【第20回『このミステリーがすごい!』大賞】南原詠さん「バーチャリティ・フォール」が大賞を受賞 文庫グランプリに鴨崎暖炉さん「館と密室」
宝島社は、ミステリー&エンターテインメント作家・作品の発掘・育成を目的とする公募新人賞「第20回『このミステリーがすごい!』大賞」の受賞作を発表しました。
第20回『このミステリーがすごい!』大賞が決定!
第20回『このミステリーがすごい!』大賞は、応募総数468作品の中から、1次選考(23作品通過)、2次選考(8作品通過)を経て、南原詠(なんばら・えい)さんの「バーチャリティ・フォール」が受賞しました。
また文庫グランプリには鴨崎暖炉(かもさき・だんろ)さん(応募時ペンネーム:金平糖)の「館と密室」が選ばれました。
大賞賞金は1200万円、文庫グランプリ賞金は200万円で、2作品は2022年1月から順次、書籍化される予定です。
※刊行時、タイトルが変わる場合があります
<第20回『このミステリーがすごい!』大賞 受賞作品>
■大賞
南原詠(なんばら・えい)さん
「バーチャリティ・フォール」
※2022年1月刊行予定
■文庫グランプリ
鴨崎暖炉(かもさき・だんろ)さん
「館と密室」
※2022年2月刊行予定
大賞受賞作品「バーチャリティ・フォール」について
【あらすじ】
かつて企業の特許権侵害を暴いて荒稼ぎしていた大鳥小夜は、足を洗って、特許権侵害を「警告された企業を守る」専門の特許法律事務所を設立。映像技術の特許権侵害を警告され、活動停止を迫られる人気VTuberを救うべく奔走するも追い込まれた小夜は、いちかばちかの秘策に……。特許の専門家・弁理士の豪腕が炸裂する企業ミステリー!
【受賞者プロフィール】
東京都目黒区出身。東京工業大学大学院修士課程修了。元エンジニア。現在は企業内弁理士として勤務。
【受賞コメント】
人類の技術進歩を裏から支える特許制度を、もっと世の中に広めたい、なんて高尚な意図は微塵もありません。特許制度とは、600年以上も前から存在している「独占ゲームのルール」です。このルールで、おおいに遊んでやろうと思って書きました。
主人公たちと敵たちが、ルールに基づき攻撃と防御を繰り広げる、いわば知的スポーツのお話です。楽しんで観戦してもらえれば幸いです。
<選評>
「ビジネス小説的な(『半沢直樹』的な)駆け引きと、リーガルサスペンス的なロジックと、VTuberという旬の題材の魅力が融合して、たいへんスリリングかつユニークなミステリーに仕上がっている。」(大森望さん/翻訳家・書評家)
「キャラクターがみな活き活きしていて、特許権侵害の事前交渉専門の弁理士という職業も新鮮、構成もしっかりしている。特許にまつわる法律のあれこれも「なるほど」と思わせ、絶対不利に思える状況をどう解決するのかで読ませる。」(瀧井朝世さん/ライター)
★試し読みはこちらから:https://konomys.jp/information/first-vol_20/11384.php
文庫グランプリ 受賞作品「館と密室」について
【あらすじ】
密室殺人が多発するようになった現代日本。とあるミステリー作家が遺した「雪白館」というホテルを訪れた高校生の葛白香澄は、宿泊客の一人が密室内で殺されているのを発見した。館に通じる唯一の橋が落とされ、孤立した状況で密室殺人が相次ぐなか、再会した中学時代の同級生・蜜村漆璃は次々と密室の謎を解いていく。
【受賞者プロフィール】
山口県宇部市出身。東京理科大学理工学部卒業。現在はシステム開発会社に勤務。
【受賞コメント】
密室殺人を扱うとなると、どうしても「犯人は何故現場を密室にしたのか」という謎がセットになるかと思うのですが、本作ではそこを逆手に取って、そのホワイダニット自体が生まれない世界観――つまり、すべての犯人にとって密室を作ることに意味があるような世界観を構築してみました。
クローズドサークルと化した館に、大量の密室殺人、天才的な頭脳をもった名探偵と、王道の本格ミステリを目指しております。密室に詳しい方もそうでない方も楽しめるような作品になればと思っておりますので、是非お手に取っていただけると嬉しいです。
<選評>
「連発される密室トリックの中ではドミノの密室がイチ推し。本格ミステリ刊行ラッシュの中に割って入るだけの力はありそうだ。」(大森望さん/翻訳家・書評家)
「密室殺人尽くし趣向が楽しい。主役の二人を始めキャラ設定もいかにもマニアックでかつ軽快。」(香山二三郎さん/コラムニスト)
「これでもかというくらい密室ネタを盛り込んで、遊び心たっぷり。探偵役となる少女も謎めいていて魅力的だ。登場人物の名前などユーモアもたっぷり。」(瀧井朝世さん/ライター)
★試し読みはこちらから:https://konomys.jp/information/first-vol_20/11237.php
『このミステリーがすごい!』大賞について
『このミステリーがすごい!』大賞は、ミステリー&エンターテインメントブックガイド『このミステリーがすごい!』を発行する宝島社が、新時代の新しいミステリー&エンターテインメント作家・作品の発掘・育成を目的に、2002年に創設した新人賞です。大賞賞金は文学賞最高額である1200万円。受賞作はすべて書籍化されます。
これまで、第153回直木賞を受賞した東山彰良さんや、累計1066万部突破の『チーム・バチスタの栄光』シリーズの海堂尊さん、音楽ミステリー『さよならドビュッシー』や社会派ミステリー『護られなかった者たちへ』で知られる中山七里さんなどの作家を輩出してきました。
また、志駕晃さんの『スマホを落としただけなのに』シリーズなど、映像化作品も多数世に送り出しています。さらに、受賞には及ばなかったものの、将来性を感じる作品を「隠し玉」として書籍化。岡崎琢磨さんの『珈琲店タレーランの事件簿』シリーズをはじめ、「隠し玉」からもベストセラー作品が多く生まれています。
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