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構想から68年!絵本作家かこさとしさんの未発表作品『秋』が刊行!

かこさとし(加古里子)さん著『秋』

かこさとし(加古里子)さん著『秋』

2018年に亡くなった、絵本作家・かこさとし(加古里子)さんの未発表作品『秋』が、講談社より刊行されました。

絵本『秋』は、かこさとしさんが作家としてデビューする前に自身の戦時中の体験をもとに描いた、初めて世に出るオリジナル作品です。

 

自宅の倉庫に半世紀以上眠っていた、未発表作品

かこさとしさんは、「だるまちゃん」シリーズなどで知られる絵本作家で、3年前の2018年5月に92歳で亡くなりました。

このたび、未発表作品『秋』を刊行することになったのは、昨年、コロナでステイホームの期間中、加古総合研究所の鈴木万里さん(かこさとしさんの長女)が古い作品を整理していたところ、見つけたのがきっかけでした。

 
最初の原稿執筆は1953年。元々は、子どもたちに読み聞かせる紙芝居として制作されたものでしたが、絵本として出版するときの編集上の注意などが書かれた原稿用紙が一緒に見つかり、かこさんがこの作品を絵本にしようとしていたことが明らかになりました。

 

平和を願う、かこさんの強い思いが込められた作品

テーマは、かこさんが終生、憎んでいた「戦争」です。

太平洋戦争のとき、高校生だったかこさんが体験した実話で、戦争の悲惨さに怒り震える気持ちを、いつまでも忘れないようにと子どもたちに伝えようとした作品です。

『秋』という題字の色に込めた思い......澄み切った爽やかな空の色、そこに揺れるコスモスのピンク、そして暗い影を落とした戦争の黑。

『秋』という題字の色に込めた思い……澄み切った爽やかな空の色、そこに揺れるコスモスのピンク、そして暗い影を落とした戦争の黑。

(本文より)
私はちいさいときから、秋が大好きでした。

ところが、そのすてきな秋を、
とてもきらいになったときがありました。
とてもいやな秋だったことがあります。

それは、今からずっとむかしの、
昭和19年のことでした。

 

かこさとしさん プロフィール

かこさとしさんは、1926年生まれ。現在の福井県越前市出身。工学博士。技術士(化学)。東京大学工学部卒業後、化学会社に勤務しながらボランティアで子どもたちと関わり、『だむのおじさんたち』で絵本作家としてデビュー。

『だるまちゃんとてんぐちゃん』『からすのパンやさん』をはじめ、『かわ』『宇宙』などの科学絵本も含め、著作は600作以上に及ぶ。菊池寛賞、日本化学会特別功労賞、巖谷小波文芸賞など受賞多数。

越前市にかこさとしふるさと絵本館「石石(らく)」、だるまちゃん広場(武生中央公園)がある。2018年5月没。

★公式ウェブサイト:https://kakosatoshi.jp/

 


かこ さとし (著)

かこさとし未発表作品、ついに刊行!

倉庫に眠っていた、かこさとし未発表作品は、コロナでステイホームの期間中、加古総合研究所の鈴木万里さん(かこさとし長女)が作品整理中に見つけたものです。
この作品の最初の原稿執筆が1953年、なんと構想から実に68年、半世紀以上を経て初めて世に出るオリジナル作品です。

子どもたちの未来を考えるすべての皆さんに、天国のかこさんからの贈り物です!

 


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