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文庫解説に4名!?島田雅彦さん『カタストロフ・マニア』が文庫化 小島秀夫さん×どぶろっく江口さん×金爆歌広場淳さん×吉川浩満さんが「島田愛」を込めて寄稿

島田雅彦さん著『カタストロフ・マニア』

島田雅彦さん著『カタストロフ・マニア』

地球規模の大停電、新型ウイルス感染症による人類淘汰、人工知能の侵略……と、連載開始の2016年時からすでに2020年の危機を予見していたかのような「予言的」内容が注目される島田雅彦さんの『カタストロフ・マニア』(新潮社)が文庫化されました。

 
その内容もさることながら、注目なのは文庫解説。なんと解説者が「4名」もいます!

しかも執筆陣は「ゲームクリエイター」「お笑い芸人」「紅白アーティスト」「書評家」と、ジャンルを超えて集まった個性豊かな面々。それぞれの視点で語られる本作の読みどころ、ぜひ文庫巻末で全文をご一読ください。

 

各界から寄せられた『カタストロフ・マニア』推薦の言葉

 
◆ゲームクリエイター・小島秀夫さん

(主人公の)ミロクは、我々と同じように、安全地帯に身を置いて、滅亡という非日常を消費して満足を得る「カタルシス・マニア」なのだ。我々は、ゲームや映画、小説や漫画でカタルシスを得るだけではなく、例えばSNSの匿名アカウントで他者を攻撃することに喜びを得るような、病んだカタルシス・マニアになってしまっている。……カタルシス・マニアをやめることができない我々にとって、この小説は一見飲みやすそうに見えるが、実はアイロニーに満ちた苦い薬のようだ。

 
◆お笑い芸人・どぶろっく江口直人さん

どぶろっく江口直人さん

どぶろっく江口直人さん

俺は島田先生に再び、この作品で、人生にメスを入れられた。……島田先生の作品を読むたびに、俺は、ただの動物のオスになって、本能のままに、明日をどう生きようか、楽しみになってくるんです。え? 島田先生の本を読んで、そんな感じになるもんかね? そんなんじゃなくねえか?とか言われても、俺はそうなんです。

 
◆ゴールデンボンバー歌広場淳さん

ゴールデンボンバー歌広場淳さん

ゴールデンボンバー歌広場淳さん

この本を初めて読んだ当時「あれから6年経ったけど」という思いが頭から離れなかったのを覚えています。そして今回、文庫化にあたり改めて手に取った際には、多くの人と同じように「これって3年早いんだけど」と重い汗が背中を伝うような、暗い興奮がありました。個人的には、登場人物がウイルス感染の判定を受け、絶望と怒りの中で隔離される場面は読みながら心臓を鷲掴みにされる思いでした。3年前はスリリングな文章を目で追いながら「どうなる?」と次の展開を楽しみにしていましたが、今思えば、あれこそまさに聖書から学ぶ未来だったわけです。

 
◆吉川浩満さん

永遠の青二才たる島田雅彦が、ついには文明を崩壊させた。太陽の異常活動にはじまる現代文明の破局と再生(の希望)を、巨大な文学的想像力でもって描き切ったのが本作『カタストロフ・マニア』である。【破局的出来事/カタストロフ】は、小説から映画、コミック、アニメ、ゲームまで、現代のエンターテインメント作品が好んでとりあげる人気のテーマだ。そのなかにあって本作独自の意義とはなにか。それは、紀元三千年紀における「カタストロフもの」の新たなスタンダードを示した点にある。結果として本作はパニック-サヴァイヴァル-サイバースペースSFリアリズム小説とでも呼ぶべきハイブリッドな作品となった。

 

島田雅彦さん

島田雅彦さん


各界からの熱すぎるほどの絶賛を受けて、著者の島田雅彦さんは、これは予言の書だが、それより肝心なのは……と前置きをした上で、

「抵抗を諦め、思考停止することは淘汰されることに同意するようなものだ。マフィアに服従するより、自分の権利と自由を最大限活用したい。主人公ミロクはその仲間の高校生ハッカー菊千代とともに徒手空拳の戦いを挑むが、その行動こそが近未来を生きる希望になる。」

とコメントを寄せています。

 

『カタストロフ・マニア』について

 
<ストーリー>

治験のアルバイトに参加して病院のベッドで眠っていた主人公のミロク(26)。人口冬眠から目を覚ますと、病院内はおろか、地上にいた人々が忽然と姿を消していた――。

「太陽のしゃっくり」が地球規模の大停電を引き起こし、ライフラインの停止、原発危機、未知のウイルスによる感染症の蔓延が同時発生。あっというまに近代文明は失われ、人工知能主導で新たな世界が構築されようとしていた。

前代未聞の人類大淘汰に、一人のゲーマーが立ち向かう!

 

カタストロフ・マニア (新潮文庫)
島田 雅彦 (著)

このまま黄昏れちゃっていいのか、人類。
2020年コロナ危機を予言!? リアルすぎる文明崩壊を描いたSF長編!

治験のアルバイトに参加していた青年・シマダミロク(26)が病院のベッドで目覚めると、病院内はおろか、街中から人の姿が消えていた――。
事態の究明に奔走するミロクは、やがてコロナ質量放出(太陽の「しゃっくり」)が原因で地球規模の大停電が起こったこと、それによりライフラインの停止、原発危機、新型ウイルスによる感染症の蔓延が同時に引き起こされたことを知る。
要人たちは身を潜め、人工知能が新世界の構築を推進している。
ほんとうにこのまま、文明は滅び、人類は淘汰されていくしかないのか?
前代未聞、絶体絶命、今世紀最大の危機に一人のゲーマーが立ち向かう!

★★★ 文庫版限定! 豪華巻末付録 ★★★
名書評2点に加え、長年の島田雅彦ラバー2名が新たに寄稿。
ほか、宮内悠介氏との刊行記念対談も収録!

「エンタテインメントだから描ける結末に落ち着くことを巧妙に避けている」(ゲームクリエイター 小島秀夫)

「この作品で、人生にメスを入れられた」(お笑い芸人・どぶろっく 江口直人)
「『これって3年早いんだけど』と重い汗が背中を伝うような、暗い興奮がありました」(ゴールデンボンバー 歌広場淳)
「われわれのカタストロフへの想像力を存分に刺激してくれる快作である」(文筆家 吉川浩満)

 


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