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文筆家・五所純子さん初の単著『薬を食う女たち』刊行 ブレイディみかこさん推薦「これは女の声たちであり、詩であり、ノンフィクションと文学の裂け目を繋ぐ新しい表現だ」

五所純子さん著『薬を食う女たち』

五所純子さん著『薬を食う女たち』

気鋭の文筆家・五所純子さんによる初の単著『薬(クスリ)を食う女たち』が、河出書房新社より刊行されました。

 

《ルポ+文学》の新たな金字塔! 『薬を食う女たち』が発売!

「わたしは彼女たちを、標本にも証言者にも被験者にもしたくなかった。
あるいは、快楽主義の現代人女性、破廉恥な語り手、貧しい肖像、被抑圧者、被害者、病者、愚者、そのすべてでありながら、そのすべてを踏みこえるほどの主人公にしたかった。」
(あとがきより)

 
映画、音楽、文学、アート……これまで様々なシーンで活躍をしてきた気鋭の文筆家・五所純子さんの意外にも初となる単著『薬(クスリ)を食う女たち』が発売されました。

 
本書は覚醒剤や大麻、睡眠薬といったドラッグと、女性たちとの関係をドキュメント取材し、その成果を丹念に描き、新たな表現へと昇華させた12章からなる作品です。

日常の暗部を単に暴いてみせるだけではなく、現代を生きる女性たちの身に起こっている様々な事柄、彼女たちが危険にさらされ、葛藤し抵抗する姿、登場人物それぞれが抱える事情、トラウマと逸脱性、カネとセックス、生きざまと死生観が、ときに笑いを誘い、ときに息詰まるハードボイルド感でもって描かれます。

 
『スタジオ・ボイス』『nu』『現代思想』『キネマ旬報』他雑誌への寄稿、ネット配信番組「DOMMUNE」でのインタビュアー(瀬戸内寂聴さん、デヴィ夫人からレジデンツまで!)、司会等でも活躍する著者による、事実に根ざし、現実に似ながらも、そこを脱し、なおいっそう「女たち」の現実を活写した脅威の一冊です。

「フィクション、ノンフィクションとは何か」という問いを突きつける《ルポ+文学》の新たな金字塔の誕生です。

 
※本書のタイトルは、ブラックパワーの高まりと挫折を乗り越えた1980年代、翻訳家・エッセイストの藤本和子さんが黒人女性への聞き書きをまとめた名著『塩を食う女たち―聞書・北米の黒人女性』(岩波現代文庫)へのオマージュです。

 

本書の一部あらすじ

 
「第1章 インタビュー」
「おぼえてないですね」。まただ。はぐらかされるのがわたしの仕事だ、とインタビュアーは思った。はぐらかしているわけではなかった。はぐらかすなら嘘八百をさくっと述べたほうが怪しまれないし、嘘は借金よろしく雪だるま式に増えていくから労と対価が釣り合わない。まじめに思い出そうとしても漠然としてる、ただそれだけ。

 
「第2章 産毛」
杏(あん)と梨々(りり)は「古い友達」。中学の頃、杏は梨々を援デリグループに誘った。梨々は援交の仕組みを業者から盗み、派遣型買収ビジネスを始める。儲けるだけ儲けて梨々はとつぜん手を引いた。めざといリーダー、ビジネスの才覚。次に来たスカウトはおっパブ、バイブバー、ギャルスナック…。ぜんぶ杏と梨々でふたりじめ。病めるとき、悲しみのとき、貧しいとき、ふたりは「シャブやりたい」と言い合った。

 
「第9章 住めば都」
2011年3月11日、夫が帰ってこなかった。やがて帰ってこない夜が増えて、ときどき帰るとすぐにシャワーを浴びた。ばかな人だ。さすがにわかる。眠れない。息がきれる。鬱病になるような人間ではないと思ういっぽう、行くべき場所は心療内科しか思いつかない。「鬱病だね」医者が抗不安剤と睡眠導入剤の名をパソコンに打つ。薬は飲めば飲むほど飲まずにいられなくて、意識がときどき途切れ、いらいらがつのり、家へと帰る道すがら、今夜のおかずはなにを壊してやろうかとらんらんした。

 
「第11章 こつこつ」
七瀬(ななせ)は人生をふりかえる。矯正プログラムでは、人生を見つめなおすのが唯一の方法だと言われた。自分が生まれる前から振り返るべきか。祖母も、母も、娘への期待が大きすぎた。どうかあんな娘に育ちますように、と祖母は希望のほうから母への期待を膨らませた。どうかあんな子に育ちませんように、と母は不安のほうから七瀬への期待を肥えさせた。娘はますます誇らしくない人間になって母の期待に応えようとした。高校に入って間もなく、七瀬は家出した。

 

著者プロフィール

著者の五所純子(ごしょ・じゅんこ)さんは、1979年生まれ。大分県宇佐市出身。文筆家。

共著に『虐殺ソングブックremix』(河出書房新社)、『1990年代論』(河出書房新社)、『心が疲れたときに観る映画』(立東舎)など映画・文芸を中心に多数執筆。

本書が初めての単著となる。

 

薬を食う女たち
五所純子 (著)

覚醒剤や大麻、睡眠薬……そして現代を生きる女性たちの身に起こるさまざまな事柄、葛藤し抵抗する姿を丹念に描き、新たな表現へと昇華(あぶ)る
フィクション/ノンフィクションとは何かを問う《ルポ+文学》の新たな金字塔、ここに誕生。

写真:草野庸子
装丁:松本弦人

 


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