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【訃報】絵本作家・かこさとし(加古里子)さんが死去 「だるまちゃん」シリーズ、『からすのパンやさん』など

絵本作家で児童文化の研究者のかこさとし(加古里子=本名:中島哲〔なかじま・さとし〕)さんが5月2日、死去しました。92歳。葬儀は親族のみで行いました。後日、偕成社・小峰書店・福音館書店の3社合同主催で偲ぶ会が開催される予定。

 
かこさとし(加古里子)さんは、1926年福井県武生市(現在の越前市)生まれ。1948年に東京大学工学部応用化学科を卒業。工学博士。技術士(化学)。

昭和電工勤務のかたわら、セツルメント(困窮者への奉仕支援)運動、児童会活動に従事。1973年に会社を退社した後は、子どもの本の執筆に携わります。

1963年にサンケイ児童出版文化賞大賞、1975年にエッセイストクラブ賞、2008年に菊池寛賞、2009年に日本化学会特別功労賞、2012年に東燃ゼネラル児童文化賞、2017年に巌谷小波賞を受賞するなど受賞歴多数。

 
作品は、物語絵本、科学・天体・社会関係の知識絵本、童話、紙芝居など多岐にわたり、600点を超えます。

主な作品に「かこさとし おはなしのほん」シリーズ、『からすのパンやさん』『どろぼうがっこう』『ピラミッド』『うつくしい絵』(偕成社)、「だるまちゃん」シリーズ、『かわ』『海』『万里の長城』(福音館書店)、「かこさとし からだの本」シリーズ(童心社)、『伝承遊び考』「こどもの行事 しぜんと生活」シリーズ(小峰書店)などがあります。

最近まで、意欲的に創作活動に取り組まれており、今年(2018年)1月には『だるまちゃんとかまどんちゃん』など、「だるまちゃん」シリーズ3冊を同時刊行。さらに3月には、小学校6年生の時に綴った絵日記を書籍化した『過去六年間を顧みて かこさとし 小学校卒業のときの絵日記』(偕成社)を刊行されたばかりでした。

 

からすのパンやさん (かこさとしおはなしのほん (7))
カラスの町「いずみがもり」にある、1軒の売れないパン屋さん。お父さんお母さん、4羽の子ガラス、家族みんなで、楽しい形のパンをどっさり焼いた。パンを買いにやってきたカラスの子ども、おじいさん、おばあさん、そしてなぜか消防自動車、救急車、テレビのカメラマンまでやってきて森は大騒ぎに…。

思わず目を奪われる「たのしい おいしい パン」の見開きページには、80種類以上ものパンが描かれている。いちごパン、ゆきだるまパンなどなじみのある形のものもあれば、ヘリコプターパン、はぶらしパン、さざえパンなどなかなかパンにしないような形のものまで、こんがりと色づいて並んでいる。

集まってくるたくさんのカラスたちも、ひとりひとりが実に個性的。すましていたり、怒っていたり…おばあさんカラスにはしわもあるし、お嫁さんカラスだっている。パンのページを堪能したら、ぜひ「もう一度からすたちの表情をみて笑ってください」(著者「あとがき」より)。

 
だるまちゃんとかまどんちゃん (だるまちゃんの絵本)
「だるまちゃん」シリーズの最新刊です! 今回のだるまちゃんのお相手は「かまどんちゃん」。かまどんちゃんは、いつもすみっこのほうで草や花をつかって、おいしいままごと料理を作ってくれる、静かな女の子です。 あるひ、だるまちゃんが女の子たちとままごとあそびをしていると、どこからかこげたにおいがしてきました。 見まわすと、近くの家からけむりが出ています。だるまちゃんはかまどんちゃんと一緒に、火元を消そうと奮闘します。

 
過去六年間を顧みて かこさとし 小学校卒業のときの絵日記
絵本作家かこさとしの源流を見つけた!

物語絵本、科学、天体、社会関係の知識絵本、紙芝居など多岐にわたり600作以上の作品がある絵本作家・かこさとし氏の、小学校卒業時の絵日記。 かこさとし氏は1926年生まれ。小学校卒業時は1938年、時代は戦時色につつまれてくるキナ臭い状況のなか、小学生時代の生き生きとした思い出がつづられている。小学生時代をまとめるよう担任からいわれ、みんなは数枚の作文を書いていたが、原稿用紙を何十枚も使って書いた氏の日記には挿絵もたくさんあり、本のようにきれいに綴じられている力作で、後の絵本作家を予見するようなオリジナリティにあふれている。あわせて当時のエピソードを聞き書きしたものを加えてまとめた、絵日記再録。

 
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2018年5月7日 お知らせ | かこさとし 公式webサイト
かこさとし 公式webサイト

 


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