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第2回「夏井いつきのおウチde俳句大賞」が決定! 会員制Webサイトもオープン!

リモート参加者と電話で会話する夏井いつきさん

リモート参加者と電話で会話する夏井いつきさん

朝日出版社は、昨年に続き開催された第2回「おウチde俳句大賞」の結果を発表しました。

「第1回」の昨年と同じく、本年も5月の予定だった贈呈式をコロナ禍で一旦延期。参加人数を制限し、ソーシャルディスタンスの確保ほか安全を期した会場(日比谷・松本楼)で9月20日に無事開催。同日、Webサイト「夏井いつきのおウチde俳句くらぶ」開設も発表されました。

 

応募総数13,720句!「第2回 夏井いつきのおウチde俳句大賞」が決定!

昨年100名が集った贈呈式も今年は新型コロナウィルス感染拡大防止のため、来場者を半減する一方、希望者に限り、オンラインでも参加していただき開催されました。

 
応募総数13,720句の中から大賞に輝いたのは、大阪府の俳号・ぐでたまごさんでした。

「おウチde俳句大賞」は、「リビング」「台所」「寝室」「玄関」「風呂」「トイレ」の6つの場所がテーマ。
「家の中にも俳句のタネはたくさん転がっているので、病気やケガ、介護などで外出がままならない人たちも、五感と第六感を使っておうちで俳句を楽しんでほしい」という思いから、夏井いつきさんが優秀作30を選句、その中から各部門の最優秀賞が選ばれました。

 
夏井さんが全国で行っている「句会ライブ」の形式にのっとり、各部門の最優秀賞に選ばれた6作品に対して、さまざまな感想や句が詠まれた背景についての「鑑賞」が行われたのち、最後の一句である大賞は、会場の50名とオンライン参加者の、ご家族まで含めた多数決により決定しました。

 

第2回おウチde俳句大賞 受賞作品

 
■玄関部門 最優秀賞

「車椅子は置いてく白靴と杖を」(ぐでたまご さん)

大賞受賞 ぐでたまごさん

大賞受賞 ぐでたまごさん

【作句にあたって】
私の妻がちょっと足が不自由で車椅子に乗っているんです。杖をついて歩けるぐらいの感じではあるので、たまにリハビリがてら夫婦でお散歩に行くんですけれども、車椅子を降りて、白靴を履いて、杖をついて歩くというのをやっているので、その時のことを詠みました。

 
■風呂部門 最優秀賞

「追い炊きにしりしりそそけゆく寒夜」(このはる紗耶さん)

風呂部門 最優秀賞 このはる紗耶さん

風呂部門 最優秀賞 このはる紗耶さん

【作句にあたって】
冬すごく寒くて、寒夜そのものが獣にでも追われているような感じがするんですけれども、それが追い炊きで少しずつ崩壊していくような感じがしたので、それを句にしてみました。

 
■トイレ部門 最優秀賞

「白鳥となるまで磨く便器かな」(樫の木さん)

トイレ部門 最優秀賞 樫の木さん

トイレ部門 最優秀賞 樫の木さん

【作句にあたって】
(奥さんが磨きあげた便器を見て)白鳥のイメージが冬なので、寒い日に磨くということと、背景として何となく僕の頭の中に白鳥の声が聞こえて来るような気がしました。

 
■リビング部門 最優秀賞

「寄せ鍋に介護施設の資料閉ず」(内藤羊皐さん)

リビング部門 最優秀賞 内藤羊皐さん

リビング部門 最優秀賞 内藤羊皐さん

【作句にあたって】
(9月はじめに亡くなった)義理の父を詠んだ句だったのですが、施設に入るのを嫌がっていた人だったので、義理の父のことをこういうふうに日の目を見ることが出来てうれしいです。

 
■台所部門 最優秀賞

「ガスコンロちちち流星群を呼ぶ」(安宅麻由子さん)

台所部門 最優秀賞 安宅麻由子さん

台所部門 最優秀賞 安宅麻由子さん

【作句にあたって】
子どもの離乳食を夜中にまとめて煮て凍らせていて、夜にガスコンロを使っている時に何か炎を見て、あ、お星さまもこんな青い炎かなと思って、それで思いついて作ったんです。

 
■寝室部門 最優秀賞

「麻痺の手の眠らばほどけゆく春日」(青海也緒さん)

夏井さんとリモートで会話する寝室部門 最優秀賞 青海也緒さん

夏井さんとリモートで会話する寝室部門 最優秀賞 青海也緒さん

【作句にあたって】
うちの子どもが生まれた時から脳性麻痺があって、親子ともに疲れていたその日は、お昼寝したらさっきまであんなに麻痺で動いていなかった手がふわっとやわらかくなって、なんかちょっと泣けたので、それを句にしました。

夏井さんと軽妙に式を進める司会の家藤さん

夏井さんと軽妙に式を進める司会の家藤さん

■優秀賞三十選

【リビング部門】
「寄鍋に介護施設の資料閉ず」(内藤羊皐さん)
「サングラス居間に飾っているばかり」(花がえるさん)
「冬萌や小舟のやうなヨガマット}(神楽坂リンダさん)
「大掃除天井にケチャップのいつ」(忽滑谷三枝子さん)
「洗濯物濡れる炬燵から眺む」(松﨑はる奈さん)

【台所部門】
「ガスコンロちちち流星群をよぶ」(安宅麻由子さん)
「焼きそばの肉塊咆哮して炎暑」(ぐ さん)
「又飯かと老妻激しくネギを切る」(ゆうでんさん)
「青汁の芒種の濁りぐいと呑む」(直さん)
「すり鉢の傾斜がきれい夜の秋」(門田なぎささん)

【寝室部門】
「麻痺の手の眠らばほどけゆく春日」(青海也緒さん)
「寝室や妻との時差のある夜長」(いなだはまちさん)
「夜半の秋まくらのために歌いけり」(幸の実さん)
「纏はねば毛皮は何の熱も持たず」(山田喜則さん)
「歯ぎしりの真夜は厄日の芯として」(水野大雅さん)

【玄関部門】
「車椅子は置いてく白靴と杖を」(ぐでたまごさん)
「天然木高級靴べら黴みやび」(七瀬ゆきこさん)
「こはれさうな仔犬の足を拭く夜寒」(成瀬志乃さん)
「玄関に水二箱を積みて冬」(加茂智子さん)
「保険屋の置いてく名刺種袋」(播磨陽子さん)

【風呂部門】
「追焚きにしりしりそそけゆく寒夜」(このはる紗耶さん)
「徹夜明けの湯船は広し薄暑光」(星埜黴円さん)
「シャワーヘッドはマイク夏休みが来る」(岩瀬聖さん)
「看護婦に預ける首や髪洗ふ」(菊池洋勝さん)
「おへそから新しいぼくゆずゆかな」(三浦弘太郎さん)

【トイレ部門】
「白鳥となるまで磨く便器かな」(樫の木さん)
「台風の目に入りあたたかき便座」(古田秀さん)
「ペーパーの芯空回り神の旅」(高橋寅次さん)
「討ち入りの日や血尿がまだ止まらぬ」(桜井教人さん)
「神様に毒づき便器磨く秋」(陽光さん)

ソーシャルディスタンスを意識しながら…

ソーシャルディスタンスを意識しながら…

挙手により「大賞」に投票

挙手により「大賞」に投票

なお、第2部では「窓」をテーマに当日句会を開催し、10名のかたが賞品を獲得。夏井さんと司会の家藤正人さんとの軽妙なやりとりは途絶えることなく、第2回おウチde俳句大賞贈呈式は盛会の内うちに幕を下ろしました。

 

「式を終えて」――夏井いつきさん コメント

「おウチde俳句」活動は、私の大きなライフワークの一つだと思っております。
いずれ私たちは全員見事に、1人残らずきれいに死んでいきます。そして、どこかの段階で
動きにくくなったり、おウチの中で過ごす時間が増えるようになります。誰でもそうなるわけです。

その時にいかに豊かに生きていられるか。

私が思うことは、動けるうちにたくさんの季語と接して、自分の体に入れておくということです。
そうすると、写真を見てもにおいがしてくるようになる。雪の写真を見たら、その冷たさを
ちゃんと皮膚が再生できる。そういう体になっていくのです。

だから、動けるうちにたくさんの季語の現場に行き、いっぱい季語と出会いましょう。
季語の記憶をいっぱい体に溜めていると、豊かな老後や人生を送ることができると確信しております。

「おウチde俳句」がいろいろな形で皆さんの周りの人たちに伝わることを心から願っております。
そして、来年も是非ここでお会いしましょう。本当にありがとうございました。

「当日句会」選句する夏井さん

「当日句会」選句する夏井さん

 

「夏井いつきのおウチde俳句くらぶ」がオープン!

また、この日、同時に発表されたのが夏井さんのオフィシャルWebサイト「夏井いつきのおウチde俳句くらぶ」のオープンです。

このサイトに有料会員登録すると、夏井さんが選句する「写真de俳句」や「ドリルde俳句」への投稿、入選結果が確認できたり、夏井いつきさん監修の句集が作れたりとスペシャルな特典を楽しめます。

 
■会費
(1)月払い:770円(税込)
※支払いには「クレジットカード決済」 を利用できます。
(2)年払い:8,470円(税込)
※支払いには「クレジットカード決済」「コンビニ支払い」 を利用できます。

★詳細:https://ouchidehaiku.com/

 

夏井いつきさん プロフィール

夏井いつきさんは、昭和32年生。松山市在住。俳句集団「いつき組」組長、藍生俳句会会員。俳都松山大使。第8回俳壇賞受賞。俳句甲子園創設に携わる。松山市「俳句ポスト365」等選者。『プレバト!!』(MBS/TBS系)等テレビ出演のほか、新聞、雑誌、ラジオで活躍中。

著書に『超辛口先生の赤ペン俳句教室』、句集『伊月集 龍』(朝日出版社)、『「月」の歳時記』(世界文化社)等多数。

 

夏井いつきのおウチde俳句
夏井いつき (著)

どこに居ても、いつだって俳句はつくれます!

なにげない日常の中に「俳句のタネ」を見つけるコツと、
誰でも簡単に俳句がつくれる秘訣をやさしく教えます。

バラエティ番組『プレバト!!』(MBS / TBS系)の俳句コーナーで大人気の俳人 夏井いつきが、家の中のモノを題材に俳句の作り方を教える初心者向けの本。リビングや台所、寝室などの場所ごとに、「食材」「日用品」「家事」「家族」「眠れぬ夜」など、俳句のタネを探すコツを伝授。一般の方から募集した俳句を例に、初心者にありがちなクセや凡人によくある発想などを徹底解説。「壁に飾られているモノは?」「台所にある食材は?どんな味?食感?」など、穴埋め感覚で楽しい、書き込みドリル付。ポイントは五感を活用しながら、想像力を膨らませること。家の中にだって俳句のタネはたくさんある! ということを実証する、初心者から経験者まで楽しめる指南書。

*本書は様々な事情を抱え、外へ出られない方々が自由に俳句がつくれるようにとの思いを込めてつくられました。

出版記念 第1回「おウチde俳句」大賞投句はがき付!

 
【関連】
第二回 おウチde俳句大賞 | 朝日出版社
夏井いつきのおウチde俳句くらぶ

 


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