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かこさとしさんが自ら編んだ初の童話集「かこさとし童話集」全10巻が刊行開始

偕成社は、かこさとしさん作・絵「かこさとし童話集」シリーズ(全10巻)の刊行を開始しました。

 

『からすのパンやさん』50周年に刊行する、自ら編んだ初の童話集

2018年に逝去したかこさとしさんは、240余りの小さなお話の原稿を残し、自ら編んでいました。未発表のものや、過去に雑誌に掲載されたもの、紙芝居のために書いたもの、まだ本にしていないお話などに、亡くなる直前まで手を加え、挿絵を描いて、童話集として編集をしていたのです。なかには90歳ちかくになって書かれたお話もあれば、20代の頃に書かれたお話もあります。

 
これまでにも童話集は刊行されたことがありますが、「自ら編んだ」ものとしては初めてのものになります。

 
かこさとしさんの代表作の一つである絵本『からすのパンやさん』の刊行50周年の今年に合わせて、刊行される本シリーズ。文字を読み始めた小さな子から小学生くらいの子どもたちに向けて、どこから読んでも楽しめるおもしろいお話をたっぷり収録しています。

 

亡くなる一ヶ月半前に託された原稿

本シリーズの原稿は、かこさとしさんが亡くなる一ヶ月半前に、偕成社の担当編集者に託されたものです。

 
当初は、1巻のなかにさまざまな対象年齢の異なるお話や、長さの違うお話が入っていたことから、改めて編集しなおすことも検討されましたが、読めば読むほど、各お話の並び順や、まとめ方にも、かこさとしさんの考えがあることが感じられてきて、かこさとしさんが編んだ順番、タイトル、そのままに刊行することになりました。

A4用紙に小さなコマをつくり、挿絵を描いているものもあります。1カットはとても小さいのですが、小さいなかにも、生き物たちの個性豊かな表情や、背景にある物語がみてとれる動きのある場面が、しっかりと描かれています。

 
<序文より>

この童話集は全部で十巻、さまざまなお話がおさめられています。

かこさとし(加古里子)が二十代のころの作品もあれば、九十歳近くになってからまとめた作品もあります。またその内容・テーマも、動物が登場するお話、昔話、身近な生活が舞台のお話、そして海外の物語と、幅広いものです。

 作風も、小さなお子さん向けのかわいらしいお話もあれば、大人向けといえるような作品もありと、一様ではありません。さらに形態、紙芝居用にまとめたお話、詩のような作品、語り聞かせを意識した構成になっているものなどいろいろですが、かこさとし自身が選び、編んで並べた順番はそのままになっています。

読者のみなさんには、順番にとらわれずおもしろそうだなと思った作品から読んでいただくこともおすすめします。

 

扉には、かこさとしさんの故郷の越前和紙を使用

生涯、故郷の武生(福井県)を愛したかこさとしさんの想いをとりいれ、扉ページには越前和紙を使用しています。越前和紙は、かこさんの故郷・福井県の重要無形文化財です。

このシリーズで使用されているのは、廃棄される野菜や果物の皮などを利用して作られたフードペーパー(和紙)で、1~3巻はネギから作られています。

 

「かこさとし童話集」刊行スケジュール

<10月2日刊行>
◆かこさとし童話集(1) 動物のおはなし その1
◆かこさとし童話集(2) 動物のおはなし その2

<10月30日刊行>
◆かこさとし童話集(3) 動物のおはなし その3
◆かこさとし童話集(4) 日本のむかしばなし その1

<11月刊行>
◆かこさとし童話集(5) 日本のむかしばなし その2
◆かこさとし童話集(6) 生活のなかのおはなし その1

<12月刊行>
◆かこさとし童話集(7) 生活のなかのおはなし その2

<2024年2月~3月刊行>
◆かこさとし童話集(8) 生活のなかのおはなし その3
◆かこさとし童話集(9) 世界のおはなし その1
◆かこさとし童話集(10) 世界のおはなし その2

 

著者プロフィール

かこさとしさんは、1926年生まれ、福井県武生市(現・越前市)出身。1948年東京大学工学部応用化学科卒業。工学博士。技術士(化学)。民間化学会社研究所勤務のかたわら、セツルメント運動、児童会活動に従事。1973年退社した後は、子どもの本の執筆に携わる。また児童文化の研究者でもある。

作品は、物語絵本、科学・天体・社会関係の知識絵本、童話、紙芝居など多岐にわたり、500点以上。主な作品に「かこさとしおはなしのほん」シリーズ『ピラミッド』『うつくしい絵』(偕成社)、「だるまちゃん」シリーズ『かわ』『海』『万里の長城』(福音館書店)、「かこさとしからだの本」シリーズ(童心社)、『伝承遊び考』「こどもの行事 しぜんと生活」シリーズ(小峰書店)などがある。1963年サンケイ児童出版文化賞大賞、2008年菊池寛賞、2009年日本化学会特別功労賞、2012年東燃ゼネラル児童文化賞、2017年巌谷小波文芸賞などを受賞する。

福井県越前市に「かこさとしふるさと絵本館 (らく)」と、かこさとしさん監修による絵本の要素がいっぱいつまった「武生中央公園」がある。2018年逝去。

 

かこさとし童話集 動物のおはなしその1 (かこさとし童話集 1)
かこさとし (著)

2018年に逝去したかこさとし氏は、240余りの小さなお話の原稿を残し、自ら編んで、さまざまなお話の種類に分類していました。
「動物のおはなし」「日本のむかしばなし」「生活のなかのおはなし」「世界のおはなし」です。
まだ本にしていないお話や、雑誌に掲載されたり、紙芝居としてかかれたお話を、亡くなる直前まで手を加えたり挿絵を描いて、童話集として編集をしていたのです。どの巻も、文字を読み始めた小さな子から小学生くらいの子どもたちに向けて、どこから読んでも楽しめるおもしろいお話をいっぱい収録しています。

1巻は、3冊あるうちの「動物のおはなし<その1>」。
からすのカンタくんの成長のお話「おむすび山のカラスちゃん」から始まり、お寺の境内でありんこたちが大きなお菓子を見つけて大騒ぎする「こってりチョコ菓子じけん」、1953年に初めて大型紙芝居として描かれた作品を元にしたナメクジのお話「おすましヌルちゃん がんばりヌラちゃん」、両親を亡くした8ひきのこぶたたちが、親切な大人たちの助けによってアイスクリームやさんを始めて大繁盛する「こぶたのアイス さあどうぞ」など、バラエティに富み、かこ氏の子どもたちに向けたまなざしや励ましがつまったお話が29話も楽しめます。

かこさとし童話集 動物のおはなしその2 (かこさとし童話集 2)
かこさとし (著)

2巻は、3冊あるうちの「動物のおはなし<その2>」。きつねの学校とたぬきの学校を舞台にしたさまざまな学校行事のお話シリーズ、リズミカルな歌にあわせてお話が進んでいく、大忙しの「ハチの花やさん」や、山のてっぺんからころがったおだんごをかめさんが追いかけて起こる騒動「ころころ べたべた びっちゃんこ」、日本の浪曲のようなお話「なまずのじろ長」など、バラエティに富み、かこ氏の子どもたちに向けたまなざしや励ましがつまったお話が24話も楽しめます。

 


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