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『82年生まれ、キム・ジヨン』著者チョ・ナムジュさん最新作『ミカンの味』が刊行 少女4人がある約束を守ろうと連帯するシスターフッド小説

チョ・ナムジュさん著『ミカンの味』(訳:矢島暁子さん)

チョ・ナムジュさん著『ミカンの味』(訳:矢島暁子さん)

朝日新聞出版は、『82年生まれ、キム・ジヨン』で世界中にフェミニズム文学のムーブメントを起こした韓国人作家チョ・ナムジュさんの最新作『ミカンの味』(訳:矢島暁子さん)を刊行しました。

本作の主人公は、4人の女子中学生。彼女たちが交わした約束をめぐる展開を軸に、それぞれの生い立ちや現在を交互に語る形で展開していきます。

 

『82年生まれ、キム・ジヨン』 著者×『アーモンド』訳者の最強タッグで贈る、大注目の韓国文学作品!

言葉にできない感情の狭間で揺れながらも何かを掴もうともがき、やがて少女たちは連帯していきます。

危うさもはらんだ彼女たちの連帯の姿を、社会学者の春木育美さんは、

<目的が違ったとしても、自分の意思と反する抑圧に抗いたいという思いに共感することはできる。そして、「仲間」とともに「連帯」し、励まし合うことで、より良い方向へと一歩前進することができるかもしれない。『ミカンの味』は、そんなエールを子どもや大人たちに投げかけてくれる作品である>

と表現しました。

 
本作はフェミニズム文学の旗手が描くシスターフッド小説です。少女たちを優しく見守るかのような語り口は、いつかの自分の姿に重なり、うずく心を優しく包み込んでくれます。新しい「私たちの物語」の始まりです。

 
【あらすじ】

中学校の映画部で仲良くなったソラン、ダユン、ヘイン、ウンジは「いつも一緒にいる4人」。中学3年生になる直前、彼女たちは旅先の済州島で衝動的にある約束を交わし、タイムカプセルに入れて埋める。未来が変わるかもしれないこの約束をめぐって、次々と事件が起こるが――。

 

著者プロフィール

 
■著者:チョ・ナムジュさん

1978年、韓国・ソウル生まれ。梨花女子大学社会学科卒業。卒業後は放送作家として社会派の「PD 手帳」「生放送・今日の朝」など時事・教養番組を10年間担当した。2011年、長編小説『耳をすませば』で文学トンネ小説賞に入賞して文壇デビュー。

2016年に発表した『82年生まれ、キム・ジヨン』は韓国で130万部を超える大ベストセラーになり、25の国と地域で翻訳されている。

 
訳:矢島暁子(やじま・あきこ)さん

学習院大学文学部卒業。高麗大学大学院国語国文学科修士課程で国語学を専攻。

訳書に、ソン・ウォンピョンさん『アーモンド』(祥伝社/2020年本屋大賞翻訳小説部門第一位)、キム・エランさんほか『目の眩んだ者たちの国家』(新泉社)、イ・ギュテさん『韓国人のこころとくらし』(彩流社)、洪宗善さんほか『世界の中のハングル』(三省堂)がある。

 

ミカンの味
チョ・ナムジュ (著), 矢島暁子 (翻訳)

『82年生まれ、キム・ジヨン』の著者、チョ・ナムジュの新作長編小説! !

空と海も区別できない、恐ろしく黒い夜。
その夜のように茫漠としていた心。
互いの本心だけなく
自分の本心もはっきりわからなかった。
(本文より)

まるで自分のことが描かれているかのようだと、女性たちからの高い共感と支持を集めてきた著者が新作小説『ミカンの味』で主人公に選んだのは、4人の女子中学生。

中学校の映画サークルで出会ったソラン、ダユン、ヘイン、ウンジは「いつも一緒にいる4人」として学内で知られている。中学3年生になる直前、済州島に行った彼女たちは衝動的に一つの約束を交わし、タイムカプセルに入れて埋める。未来が変わるかもしれないこの約束の裏には、さまざまな感情と計算による四者四様の理由が隠されていた。

本作は、この約束をめぐる4人の少女たちの話を交互に生い立ちや現在を語る形で展開。幼なじみとの関係が突然終わってしまった傷を抱えるソラン、教師からの期待が大きく学校一モテるのにいつも寂しいダユン、古くさい父親と突然の困窮にイラ立ちを募らせるへイン、理由がわからないまま仲間外れにされた経験を引きずるウンジ。

言葉にできない感情の狭間で揺れながらも何かを掴もうともがく少女たちの物語は、いつかの自分の姿に重なり、うずく心を優しく包み込んでくれる。まったく新しい「私たちの物語」の始まりだ。

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複雑な事情を抱えた4人の少女が交わした約束。
それは刹那的でもあれば永遠の記憶に刻まれるものでもある。
明日どころか今この瞬間も自分すらも分からなかったあの頃。
ガラス細工のような空気の中に、暗闇に身を潜めるような孤独もあった。
思春期特有の言葉にならない溢れ出る感情をものの見事に再現!
子どもから大人になるグレーゾーンが色鮮やかに変化する。
喜びも悲しみも痛みも癒しもあるから人生なのだ。
眩しい成長を閉じ込めたこの物語は誰からも愛されるだろう。
(ブックジャーナリスト 内田剛さん)

 


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