永井紗耶子さん〈「江戸時代」のイメージを覆す〉新しい時代小説『木挽町のあだ討ち』が刊行
新田次郎文学賞、本屋が選ぶ時代小説大賞など三冠の『商う狼 江戸商人杉本茂十郎』に続き、2022年直木賞候補『女人入眼』で話題となった永井紗耶子さんの新刊『木挽町のあだ討ち』が新潮社より刊行されました。
見たのかって? ええ、あれは立派な仇討ちでしたよ。
ある雪の降る夜、芝居小屋のすぐそばで、美しい若衆によってみごとな仇討ちが成し遂げられた。血まみれの首を高くかかげ、語り草となった凄惨な仇討ちには、隠された真相があった――。
ラストにはミステリ小説のような驚きと感動が訪れる、著者の到達点。現代に通ずる価値観や苦悩が盛り込まれ、読者の心を揺さぶる本書は、「江戸時代」のイメージを覆す新しい時代小説です。
【あらすじ】
ある雪の降る夜に芝居小屋のすぐそばで、美しい若衆・菊之助による仇討ちがみごとに成し遂げられた。
天下の公道で、父親を殺めた下男を斬り、その血まみれの首を高くかかげた壮挙はたくさんの人々から賞賛され、木挽町の語り草となった――。
二年のち、菊之助の縁者だというひとりの侍が芝居小屋で働く人々に仇討ちの詳細をたずねにくる。
木戸芸者、殺陣師、衣装係、小道具、筋書……、仇討ちの現場に居合わせた人々が自身の来し方を織り交ぜながら語る「木挽町のあだ討ち」の顛末、そしてその驚くべき真相は――。
★第一幕を無料公開!
https://www.shinchosha.co.jp/special/kobikicho/
https://ebook.shinchosha.co.jp/book/E055781/
<推薦コメント>
◆講談師・神田伯山さん
大切なひとを命懸けで守ることが「忠義」ならこのあだ討ちは、間違いなく本物だ。
◆文芸評論家・縄田一男さん
時代小説を知り尽くした作者の巧緻充実の腕前をとくとご覧あれ!
◆「劇団☆新幹線」座付作家/脚本家・中島かずきさん
ミステリ仕立ての趣向に芝居町の矜持が浮かび上がる。なんとも気持ちのいい小説だ。
著者からのメッセージ
今作は、歴史や時代の予備知識ゼロでも楽しんでいただける作品にしたいと思って書きました。
『商う狼 江戸商人 杉本茂十郎』では江戸の古い慣習を改革した実在人物、『女人入眼』では源頼朝と北条政子の娘・大姫―いずれも史実を元にした〈歴史小説〉でした。そのため江戸時代や鎌倉時代の歴史をご存知の方には、より楽しんでいただけたかと思います。
今回の『木挽町のあだ討ち』は江戸時代を舞台にしていますが、オリジナルの登場人物たちが活躍する〈時代小説〉です。私がライターとして培ってきたインタビューの手法を取り入れ、登場人物たちに、江戸時代のこと、歌舞伎のこと、人間関係のこと、事件のことを、それぞれの口調で分かりやすく語ってもらう形で書きました。
時代小説や歌舞伎、落語などの古典がお好きな方にも満足いただけるような、江戸ならではのエピソードを盛り込みつつ、一方で日ごろ「時代小説って難しいんでしょう」と思っている方にも、入り口として楽しんでいただける作品だと思います。
著者プロフィール
著者の永井紗耶子(ながい・さやこ)さんは、1977年生まれ、神奈川県出身。慶應義塾大学文学部卒業。新聞記者を経て、フリーランスライターとなり、新聞、雑誌などで幅広く活躍。2010年『絡繰り心中』で小学館文庫小説賞を受賞し、デビュー。
2020年に刊行した『商う狼 江戸商人 杉本茂十郎』は、細谷正充賞、本屋が選ぶ時代小説大賞、2021年、新田次郎文学賞を受賞した。2022年『女人入眼』が第167回直木賞の候補作に。
他の著書に『大奥づとめ よろずおつとめ申し候』『福を届けよ 日本橋紙問屋商い心得』『横濱王』など。
木挽町のあだ討ち 永井 紗耶子 (著) 疑う隙なんぞありはしない、あれは立派な仇討ちでしたよ。 |
木挽町のあだ討ち 無料お試し版 永井紗耶子 (著) 2022年上半期直木賞候補作『女人入眼』で大注目の著者による2023年1月刊行の最新長篇のなかから、第一幕を特別無料配信します。 |
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