並び立つ文学者の思想の本質を提示する決定的評論
◇麿赤児さん(「大駱駝艦」主宰、舞踏家、俳優)
保田與重郎が深く大らかにリアルに蘇った。人類の未来への根底の道を示す預言の書だ!
◇片山杜秀さん(政治学者、慶応義塾大学教授)
保田読みの保田知らずが如何に多いことか。本書は読めている!
◇佐伯啓思さん(経済学者、京都大学名誉教授)
グローバリズムという迷妄の中にある今日、「日本」を見つめた保田與重郎を読む意味は大きい。著者の渾身の力作が、ようやく保田の全貌を明らかにした。
奈良に生まれ古典に通暁し、この国と文学のあるべき姿を終生説き続けた保田與重郎。日本浪曼派の中心人物にして、大東亜戦争を賛美した反動的思想家と見なされた彼は、本当は何を書いたのか。日本武尊、大伴家持、後鳥羽院、芭蕉、そして戦場に赴いた無数の兵士たち――彼らの魂に共鳴し続けた文学者の著作を丹念に読み、文学の本道を改めて辿ります。
この国に暮らし、文学の可能性を信じる人々に新たなる指針を示す、二十一世紀の必読評論です。
保田與重郎(やすだ・よじゅうろう)プロフィール
保田與重郎(1910-1981)は、奈良県桜井に生まれる。東京帝国大学文学部美学美術史学科卒業。帝大在学中に同人誌「コギト」を友人たちと出版。ヘルダーリンをはじめとするドイツ・ロマン派に影響を受け、自らも執筆を行なう。
1935年、志を共にする文学者たちと雑誌「日本浪曼派」を創刊、1936年には「日本の橋」で池谷信三郎賞を受賞し、批評家として地歩を固める。その著作は多くの青年に読まれたが、太平洋戦争敗戦後、公職追放され、しばらく郷里の桜井で農耕生活を送る。戦後は雑誌「祖国」を創刊し時評を掲載し続けたほか、『絶対平和論』『現代畸人傳』『わが萬葉集』などの著作で独自の地位を保ち続けた。
著者インタビューから
「日本の近代文学において(小林秀雄に)一歩も引けを取らないどころか、より根源から文学について考えた人にもかかわらず、正当な評価も尊敬も受けていない。イデオロギーの文脈から解き放って、その文業を捉え直す必要がある」
(毎日新聞 2023年5月15日夕刊)
「保田が説いたのは米作りによる祭りの暮らし。コメは連作ができて作り手みんなに行き渡る収穫があり、他に野菜や豆があれば栄養価も足りる。米作りの原理は平和の中に生きる原理で、当時、軍の中に彼の文章を理解できるものがいれば保田は逮捕されたかもしれない」
(読売新聞 2023年6月10日夕刊)
「彼は近代を否定したのではない。近代の中の人間を滅ぼす『毒』を明確に語っただけなんです」
(産経新聞 2023年6月11日朝刊)
著者プロフィール
著者の前田英樹(まえだ・ひでき)さんは、批評家。1951(昭和26)年、大阪生まれ、奈良に育つ。中央大学仏文科卒業。立教大学仏文科教授、同・現代心理学部映像身体学科教授を歴任。2023年4月現在、同大学名誉教授。
著書に『沈黙するソシュール』『倫理という力』『定本 小林秀雄』『言語の闇をぬけて』『セザンヌ 画家のメチエ』『信徒 内村鑑三』『日本人の信仰心』『民俗と民藝』『ベルクソン哲学の遺言』『剣の法』『小津安二郎の喜び』『批評の魂』などがある。
保田與重郎の文学 前田 英樹 (著) 近代文学の極北にして核心。小林秀雄と並ぶ文学者の真髄を示す、決定的評論 奈良に生まれ古典に通暁し、この国と文学のあるべき姿を終生説き続けた保田與重郎。日本浪曼派の中心人物にして、大東亜戦争賛美者と見なされた彼は、本当は何を書いたのか。日本武尊、大伴家持、後鳥羽院、芭蕉、そして戦場に赴いた無数の兵士たち――彼らの魂に共鳴し続けた文学者の著作を読み、文学の本道を改めて辿る。 |
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