石原慎太郎さんの絶筆「死への道程」が『文藝春秋』に一挙掲載 芥川賞受賞作「太陽の季節」も全文掲載
文藝春秋は3月10日発売の『文藝春秋』4月号にて、作家で元東京都知事の石原慎太郎さんの絶筆「死への道程」を全文掲載します。
石原慎太郎さんの絶筆「死への道程」余命宣告を受けて『文藝春秋』に最後の投稿
石原慎太郎さんは本年2月1日に亡くなりましたが、生前、親族に最後の作品を託していました。
原稿には、石原さん自身により「死への道程」と題が付けられ、令和3年10月19日に病院で余命宣告を受ける場面から始まります。
以下、その一部を引用します。
《「これで先生この後どれほどの命ですかね」
質したら、
即座にあっさりと
「まあ後三ケ月くらいでしょうかね」
宣告してくれたものだった。
以来、私の神経は引き裂かれたと言うほかない》
石原さんはかねてから膵臓がんを患い、重粒子線治療を受けていましたが、再発していました。原稿には、この日以来はじまった「死」との格闘の日々が綴られています。
《「死」の予感とその肌触りは人間の信念や予感までを狂わせかねない。死に対する当人がこしらえた様様な免罪符や安息も許さない。それは死に関するいかなる自己撞着も赦さない》
次々と脳裏に浮ぶ想念との葛藤の末に最後に浮かんできたのは、美空ひばりさんの往年のヒット曲の歌詞――「いつかは沈む太陽だから」。
そして「死」との格闘は決着にむかいます。
4月号には、石原さんの最期を看取った四男・延啓さんのインタビュー「父は最期まで『我』を貫いた」が同時掲載され、最後の数カ月に病床の慎太郎さんが遺した言葉を紹介しています。
また芥川賞受賞作「太陽の季節」(『文藝春秋』昭和31年3月号の復刻版)も全文掲載されています。
『文藝春秋』編集長・新谷学さんのコメント
「四男延啓さんからお渡しいただいた最後の原稿は、涙なしには読めないものでした。戦う作家は、デビュー以来、自らの文学の主題であった『死』といかに向き合ったのか。石原慎太郎さんの本誌初登場は芥川賞受賞作『太陽の季節』ですが、合わせて読むと、見事な起承転結と言うよりほかありません。心からご冥福をお祈りいたします」
石原慎太郎さん プロフィール
石原慎太郎(いしはら・しんたろう)さんは、1932年生まれ。神戸市出身。1956年、一橋大学在学中に「太陽の季節」で芥川賞を受賞。
1968年、参議院全国区に出馬し史上初の300万票を得てトップ当選。衆院議員に鞍替え後、環境庁長官、運輸大臣を歴任。1999~2012年、東京都知事。国政に復帰後、2014年に政界引退。
1988年『生還』で平林たい子文学賞、1996年『弟』で毎日出版文化賞特別賞を受賞。1995~2012年、芥川賞選考委員。『「NO」と言える日本』(共著、1989年)、『老いてこそ人生』(2002年)、『天才』(2016年)などベストセラー多数。
文藝春秋2022年4月号 (創刊100周年記念号第4弾)
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