【第10回河合隼雄物語賞・学芸賞】物語賞はいとうみくさん『あしたの幸福』、学芸賞は森田真生さん『計算する生命』が受賞

第10回河合隼雄物語賞・学芸賞が決定！

河合隼雄財団は6月6日、第10回河合隼雄物語賞および第10回河合隼雄学芸賞の受賞作品を発表しました。

第10回河合隼雄物語賞・学芸賞が決定！

第10回河合隼雄物語賞および第10回河合隼雄学芸賞の受賞作品は次の通りです。

 
＜第10回河合隼雄物語賞＞
いとうみくさん
『あしたの幸福』（理論社）

＜第10回河合隼雄学芸賞＞
森田真生（もりた・まさお）さん
『計算する生命』（新潮社

 
物語賞を受賞したいとうみくさんは、神奈川県出身。『糸子の体重計』(童心社)で第46回日本児童文学者協会新人賞、『空へ』(小峰書店)で第39回日本児童文芸家協会賞、『朔と新』(講談社)で第58回野間児童文芸賞、『きみひろくん』(くもん出版)で第31回ひろすけ童話賞を受賞。
他の作品に『かあちゃん取扱説明書』『アポリア　あしたの風』『天使のにもつ』(以上、童心社)、「車夫」シリーズ(小峰書店／文春文庫)、「おねえちゃんって」シリーズ(岩崎書店)など多数。デビュー10年となる今年6月『糸子の体重計』の続編『ちいさな宇宙の扉のまえで　続・糸子の体重計』（絵：佐藤真紀子さん／童心社）を刊行。「季節風」同人。

学芸賞を受賞した森田真生さんは、1985生まれ。東京都出身。独立研究者。京都東山の麓にある研究室を拠点に、執筆や講演、教育の活動にたずさわるかたわら、人間と人間でないものの関係を編み直す言葉と思考の可能性を追究。2015年に初の著書『数学する身体』で小林秀雄賞を最年少で受賞。
他の著書に『数学の贈り物』『僕たちはどう生きるか』、絵本『アリになった数学者』、編著に岡潔さん著『数学する人生』。

森田真生さん

なお、いとうみくさんと森田真生さんには記念品および副賞100万円が贈られます。

 
※授賞理由や受賞の言葉など詳細は、
物語賞：https://www.kawaihayao.jp/ja/prize/2945.html
学芸賞：https://www.kawaihayao.jp/ja/prize/2948.html
をご覧ください。
また、正式な受賞の言葉や選評は『新潮』8月号（7月7日発売）誌上で発表されます。

河合隼雄物語賞・学芸賞について

河合隼雄さんは、臨床心理学者で、京都大学名誉教授、文化庁長官などを歴任。臨床心理学にとどまらず、日本文学をはじめ、児童文学、絵本、神話、昔話などの研究に取り組みました。

河合隼雄物語賞および河合隼雄学芸賞は、その河合隼雄さんの遺志を受け継ぎ、現代社会を生きる人びとのこころを豊かにし、日本文化の発展に寄与することを目的として設立された河合隼雄財団が主催。

 
物語賞は、人のこころを支えるような物語をつくり出した優れた文芸作品に与えられる賞で、児童文学もその対象としています。
選考委員は、小川洋子さん、後藤正治さん。

学芸賞は、優れた学術的成果と独創をもとに、様々な世界の深層を物語性豊かに明らかにした著作に与えられる賞です。
選考委員は、岩宮恵子さん、中沢新一さん、山極寿一さん。

両賞とも、選考は1年ごとに行われ、毎年3月からさかのぼって2年の期間内に発表・発行された作品を選考対象とします。

あしたの幸福 いとうみく (著), 松倉香子 (イラスト) 父の死を受け、親戚の家に世話になりたくない雨音は、ふりきった選択をする。それは幼い頃に家を出た産みの母に保護者になってもらうこと。「利用」「生きる術」とわりきり、自分の居場所を守ろうとする彼女がさわる幸せとは?

計算する生命 森田 真生 (著) 古代人が粘土や指を使って数を数えた時代から始まり、デカルトの代数的計算、現代のコンピュータまで、 計算は大きく姿を変えてきた。手にするスマホは、その歴史が濃縮された存在と言えるかもしれない。 計算はいつでも、人間の認識を拡張する営みだった。不確かな現実のなかで、確かな認識を得たいという情熱が、計算の歴史を駆動してきたのだ。 「人間が機械を模倣する」計算が、加速し続ける現代にあっても、人は、計算の結果を生み出すだけの機械ではない。思考し、意味を汲み出し、現実を新たに編み直し続ける「計算する生命」なのだーー。 数学を土台に独立で研究を重ねる著者が迫る、機械と生命の対立を越え、計算との新たな関係が形作る未来とは。 読者を圧倒する壮大な計算史は、教科書では学べない。そして、歴史を踏まえて、数学や言語から、今日的な環境の気候変動まで論じる姿勢は、他に追随を許さない内容となっている。<装幀:菊地信義>。

 
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