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凶悪事件の犯人に、果たして弁護士は必要なのか――薬丸岳さん構想17年『刑事弁護人』が刊行

薬丸岳さん著『刑事弁護人』(新潮社)

薬丸岳さん著『刑事弁護人』(新潮社)

第51回江戸川乱歩賞を受賞しベストセラーとなったデビュー作『天使のナイフ』をはじめ、連続ドラマ化された刑事・夏目信人シリーズ、『友罪』『告解』など多数の作品を意欲的に発表している小説家・薬丸岳さんの最新長篇小説『刑事弁護人』が新潮社より刊行されました。

 

気鋭のミステリー作家が「弁護士の使命と苦悩」を描き切る! 徹底的な取材の元に炙り出す、日本の司法制度の問題とは…?

現役警察官による殺人事件が発生。事件の背後に潜むのは、幼児への性的虐待、過去の残忍な誘拐事件、そして息子を亡くした母親の復讐心…。有罪率99.9%の刑事事件に挑む若き女弁護士は真実に辿り着けるのか――。

 
これまで一級のエンターテイメントの中に、日本社会の問題点を浮き彫りにしてきた薬丸岳さんが、今作で挑むのは「刑事弁護人」。時に残忍な事件の犯人を守らなければならない「弁護士のアイデンティティ」とは何か、綿密な取材を重ね、リアリティを追求して描かれました。

 
<『刑事弁護人』あらすじ>

ある事情から刑事弁護に使命感を抱く持月凛子が当番弁護士に指名されたのは、埼玉県警の女性警察官・垂水涼香が起こした殺人事件。凛子は同じ事務所の西と弁護にあたるが、加害者に虚偽の供述をされた挙げ句の果て、弁護士解任を通告されてしまう。一方、西は事件の真相に辿りつつあった。そして最後に現れた究極の存在とは…。

 
◆TBSドラマ「99.9 ~刑事専門弁護士-」法律監修・國松崇さんが今作も担当!

〔國松崇さんコメント〕

「刑事事件で無罪を勝ち取るためには,小さな疑問や違和感も見逃さず,徹底的に事実にこだわり抜く姿勢が求められます。主人公の凛子はまだまだ新米弁護士ですが、彼女の相棒で元刑事という異色の経歴を持つ西は、まさにそういうタイプ。法律監修という立場から、エンターテインメントと実務のリアリティを両立させるお手伝いをさせていただきましたが、特に物語が進むにつれてどんどん緊迫感を増していく裁判のシーンは、まさにその到達点だといえると思います。この作品をきっかけに「刑事事件の弁護」に興味を持つ人が増えたらいいなと思います。」

 
◆書評家・東えりかさんも絶賛

〔東えりかさん評〕

「迫真のリーガルサスペンス小説に仕上がった。まさに一読、巻を措く能わず。薬丸岳という小説家がまた大きく進化した。」
―『波』4月号より抜粋

 

薬丸岳さんが今作に込めた想い

 
■長年にわたり構想された新作『刑事弁護人』

「デビュー作を執筆した頃から弁護士という仕事に興味があり、いつか刑事弁護人を主人公にした小説を執筆したいと考えていました。ただ、書くためにはかなりの知識と特筆すべきアイディアが必要です。長い年月をかけて考える中で、「元刑事の弁護士」という設定に辿りついたとき、これなら書けると手ごたえを感じました。何より、今までにないリーガルミステリーを書きたかったんです」

 
■刑事弁護人という仕事、その先に示す日本社会の問題

「本書では、犯罪者を守る「弁護士のアイデンティティ」とはいったい何か、追求しました。その上で「弁護士という仕事の使命」をテーマに定め、ときに残忍な犯罪と向き合うこともある刑事弁護人に焦点を当てました。事件そのもの、日本の司法制度、加害者家族の辛さ、被害者家族の悲鳴、そして弁護士の信念や悩みを描く。これまで一貫して描いてきた「罪と罰」の集大成でもあり、僕にとっての新たなチャレンジでもあります。

 
夏目シリーズの『刑事のまなざし』を書いた時でさえ、続編、シリーズ化は考えていませんでしたが、『刑事弁護人』は連載時から続編を意識しています。司法の在り方や世間の人々が感じる矛盾など、この国にはたくさんの問題があります。それを主人公の二人を通じてなら書ける、書かなければなりませんし、それだけのことを託せる主人公たちとはまだまだ付き合いたいと思っています」

 

著者プロフィール

著者の薬丸岳(やくまる・がく)さんは、1969年生まれ。兵庫県明石市出身。駒澤大学高等学校卒業。2005年『天使のナイフ』(講談社文庫)で第51回江戸川乱歩賞を受賞してデビュー。

2016年『Aではない君と』で第37回吉川英治新人賞を、2017年「黄昏」で第70回日本推理作家協会賞(短編部門)を受賞。連続ドラマ化された刑事・夏目信人シリーズ、『友罪』『ガーディアン』『告解』など多数の作品を意欲的に発表している。

 

刑事弁護人
薬丸岳 (著), ケッソクヒデキ (イラスト)

ホストを殺した女刑事。
無実を信じて奔走する若き弁護士・持月凛子。
しかし、その証言は全て嘘だった――。

凶悪事件の犯人に、果たして弁護士は必要なのか――
気鋭のミステリー作家が「弁護士の使命と苦悩」を描き切る!
構想17年。徹底的な取材の元に炙り出す、日本の司法制度の問題とは……?

 


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