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イタリアからの翻訳出版の呼びかけに世界の出版社が続々賛同!ウクライナ救援のための絵本『キーウの月』が刊行

『キーウの月』 左が日本語版、右が原書・イタリア語版の表紙

『キーウの月』 左が日本語版、右が原書・イタリア語版の表紙

今年4月、イタリアの出版社Edizioni ELから、ウクライナ救援のための絵本が緊急出版されました。イタリアの国民的作家であるジャンニ・ロダーリさん(1920~1980年)が1960年に発表した詩 “La luna di Kiev”(邦題『キーウの月』)を絵本化したものです。

その後、世界の出版社へ寄付をともなう翻訳出版の呼びかけがあり、すでにスペイン(4言語)・ルーマニア・ギリシャ・イギリスで出版が決定、この世界的な広がりを見せるウクライナ救援のため講談社も参加を決定、邦訳版『キーウの月』(作:ジャンニ・ロダーリさん/絵:ベアトリーチェ・アレマーニャさん/訳:内田洋子さん)を8月に刊行しました。この絵本の売り上げによる利益は、セーブ・ザ・チルドレンに寄付されます。

 

今、わたしたちが眺めている月を、ウクライナの子どもたちも見上げています

世界中、どこから見ても月はひとつ。月を見上げ、ウクライナへの願いをこめて……

 
<翻訳者:内田洋子さんからのメッセージ>

ロダーリの作品は、イタリアの人たちが理想とする「美しい国語=きれいな心を保つ」ためのお手本的存在で、学校や家庭において幼少期から広く読み親しまれています。

この絵本はどう読むのも、どう感じるのも自由、ただ見るだけでもいいのです。

今まで知らなかったことを思うことができた、悪いことが起きてもいいことに向かうんだということを、数年後に実感できるきっかけになればと思っています。

 

著者プロフィール

 
■ジャンニ・ロダーリさん

1920年生まれ、イタリア・オメーニャ市出身。教員養成学校を卒業した後、数年にわたって小学校教師を務める。第二次世界大戦終了後、ジャーナリストとして活動を始め、数多くの媒体で記事を書く。

1950年初頭から幼児向けの作品を刊行し始め、たちまち読者や評者に大好評となる。韻やことば遊びを用いた童話やおはなしといった作品は、自由や人としての権利、尊厳、市民としての意識をテーマとし、軽やかかつ奥行きの深い語り口で説いた。

1970年に「児童文学のノーベル賞」とされる国際アンデルセン賞を受賞。2020年の生誕100年に際し、ロダーリさんの、人としての偉大さや出版物の価値、教育への先見の明、考え抜かれた軽妙な語り口が改めて高く評価される。絵本作家としてもよく知られる芸術家たち―ブルーノ・ムナーリやエマヌエーレ・ルッタッツィ、ラウル・ヴェルディーニ、アルタン―が、彼の作品に触れて、創作への刺激を受けている。

 
■内田洋子(うちだ・ようこ)さん

1959年生まれ、兵庫県神戸市出身。東京外国語大学イタリア語学科卒業。通信社ウーノアソシエイツ代表。ジャーナリスト。

2011年『ジーノの家 イタリア10景』で日本エッセイスト・クラブ賞、講談社エッセイ賞を同時受賞。2019年にウンベルト・アニェッリ記念ジャーナリスト賞、2020年にイタリア本屋連盟から金の籠賞を受賞。『パパの電話を待ちながら』『緑の髪のパオリーノ』『クジオのさかな会計士』など、ジャンニ・ロダーリ作品の翻訳を手がけている。

 

キーウの月 (講談社の翻訳絵本)
ジャンニ・ロダーリ (著), ベアトリーチェ・アレマーニャ (著), 内田 洋子 (翻訳)

ウクライナ・キーウの月は、わたしたちが見上げている月と同じ月。世界的作家・ロダーリの絵本を、ウクライナ救援のために緊急出版。

 


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