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小手鞠るいさん「第68回小学館児童出版文化賞」受賞作『ある晴れた夏の朝』英語版が刊行 国民の56%が「原爆投下は正しかった」と答える米国を舞台に、高校生が「原爆の是非」を徹底討論

小手鞠るいさん「第68回小学館児童出版文化賞」受賞作『ある晴れた夏の朝』英語版が刊行

小手鞠るいさん「第68回小学館児童出版文化賞」受賞作『ある晴れた夏の朝』英語版が刊行

偕成社は、小手鞠るいさんの「第68回小学館児童出版文化賞」受賞作『ある晴れた夏の朝』の英文版『On A Bright Summer Morning』(英訳:グレン・サリバンさん)を刊行しました。

 

『ある晴れた夏の朝』とは

『ある晴れた夏の朝』は、米国在住の作家・小手鞠るいさんによる2018年7月刊行のYA(ヤングアダルト)小説です。2019年の小学館児童出版文化賞を受賞しました。また、第65回青少年読書感想文全国コンクールの課題図書〈中学生部門〉にも選出され、現在累計7万部以上を発行しています。

 
アメリカの大手民間調査機関ピュー・リサーチ・センターが2015年に行った世論調査によると、アメリカ人の56%が現在も日本への原爆投下を正当化しています。本書は、原爆が先の戦争を終わらせたという意見が根強い米国を舞台に、8人の高校生が「原爆の是非」について行うディベートの様子を描く小説です。

 
肯定派、否定派、それぞれのメンバーは、日系アメリカ人のメイ(主人公)をはじめ、アイルランド系、中国系、ユダヤ系、アフリカ系と、そのルーツはさまざま。ディベートの議論の内容は、原爆のみならず、真珠湾攻撃、日中戦争、ナチズム、アメリカマイノリティなどにも話が及びます。

一方が説得力のある主張をしても、もう一方も反論の余地のないほど鋭い切り込みを入れる。そのやりとりを追いながら、必然的に読み手もディベートの9人目のメンバーとして、深く考えさせられる構成になっています。

 
戦争を知らない若い世代に、対戦国であったアメリカのいまの若者たちの姿を通して、客観的に先の戦争について、人類がめざすべき平和について、考えるきっかけを与える小説です。

 

英語版の刊行について

このたび刊行された『ある晴れた夏の朝』の英語版『On A Bright Summer Morning』の訳を行ったのは、小手鞠るいさんのパートナーである、グレン・サリバンさんです。

 
本書の英訳の目的を小手鞠さんは、「原爆は悪であり、悲劇であるということ。そして、原爆が投下されるまでの過程を世界中の若者に知ってほしい」と語っています。

 

著者プロフィール

 
■著者:小手鞠るい(こでまり・るい)さん

1956年生まれ。岡山県出身。同志社大学卒業。小説家。

詩とメルヘン賞、海燕新人文学賞、島清恋愛文学賞、ボローニャ国際児童図書賞などを受賞。2019年には『ある晴れた夏の朝』(偕成社)で、子どもの本研究会第3回作品賞、小学館児童出版文化賞を受賞。

主な作品に『エンキョリレンアイ』『きみの声を聞かせて』『アップルソング』『思春期』『初恋まねき猫』『放課後の文章教室』『空から森が降ってくる』など多数。1992年に渡米、ニューヨーク州ウッドストック在住。

 
■訳者:グレン・サリバンさん

1962年生まれ。アメリカ・ハワイ州出身。イェール大学哲学科卒業。 1984年に来日した後、『日本語ジャーナル』 の英文編集及び英訳監修を担当。1992年に帰米し、 コーネル大学大学院でアジア文学を履修。

主な著書に『英語で読む 源氏物語』(全2巻)、翻訳書に『英語版 佐賀のがばいばあちゃん』などがある。

 

On A Bright Summer Morning ある晴れた夏の朝 英文版
小手鞠るい (著), グレン・サリバン (翻訳)

■原本

ある晴れた夏の朝
小手鞠 るい (著), タムラ フキコ (イラスト)

アメリカの8人の高校生が、広島・長崎に落とされた原子爆弾の是非をディベートする。肯定派、否定派、それぞれのメンバーは、日系アメリカ人のメイ(主人公)をはじめ、アイルランド系、中国系、ユダヤ系、アフリカ系と、そのルーツはさまざまだ。はたして、どのような議論がくりひろげられるのか。そして、勝敗の行方は?

【出版社からのコメント】
反戦をテーマにした児童文学は、ほぼその刊行国の視点で描かれる場合が通例だが、この作品は、日本人作家による、アメリカ側の視点で描かれた物語である。メインテーマは原爆の是非だが、それぞれの登場人物のおかれた立場から、真珠湾攻撃、日中戦争、ナチズム、アメリカマイノリティなどにも話が及ぶ。
「先の日本で行われた戦争とは、なんだったのか」
日本の若い読者にとっては、対戦国であったアメリカのいまの若者たちの姿を通して、客観的にこのことについて考えることができるだろう。
日本人作家による、YAジャンルのあたらしい試みともいえる作品。

 


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