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【第66回小学館児童出版文化賞】市川朔久子さん『小やぎのかんむり』と舘野鴻さん『つちはんみょう』

第66回小学館児童出版文化賞の最終選考会が9月14日に行われ、受賞作に市川朔久子さんの『小やぎのかんむり』と舘野鴻さんの『つちはんみょう』が選ばれました。

 

小学館児童出版文化賞とは

小学館児童出版文化賞は、小学館が1952年に創業30周年を記念して創設。文学部門と絵画部門の2部門から構成されていましたが、1960年より小学館文学賞と小学館絵画賞に分離独立、1996年から発展的に統合し、現在の名称となっています。

同賞は、児童出版文化の向上に貢献すると認められる作品及び作家を毎年選定し顕彰。4月から翌年3月までに発表された絵本、童話・文学(フィクション・詩・シナリオなど)、その他(ノンフィクション・科学絵本・図鑑・事典など)の出版物(翻訳・キャラクター・コミックスなどは除く)で、幼年ならびに少年少女に推薦したい優れた作品を対象としています。

 

第66回小学館児童出版文化賞について

今回の受賞作は、市川朔久子さんの『小やぎのかんむり』(講談社)と舘野鴻さんの『つちはんみょう』(偕成社)の2作品が受賞しました。

審査委員・作家・画家・写真家・各出版社・新聞社・児童文化団体・図書館・書店児童図書担当者・読者からの推薦を募り、それに事務局が収集した作品を加えて予備選考を行った結果、以下の作品が今年度の候補作となりました。

 
【候補作品】
『イルカと友達になれる海 大西洋バハマ国のドルフィン・サイト』(越智隆治さん/小学館)
『銀杏堂』(橘春香さん/偕成社)
『このあと どうしちゃおう』(ヨシタケシンスケさん/ブロンズ新社)
『小やぎのかんむり』(市川朔久子さん/講談社)
『つちはんみょう』(舘野鴻さん/偕成社)
『ネコヅメのよる』(町田尚子さん/WAVE出版)
『はじめてのオーケストラ』(佐渡裕さん・はたこうしろうさん/小学館)
『ひいな』(いとうみくさん/小学館)
『フラダン』(古内一絵さん/小峰書店)
『夜間中学へようこそ』(山本悦子さん/岩崎書店)
『わくせいキャベジ動物図鑑』(tupera tupera/アリス館)

 
これらの候補作品を、審査委員の荒井良二さん、今森光彦さん、鈴木のりたけさん、富安陽子さん、森絵都さんの5名が審査し、受賞作が決定しました。

なお、受賞者の市川朔久子さんと舘野鴻さんには、正賞としてブロンズ像が、副賞として賞金100万円が贈られます。贈賞式は、11月9日午後5時30分より、如水会館(東京・千代田区)にて開催。

 

小やぎのかんむり
中3の夏芽が飛びこんだのは、小さな山寺でのちょっと不思議なサマーキャンプ。人のやさしさを知る、感動作―。

 
つちはんみょう
ツチハンミョウは、「道教え」として知られる美麗な「ハンミョウ」と異なり、地味で目立たない控えめな虫です。その繁殖方法は独特で、4000個の卵から生まれる体長1ミリにも満たない小さな幼虫は、寄生先となるハチの巣にたどりつくため、いろいろな虫にとりついていきます。わずか4日という寿命の中、種の存続のために決死の旅をする幼虫たちの道程を、緻密かつ力強いタッチで描きます。
物語の最後では、ようやくたどり着いた巣の中で対峙する、2匹の幼虫たちが描かれます。そのすがたは、わたしたちにいのちのあり方について考えさせます。
ツチハンミョウについては『ファーブル昆虫記』にも記述がありますが、この本の主人公で日本固有種のヒメツチハンミョウについては、あまり知られていませんでした。著者の舘野さんは、その生態を解明すべく、8年にも及ぶ生態調査を行ない、その一部を明らかにしました。巻末の解説では、その調査のようすや、生態のくわしいようすを、臨場感のある写真を交えながら紹介します。

衝撃のデビュー作『しでむし』や『ぎふちょう』などのうつくしい細密画で知られる、著者渾身の新作絵本。

 
【関連】
第66回『小学館児童出版文化賞』最終選考結果のお知らせ | 小学館
速報 第66回『小学館児童出版文化賞』が決定いたしました。〔PDF〕

 


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