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「第44回吉川英治文学新人賞」および「第8回吉川英治文庫賞」の候補作が決定

講談社は2月3日、第44回吉川英治文学新人賞および第8回吉川英治文庫賞の候補作を発表しました。

なお最終結果は、第57回吉川英治文学賞、第57回吉川英治文化賞とあわせて、3月2日に決定される予定です。

 

「第44回吉川英治文学新人賞」および「第8回吉川英治文庫賞」候補作

第44回吉川英治文学新人賞および第8回吉川英治文庫賞の候補作は次の通りです。

 
【第44回吉川英治文学新人賞 候補作】

◎安壇美緒(あだん・みお)さん
『ラブカは静かに弓を持つ』(集英社)

◎蝉谷めぐ実(せみたに・めぐみ)さん
『おんなの女房』(KADOKAWA)

◎長浦京(ながうら・きょう)さん
『プリンシパル』(新潮社)

◎凪良ゆう(なぎら・ゆう)さん
『汝、星のごとく』(講談社)

◎夕木春央(ゆうき・はるお)さん
『方舟』(講談社)

 
【第8回吉川英治文庫賞 候補作】

◎麻見和史(あさみ・かずし)さん
「警視庁殺人分析班」シリーズ(講談社文庫)

◎石田衣良(いしだ・いら)さん
「池袋ウエストゲートパーク」シリーズ(文春文庫)

◎井原忠政(いはら・ただまさ)さん
「三河雑兵心得」シリーズ(双葉文庫)

◎上橋菜穂子(うえはし・なほこ)さん
「守り人」シリーズ(新潮文庫)

◎菊地秀行(きくち・ひでゆき)さん
「吸血鬼(バンパイア)ハンター」シリーズ(朝日文庫ソノラマセレクション)

◎三上延(みかみ・えん)さん
「ビブリア古書堂の事件手帖」シリーズ(メディアワークス文庫)

 

吉川英治文庫賞および吉川英治文学新人賞について

吉川英治文学新人賞は、吉川英治国民文化振興会が主催し、講談社が後援。1980年に創設された文学賞です。

前年1月1日から12月31日までに、新聞、雑誌、単行本等に優秀な小説を発表した作家の中から、最も将来性のある新人作家に贈られます。「新人」と銘打っていますが、かなり経歴には幅があります。

 
吉川英治文庫賞も、公益財団法人吉川英治国民文化振興会が主催し、講談社が後援する文学賞です。吉川英治文学賞・吉川英治文化賞が第50回の節目を迎えるのを機に創設。

5巻以上続くシリーズ大衆小説のうち、12月1日から翌年11月30日までにシリーズ5巻目以降が一次文庫で刊行されたものを対象とします。選考委員は講談社を含む出版社の代表各社1名、識者、出版流通関係者など約50人で構成され、選考委員の投票によって受賞作が決定されます。

 
なお、両賞とも受賞者には賞金100万円が贈られます。

 

ラブカは静かに弓を持つ
安壇 美緒 (著)

深く潜れば潜るほど、主人公と自分を重ね、浅葉先生に救われ、突き刺される。
暗い深海で一筋の光にすがるように、どうか壊れてしまわないでと願いながら、一気に読み終えました。
限られた文字数では、語りきることなどできません。
この物語はこう紡がれ、奏でられるしかなかったのだと、心から感じました。
まだずっと、余韻が残響のように、自分の中で鳴り続けています。
――斉藤壮馬さん(声優)

その人は尊敬すべき師であると同時に、得がたい友人になった。
内向的な青年の冷めた視線に映し出された世界が、次第にみずみずしく光に満ちた世界に変わっていく。
たとえその前提が裏切り行為であったにしても。
――篠田節子さん(作家)

優れた演奏を聴き終えたかのような感動が胸に満ちてくる。
嘘を重ねる主人公にこうまで味方したくなるのは、
書き手の筆に嘘がないからだろう。
〈音楽の力〉によって結びつき回復してゆく人々を、
〈言葉の力〉で描ききった希有な小説。
――村山由佳さん(作家)

武器はチェロ。
潜入先は音楽教室。
傷を抱えた美しき潜入調査員の孤独な闘いが今、始まる。
『金木犀とメテオラ』で注目の新鋭が、想像を超えた感動へ読者を誘う、心震える“スパイ×音楽”小説!

少年時代、チェロ教室の帰りにある事件に遭遇し、以来、深海の悪夢に苛まれながら生きてきた橘。
ある日、上司の塩坪から呼び出され、音楽教室への潜入調査を命じられる。
目的は著作権法の演奏権を侵害している証拠をつかむこと。
橘は身分を偽り、チェロ講師・浅葉のもとに通い始める。
師と仲間との出会いが、奏でる歓びが、橘の凍っていた心を溶かしだすが、法廷に立つ時間が迫り……

おんなの女房
蝉谷 めぐ実 (著)

『化け者心中』で文学賞三冠。新鋭が綴る、エモーショナルな時代小説。

ときは文政、ところは江戸。武家の娘・志乃は、歌舞伎を知らないままに役者のもとへ嫁ぐ。夫となった喜多村燕弥は、江戸三座のひとつ、森田座で評判の女形。家でも女としてふるまう、女よりも美しい燕弥を前に、志乃は尻を落ち着ける場所がわからない。
私はなぜこの人に求められたのか――。
芝居にすべてを注ぐ燕弥の隣で、志乃はわが身の、そして燕弥との生き方に思いをめぐらす。
女房とは、女とは、己とはいったい何なのか。
いびつな夫婦の、唯一無二の恋物語が幕を開ける。

プリンシパル
長浦 京 (著)

1945年、東京。関東最大級の暴力組織、四代目水嶽本家。その一人娘である綾女は、終戦と父の死により、突如、正統後継者の兄たちが戦地から帰還するまで「代行」役となることを余儀なくされる。
懐柔と癒着を謀る大物議員の陥穽。利権と覇権を狙うGHQの暗躍。勢力拡大を目論む極道者たちの瘴気……。
幾多の謀略を経て、次第に権力と暴力の魔力に魅せられていく綾女。そして、鮮血に彩られた闘争の遍歴は、やがて、戦後日本の闇をも呑み込む、漆黒のクライマックスへと突き進み……。

『リボルバー・リリー』(大藪賞受賞)、『アンダードッグス』(直木賞候補)を凌ぐ衝撃! 国産クライムサスペンスの極北へ

汝、星のごとく
凪良 ゆう (著)

その愛は、あまりにも切ない。

正しさに縛られ、愛に呪われ、それでもわたしたちは生きていく。
本屋大賞受賞作『流浪の月』著者の、心の奥深くに響く最高傑作。

ーーわたしは愛する男のために人生を誤りたい。

風光明媚な瀬戸内の島に育った高校生の暁海(あきみ)と、自由奔放な母の恋愛に振り回され島に転校してきた櫂(かい)。
ともに心に孤独と欠落を抱えた二人は、惹かれ合い、すれ違い、そして成長していく。
生きることの自由さと不自由さを描き続けてきた著者が紡ぐ、ひとつではない愛の物語。

ーーまともな人間なんてものは幻想だ。俺たちは自らを生きるしかない。

方舟
夕木 春央 (著)

「週刊文春ミステリーベスト10」&「MRC大賞2022」堂々ダブル受賞!

9人のうち、死んでもいいのは、ーー死ぬべきなのは誰か?

大学時代の友達と従兄と一緒に山奥の地下建築を訪れた柊一は、偶然出会った三人家族とともに地下建築の中で夜を越すことになった。
翌日の明け方、地震が発生し、扉が岩でふさがれた。さらに地盤に異変が起き、水が流入しはじめた。いずれ地下建築は水没する。
そんな矢先に殺人が起こった。
だれか一人を犠牲にすれば脱出できる。生贄には、その犯人がなるべきだ。ーー犯人以外の全員が、そう思った。

タイムリミットまでおよそ1週間。それまでに、僕らは殺人犯を見つけなければならない。

 
【関連】
吉川英治文学新人賞|講談社
吉川英治文庫賞|講談社

 


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