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【紀伊國屋じんぶん大賞2022】読者と選ぶ人文書ベスト30を発表! 大賞は岸政彦さん『東京の生活史』

「紀伊國屋じんぶん大賞2022 読者と選ぶ人文書ベスト30」が決定!

「紀伊國屋じんぶん大賞2022 読者と選ぶ人文書ベスト30」が決定!

紀伊國屋書店は12月24日、「紀伊國屋じんぶん大賞2022 読者と選ぶ人文書ベスト30」を発表しました。

 

「紀伊國屋じんぶん大賞2022 読者と選ぶ人文書ベスト30」〔敬称略〕

1位:『東京の生活史』(編:岸政彦/筑摩書房)

2位:『愛と差別と友情とLGBTQ+ 言葉で闘うアメリカの記録と内在する私たちの正体』(北丸雄二/人々舎)

3位:『言語学バーリ・トゥード Round 1 AIは「絶対に押すなよ」を理解できるか』(川添愛/東京大学出版会)

4位:『誰がために医師はいる クスリとヒトの現代論』(松本俊彦/みすず書房)

5位:『<責任>の生成 中動態と当事者研究』(國分功一郎・熊谷晋一郎/新曜社)

6位:『実力も運のうち 能力主義は正義か?』(マイケル・サンデル、訳:鬼澤忍/早川書房)

7位:『アメリカンビレッジの夜 基地の町・沖縄に生きる女たち』(アケミ・ジョンソン、訳:真田由美子/紀伊國屋書店)

8位:『中国料理の世界史 美食のナショナリズムをこえて』(岩間一弘/慶應義塾大学出版会)

9位:『くらしのアナキズム』(松村圭一郎/ミシマ社)

10位:『ケアの倫理とエンパワメント』(小川公代/講談社)

11位:『精神分析の歩き方』(山崎孝明/金剛出版)

12位:『「論理的思考」の社会的構築 フランスの思考表現スタイルと言葉の教育』(渡邉雅子/岩波書店)

13位:『書き取りシステム1800・1900』(フリードリヒ・キットラー、訳:大宮勘一郎・石田雄一/インスクリプト)

14位:『働くことの人類学【活字版】 仕事と自由をめぐる8つの対話』(松村圭一郎・コクヨ野外学習センター/黒鳥社)

15位:『ヒッピーのはじまり』(ヘレン・S・ペリー、訳:阿部大樹/作品社)

16位:『心はどこへ消えた?』(東畑開人/文藝春秋)

17位:『犬神家の戸籍 「血」と「家」の近代日本』(遠藤正敬/青土社)

18位:『僕たちはどう生きるか 言葉と思考のエコロジカルな転回』(森田真生/集英社)

19位:『私はいま自由なの? 男女平等世界一の国ノルウェーが直面した現実』(リン・スタルスベルグ、訳:枇谷玲子/柏書房)

20位:『プロテストってなに? 世界を変えたさまざまな社会運動』(アリス&エミリー・ハワース=フ゛ース、訳:糟野桃代/青幻舎インターナショナル)

21位:『言葉をもみほぐす』(赤坂憲雄・藤原辰史/岩波書店)

22位:『災厄と性愛 小泉義之政治論集成I』『闘争と統治 小泉義之政治論集成II』(小泉義之/月曜社)

23位:『親鸞とマルクス主義 闘争・イデオロギー・普遍性』(近藤俊太郎/法藏館)

24位:『囚われのいじめ問題 未完の大津市中学生自殺事件』(北澤毅・間山広朗/岩波書店)

25位:『海賊共和国史 1696-1721年』(コリン・ウッダード、訳:大野晶子/パンローリング)

26位:『平成史 ― 昨日の世界のすべて』(與那覇潤/文藝春秋)

27位:『社会科学の哲学入門』(吉田敬/勁草書房)

28位:『マザリング 現代の母なる場所』(中村佑子/集英社)

29位:『水中の哲学者たち』(永井玲衣/晶文社)

30位:『みんな政治でバカになる』(綿野恵太/晶文社)

 

紀伊國屋じんぶん大賞について

紀伊國屋じんぶん大賞は、紀伊國屋書店が「読者の皆さまと共に優れた人文書を紹介し、魅力ある『書店空間』を作っていきたい」との思いから立ち上げ、今年で第12回目となります。

2020年12月~2021年11月に刊行された人文書を対象とし、一般読者の方々からのアンケートを元に、出版社、紀伊國屋書店社員による推薦を加味して事務局にて集計し、ベスト30を選定。

なお、当企画における「人文書」は、「哲学・思想、心理、宗教、歴史、社会、教育学、批評・評論」のジャンルに該当する書籍(文庫・新書も可)と定義されています。

 

「紀伊國屋じんぶん大賞2022フェア」を開催!

紀伊國屋書店では、2022年2月1日(火)より「紀伊國屋じんぶん大賞2022フェア」を開催予定です。

選考委員および読者からの推薦コメントを掲載した小冊子を店頭にて配布します。詳細は各店舗にお問い合わせください。

★詳細:https://store.kinokuniya.co.jp/event/jinbun2022_20211224/

 

東京の生活史
岸 政彦 (編集)

150人が語り、150人が聞いた、東京の人生
いまを生きる人びとの膨大な語りを一冊に収録した、かつてないスケールで編まれたインタビュー集。

……人生とは、あるいは生活史とは、要するにそれはそのつどの行為選択の連鎖である。そのつどその場所で私たちは、なんとかしてより良く生きようと、懸命になって選択を続ける。ひとつの行為は次の行為を生み、ひとつの選択は次の選択に結びついていく。こうしてひとつの、必然としか言いようのない、「人生」というものが連なっていくのだ。
(……)
そしてまた、都市というもの自体も、偶然と必然のあいだで存在している。たったいまちょうどここで出会い、すれ違い、行き交う人びとは、おたがい何の関係もない。その出会いには必然性もなく、意味もない。私たちはこの街に、ただの偶然で、一時的に集まっているにすぎない。しかしその一人ひとりが居ることには意味があり、必然性がある。ひとつの電車の車両の、ひとつのシートに隣り合うということには何の意味もないが、しかしその一人ひとりは、どこから来てどこへ行くのか、すべてに理由があり、動機があり、そして目的がある。いまこの瞬間のこの場所に居合わせるということの、無意味な偶然と、固有の必然。確率と秩序。
本書もまた、このようにして完成した。たまたま集まった聞き手の方が、たまたまひとりの知り合いに声をかけ、その生活史を聞く。それを持ち寄って、一冊の本にする。ここに並んでいるのは、ただの偶然で集められた、それぞれに必然的な語りだ。
だからこの本は、都市を、あるいは東京を、遂行的に再現する作品である。本書の成り立ち自体が、東京の成り立ちを再現しているのである。それは東京の「代表」でもなければ「縮図」でもない。それは、東京のあらゆる人びとの交わりと集まりを縮小コピーした模型ではないのだ。ただ本書は、偶然と必然によって集められた語りが並んでいる。そして、その、偶然と必然によって人びとが隣り合っている、ということそのものが、「東京」を再現しているのである。
(岸政彦「偶然と必然のあいだで」より抜粋)

 
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