藤沢周平さん『小説の周辺』が魯迅文学賞「翻訳文学」部門を受賞 日本人としては大江健三郎さんに続き二人目
藤沢周平さん著『小説の周辺』の中国簡体字版が第8回魯迅文学賞「翻訳文学」部門を受賞したことが文藝春秋より発表されました。
『小説の周辺』が“中国の直木賞” 魯迅文学賞「翻訳文学」部門を受賞!
魯迅文学賞は、中国作家協会によって1995年に創設。「中国における最高の栄誉である文学賞」と言われています。1997年に第1回の受賞作品が発表され、以来、4年毎に開催されています。日本人作家の作品としては、2007年の大江健三郎さんに続き、二人目の受賞となります。
魯迅文学賞の選考委員は『小説の周辺』の翻訳をこう評しています。
「日本人作家藤沢周平氏による『小説の周辺』は、なめらかな語り口のうちに穏やかさと知恵が満ちている。翻訳者・竺祖慈氏の熟練した訳筆は真に迫り、原著者と同じような心境に至ったのであろう」
『小説の周辺』概要
『小説の周辺』は、国民的作家としてあまたの時代小説を上梓しながら、自身を語ることは稀だった藤沢周平さんが、郷里・鶴岡での幼年時代、師や友との交流、創作の秘話など、人生折々の忘れ得ぬ情景を綴った滋味深いエッセイ集です。
1990年、文春文庫として刊行後、版を重ね、中国でも翻訳。国内外を問わず、多くの藤沢周平ファンに読まれています。
藤沢周平さん長女・遠藤展子さん(エッセイスト)からのコメント
この度は、父・藤沢周平の『小説の周辺』が中国の魯迅文学賞「翻訳文学」部門で賞をいただき、驚きと共に大変感謝しています。
文藝春秋と新潮社から刊行されている本の中から、計十二冊の中国語版の出版が決まった時、一冊だけ小説ではなくエッセイがありました。中国の方が父の日常生活を書いたエッセイに興味を持たれたのは意外でしたが、同時に藤沢周平を知っていただく良い機会だと思い嬉しくもありました。翻訳をして下さった竺祖慈先生には心より御礼申し上げます。
父の没後二十五年の年に、このような名誉ある賞をいただけたのは、出版界、映像関係など父の作品に関わって下さった多くの方々と読者の皆様のお陰です。本当にありがとうございました。
著者プロフィール
著書の藤沢周平(ふじさわ・しゅうへい)さんは、昭和2年(1927年)生まれ、山形県鶴岡市出身。48年『暗殺の年輪』で第69回直木賞を受賞。
主な作品に『蝉しぐれ』『三屋清左衛門残日録』『隠し剣孤影抄』『隠し剣秋風抄』『用心棒日月抄』『橋ものがたり』、「獄医立花登手控え」シリーズ、『霧の果て』『海鳴り』、『白き瓶 小説 長塚節』(吉川英治文学賞)、『たそがれ清兵衛』『藤沢周平全集』等がある。平成元年、菊池寛賞、6年に朝日賞、同年東京都文化賞を受賞。7年、紫綬褒章を受章。9年1月、逝去。
小説の周辺 (文春文庫) 藤沢 周平 (著) 北斎晩年の遣り場のない鬱屈を鮮烈に描いた処女小説「溟い海」は、執筆当時の作者の自画像であった――これまで自身を語ること稀であった作家が、郷里鶴岡と幼年時代、師や友、創作秘話、日常身辺などを簡潔に綴る。作品と併せ読むべき小文・エッセイ八十篇。藤沢ファン待望の名エッセイ。 |
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