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林真理子さん公式YouTube「マリコ書房」4本目は、転んでも誰も助けてくれなかった――厳しい女流作家の世界を生き抜いた宮尾登美子さんを語る

作家・林真理子さんが自身の著作から一冊、自著以外でおすすめの本を一冊紹介するYouTubeチャンネル「マリコ書房」の4回目が9月16日に配信されました。

 

めくるめく本の世界へ林真理子さんがいざなう動画チャンネルが第4回を配信!

今回取り上げる本は、自著が『綴る女-評伝・宮尾登美子』(中央公論新社)。もう一冊は宮尾登美子さん著『櫂 』です。

『綴る女-評伝・宮尾登美子』中央公論新社

『綴る女-評伝・宮尾登美子』中央公論新社

6年前に亡くなったベストセラー作家・宮尾登美子さんに生前かわいがられた林さんが、大好きで何度も読み返したという代表作と、宮尾ワールドの背景を探るべく、故郷・高知に足を運んで丹念に取材して書き上げた評伝について伺っています。

「女性が普通に小説を読んでいた時代に読まれた最後の女流作家」と宮尾さんを評する林さんは、生前、宮尾さん本人に「いつか先生の評伝を書きたい」と直訴して快諾されていたことや、女流作家の集まりなどではいつも隅にちんまりとしていた宮尾さんを「ぶりっこ」という瀬戸内寂聴さんのコメントを披露。

林さん自身が作家になって間もなく参加した女流作家の集いで、慣れない和装に足がもつれて転んでも一瞥だにされなかったエピソードから、女流作家の厳しい世界について語っています。

 
また、昭和の遊郭を舞台にした『櫂』など宮尾さんの世界観が令和の今、高知にも日本のどこにも跡形も残っていない寂しさも語っています。

『櫂』中公文庫

『櫂』中公文庫

★「マリコ書房」:https://www.youtube.com/channel/UCUUABmT1NxSBKcIA4pvfHJQ

 

林真理子さん プロフィール

林真理子(はやし・まりこ)さんは、1954年山梨県生まれ。コピーライターを経て作家活動を始め、1982年『ルンルンを買っておうちに帰ろう』がベストセラーに。

1986年「最終便に間に合えば」「京都まで」で第94回直木賞、1995年『白蓮れんれん』で第8回柴田錬三郎賞、1998年『みんなの秘密』で第33回吉川英治文学賞を受賞。2018年、紫綬褒章を受章。2020年5月「公益社団法人 日本文藝家協会」理事長に就任。

2018年NHK大河ドラマの原作となった『西郷どん!』や『愉楽にて』『綴る女 評伝・宮尾登美子』など著書多数。
1999年に第一巻が刊行されたエッセイ『美女入門』は、文庫を含め累計140万部の人気シリーズ。
現在「風と共に去りぬ」を超訳した『私はスカーレット』(小学館文庫)など執筆中。

2020年9月11日(金)~11月23日(月・祝)の期間、山梨県立文学館にて、生い立ちから現在までの作家としての軌跡と、幅広い活動を紹介する初の展覧会「企画展 まるごと林真理子展」開催予定(https://www.bungakukan.pref.yamanashi.jp/exhibition/Hayashi_chiraA4.pdf)。

 

綴る女-評伝・宮尾登美子
林 真理子 (著)

高知の遊郭で芸妓紹介業を営む父と愛人の間に生まれる。実母は女義太夫。12歳で父母が離別し、義母に育てられる。1944年、国民学校の同僚の教師と結婚。同年、満蒙開拓団の一員として家族で満洲に渡る――。
こうした自らの前半生に材を取った『櫂』『陽暉楼』『寒椿』『鬼龍院花子の生涯』『朱夏』『春燈』などの自伝的な小説で、ベストセラー作家となった宮尾登美子。生前宮尾と親しく、『白蓮れんれん』などで女性の人生を鮮やかにあぶり出してきた著者が、昭和と平成を代表する「国民的作家」の波瀾万丈の生涯に迫る。

櫂 (新潮文庫)
宮尾 登美子 (著)

渡世人あがりの剛直義侠の男・岩伍に嫁いだ喜和の、愛憎と忍従と秘めた情念。
戦前高知の色街を背景に自らの生家を描く自伝的長編。
『春燈』『朱夏』『仁淀川』へと続く、宮尾文学の精髄。

高知の下町に生れ育った喜和は、十五の歳に渡世人・岩伍に嫁いだ。芸妓紹介業を営み始めた夫は、商売にうちこみ家を顧みない。胸を病む長男と放縦な次男を抱え必死に生きる喜和。やがて岩伍が娘義太夫に生ませた綾子に深い愛をそそぐのだが……。
大正から昭和戦前の高知を舞台に、強さと弱さを併せもつ女の哀切な半生を鮮烈に描き切る。作者自らの生家をモデルに、太宰治賞を受賞した名作。解説・加賀乙彦。

 
【関連】
マリコ書房 – YouTube

 


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