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カナダ・バンクーバーで愛された日本人女性による伝説のカフェ「NAOMI’S CAFE」の物語を書籍化『ナオミのカフェ NAOMI’S CAFE in Vancouver』が刊行

清水なおみさん著『ナオミのカフェ NAOMI'S CAFE in Vancouver』

清水なおみさん著『ナオミのカフェ NAOMI’S CAFE in Vancouver』

1971年から25年間、カナダ・バンクーバーで愛された日本人女性・清水なおみさんによる伝説のカフェ「NAOMI’S CAFE」の物語を初書籍化した『ナオミのカフェ NAOMI’S CAFE in Vancouver』が主婦の友社より刊行されました。

 

カナダ・バンクーバーに1971年開店し、地元カナディアンを中心に最も愛された「NAOMI’S CAFE」

1958年11月、戦後復興を遂げつつある日本から、たったひとりで日系人の夫が待つカナダへ渡った清水ナオミさん――。

日本人が故の人種偏見を受けながらも1971年11月、バンクーバー郊外に小さなレストラン「NAOMI`S CAFE」を開業しました。すべての料理は彼女の手から生み出され、そのおいしい料理は客同士を笑顔という名の絆でつないでいきました……。

 
NAOMI`S CAFE、それは単におなかを満たす場所ではなく、喜びも悲しみも分かち合える、もうひとつのわが家となっていったのです。1996年11月、惜しまれつつ店は閉じられましたが、ナオミさんはその後も料理インストラクターとして90歳を超える今も料理の素晴らしさを多くの人々に伝え続けています。

NAOMI’S CAFEにはじまり現在も続く彼女の料理に向き合う姿、生き様は、人生に疲れているあなたへ勇気と元気を与えてくれるはずです。

 

「わたしがバンクーバーに降り立ったのは、1958年(昭和33年)のことでした」

(「自分のお店を」より)

西も東もわからず、英語も話せず、いまのように、日本とカナダを簡単に行き来できるような時代ではありませんでしたから、日本の家族とはもう二度と会えないと覚悟して海を渡ってきました。

〈中略〉

当時はまだアジア人として差別を受けることもありました。英語もまったくできなかったので、仕事もなく、ボウル1杯85セントのえびの殻むき、レストランのお皿洗い、カナダ人の家の掃除など、そんなことをしながら生計を立てるしか生きていく術はなかったのです。貧しかった時期には仕事着が一着しかなくて、夜のうちに洗って、まだ半乾きの仕事着を朝また着て、歩きながら乾かしていく、といったこともありました。

 

「“商売人はお金に頭を下げる”という言葉がありますが」

(「信念を曲げず」より)

どんなに苦しくても、わたしはお金に頭を下げずに通してきました。もっともうけようと思えば、違うやり方があったのかもしれません。でも、お金よりも何よりも、こんなわたしの生き方をわかってくれるたくさんのすてきなお客さまたちのほうが、わたしにとってはずっと大切でした。

 

「つらいときには、じっとしゃがんでいればいい。それが次に飛び上がるときのバネになるから」

(「あなたに贈りたい言葉」より)

自分でも驚くくらいに長い時間を生きてきました。いろいろな経験をして、たくさんの人と出会いました。その中で育まれたわたしの人生観があります。このように考えたら、ちょっと人生が違って見えてくるかもしれません。
人生は、思うようには進まないものです。外からは何もないように見えていても、誰でも何かしらの問題を抱えているものだと、つくづく思います。順風満帆な人生などないのではないかと思えるほどです。誰もがそれぞれの問題と向き合いながら、必死で生きているのではないでしょうか」

 

「自分でもびっくりですが、人生91年目を迎えました。」今も現役の料理家、料理インストラクター

(「おわりに」より)

「今日もボーナスの命を与えられた」と感謝して、一日一日を大事にして暮らしています。まだまだやりたいことがたくさんあります。ひとりでも多くの人に、おいしいものを食べてもらいたい、幸せな気持ちになってもらいたい、と思うと、不思議とまた力が湧いてきます。

〈中略〉

「おいしい料理でみんなを笑顔にしたい!」という思いは、昔も今も変わりません。これからもカナダと日本の皆さんの温かい気持ちに支えられながら、心を込めて料理を作り続けていきます。

 

著者プロフィール

著者の清水なおみ(しみず・なおみ)さんは、1932年1月4日生まれ。大阪市此花区出身。1958年1月26日、カナダ日系2世の清水ジョージ昭三さんと結婚し、同年11月2日に横浜港からバンクーバーへ移住。

1971年11月8日、NAOMI’S CAFEを開店。以後25年間、地元カナダの人たちにおいしくて居心地が良くて、第2の我が家だと愛される店となり、裁判官や大学の教授、工事現場の作業員や日本人留学生と、職業、人種を問わず多くの人々が訪れた。1996年11月8日、行列の絶えない人気店だったが、ビルの老朽化に伴い惜しまれながら閉店。

その後はテレビや雑誌、コミュニティセンターなどのクッキングクラスのインストラクターを務める傍ら、教会のバザーやケータリングなどで、膨大な量の料理を90歳になったいまもなお一人で作り続けている。

 

ナオミのカフェ NAOMI`S CAFE in Vancouver
清水なおみ (著)

故郷から遠く離れたカナダで 差別や偏見の壁を乗り越え、 訪れるすべての人を笑顔に変えた NAOMI’S CAFE。その奇跡の物語 1971年11月、カナダはバンクーバーの外れに 小さなレストランがオープンした。 遠く日本から移住した日本人女性、 ナオミが切り盛りする「NAOMI’S CAFE」。 「人が好き、料理が好き」の一心で作り続けた 手作り料理と彼女の人柄が評判を呼び、 地元バンクーバーで誰もが知る有名店となった。 1958年にたったひとりでカナダに渡り、 偏見や差別を受けながらも 人種、民族の壁を越え、 多くの人に愛される店となったNAOMI’S CAFE、 そこに訪れる人々とナオミの心あたたまる物語。

 


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