【第10回山本美香記念国際ジャーナリスト賞】宮下洋一さんと三浦英之さんが受賞
一般財団法人「山本美香記念財団」は、優れた国際報道を担うジャーナリストを顕彰する「第10回山本美香記念国際ジャーナリスト賞」の受賞者・受賞作品を発表しました。
第10回山本美香記念国際ジャーナリスト賞が決定!
第10回山本美香記念国際ジャーナリスト賞は、4月30日に選考会が開催され、次の通り受賞者・受賞作品が決定しました。
<第10回山本美香記念国際ジャーナリスト賞 受賞者・受賞作品>
◎宮下洋一(みやした・よういち)さん
『死刑のある国で生きる』(新潮社)
●三浦英之(みうら・ひでゆき)さん
『太陽の子 日本がアフリカに置き去りにした秘密』(集英社)
選考委員は、岡村隆さん(編集者・探検家)、笠井千晶さん(ドキュメンタリー監督・ジャーナリスト)、河合香織さん(ノンフィクション作家)、高山文彦さん(作家)、吉田敏浩さん(ジャーナリスト)。
※高山文彦さんの「高」は、「はしごだか」です。
授賞式は、5月26日(金)18時より日本記者クラブにて、報道および関係者のみで開催されます。
「第10回山本美香記念国際ジャーナリスト賞」選考委員講評
◆宮下洋一さん『死刑のある国で生きる』
コロナ禍のなか、アメリカ、フランス、スペイン、日本での取材を行った労作だ。どうしても結論ありきな死刑について、加害者、被害者双方の視点から、フラットな立場から描いていくことで、読者に自分自身の問題として考える材料を提供していく。著者の美点は「わかったふり」をしないことだ。だからこそ、「なぜ」と幾度でも問い続けられる。立場によって、そして国によって正義は変わる。答えは一つではない問いを追求していく真摯な姿勢に、背筋が伸びるような思いがした。
◆三浦英之さん『太陽の子 日本がアフリカに置き去りにした秘密』
日本が遠くアフリカでつくりだした歪み。それを一身に受けたままの残留児たち。歴史の「空白部」に置き去りにされたその存在。この知られざる事実を掘り起こし、残留児たちのアイデンティティーをめぐる悩み、貧困や差別による心の傷、日本人父親への複雑な思慕、厳しい環境をくぐってきた生の航跡を、丹念な取材で光を当てた。
著者は新聞社に属する組織ジャーナリストだが、その利点に安住したわけでなく、これが個人としての問題意識から始めた取材の成果を少しずつ積み重ねた末の「執念の一冊」である。
山本美香記念国際ジャーナリスト賞について
山本美香記念国際ジャーナリスト賞は、2012年8月20日、シリア取材中に凶弾に倒れたジャパンプレス所属のジャーナリスト・山本美香さんの遺志を継ぐべく創設。
世界中で起こっている様々な紛争や抑圧、災害や貧困などの下で暮らす様々な人々の生きる姿を伝える優れた国際報道を担うジャーナリストの支援、育成を目的とし、果敢かつ誠実な国際報道につとめた個人に対して贈られます。
世界の不正義や不条理に対して何がどのように不正義で不条理であるのか、伝聞ではなく自分自身の目と耳でとらえ、世界中に発信しようとするタフな行動力。
また、それらの国々や地域において、生死のはざまをそれでも懸命に生きていこうとする人びとの姿を深い共感をもって世界中に伝えようとするヒューマニスティックな視座。
――本賞はその二つを併せ持つ国際報道をおこなったジャーナリストを選考の対象とし顕彰を行ないます。
★一般財団法人山本美香記念財団ウェブサイト:http://www.mymf.or.jp/
<山本美香さん プロフィール>
ジャーナリスト。1967年生まれ。朝日ニュースターの報道記者、ディレクターを経て1996年から独立系通信社「ジャパンプレス」に所属。アフガニスタンやイラク、コソボ、ウガンダ、チェチェン、インドネシアなど世界の紛争地を取材。イラク戦争報道でボーン・上田記念国際記者賞特別賞を受賞。2012年8月20日、シリア内戦の取材中にアレッポにて銃撃を受け、殉職。
死刑のある国で生きる 宮下 洋一 (著) 死刑廃止は本当に唯一の答えなのか。日米欧の現場を丹念に取材したルポ。 |
太陽の子 日本がアフリカに置き去りにした秘密 三浦 英之 (著) 1970~80年代、資源を求めた日本がアフリカ大陸に残したものは、巨大な開発計画の失敗とさび付いた採掘工場群。 |
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