人間と熊の果てなき死闘! 故・今野保さんノンフィクション『羆吼ゆる山』が復刊
山と溪谷社は、故・今野保さんが人間と熊の果てなき死闘を描いた傑作ノンフィクション『羆吼ゆる山』をヤマケイ文庫より復刊しました。
熊ニモ負ケズ――戦前の日高山脈、人間と熊の果てなき死闘
《一瞬、体が硬直し、息が止まった。眼前わずか三十センチほどのところに、らんらんと光る目と開いた真っ赤な口、白い牙があった。ウオーッと一声吼えて、その牙が目に突き刺さるように迫り、なま温かい息が顔をなぜた。》
戦前~戦後の北海道の奥地、羆の気配を身近に感じ暮らしていた人間と羆との死闘の物語。
父から狩猟の手ほどきを受けた今野少年と羆との対決、近所に住む兄弟・七郎と八郎が羆と繰り広げた修羅場、羆撃ち名人の命を奪った手負い熊の恐怖、アイヌ伝説の猟師・仙造と「金毛」という羆との交流。
――長らく絶版になっていた、戦慄みなぎる名著が復刊しました。
“赤毛”“銀毛”と呼ばれ恐れられた巨熊
熊撃ち名人と刺し違え、命を奪った手負い熊
アイヌ伝説の老猟師と心通わせた“金毛”
夜な夜な馬の亡き骸を喰いにくる大きな牡熊
熊ニモ負ケズ――戦前の日高山脈、羆の気配を身近に感じ暮らしていた人間と熊との死闘の物語が鮮やかによみがえります。
本書の構成
Ⅰ 出会いと別れ
父は走った/舞茸採り/羆、馬を襲う/暗闇の音/血の跡/仔連れの羆/涙の川
II 撃つ
少年猟師/待ち伏せ/手負い熊/横取り/追跡/山の神様/窮地脱出/猟犬、帰らず/対決
III アイヌの猟師 金毛/風雪/猟師
IV 流転
暗い春/睨み合い/炭鉱の熊騒動/離散/熊ニモ負ケズ
解説 河﨑秋子
著者プロフィール
今野保(こんの・たもつ)さんは、1917年生まれ、北海道早来町出身。奥地での製炭業を経て、1937年から26年間炭鉱に勤務。その後、室蘭にて土木会社を設立。1984年に事故で右手を負傷するが、入院中に左手で文字を書く練習を行い、その後、執筆活動を始める。
著書に『渓流の想い出』『染退川追憶』(以上、私家版)、『アラシ―奥地に生きた犬と人間の物語』『羆吼ゆる山』『秘境釣行記』がある。2000年、逝去。
ヤマケイ文庫 羆吼ゆる山 今野 保 (著) 河﨑秋子氏(直木賞受賞『ともぐい』著者)、推薦! |
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