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八束澄子さん『団地のコトリ』刊行 「居所不明児童」の女の子の存在に気づき、踏み込む勇気を描いた社会派児童文学作品

八束澄子さん著『団地のコトリ』

八束澄子さん著『団地のコトリ』

八束澄子さん著『団地のコトリ』が、ポプラ社より刊行されました。本作では、バレーボールに熱中する普通の中学生・美月と、同じ団地で息をひそめるように暮らす「居所不明」の女の子・陽菜との出会いが描かれます。

 

「居所不明児童」とは

「居所不明児童」とは、住民票の住所に住んでいる実態がなく、所在が不明となった未成年のこと。

格差や貧困など、様々な社会問題が原因となっています。

 

「誰も知らない、あの子のこと・・・」バレーボールに熱中する14歳の少女と、団地の一室で息をひそめるように暮らす女の子との出会いを描く感動作

<『団地のコトリ』あらすじ>

父を亡くし、母と二人暮らしをしている美月は、バレーボールに青春をかける中学3年生の女の子。自分には身寄りが母親しかいないのだと不安になることはあるけれど、部活の仲間たちや同じ団地に住む親友・愛梨に囲まれて、ひとりの中学生として、幸せな毎日を送っている。

ある日、家で飼っているインコのピーコが逃げ出し、階下の独居老人・柴田のじいちゃんが住む部屋の窓辺に挟まっているのを発見する。じいちゃんに助けてもらおうと声をかけたとき、そこにいるはずのない女の子の気配を感じて……。

 

刊行に寄せて、著者・八束澄子さんからのメッセージ

是枝裕和監督の映画、『誰も知らない』の衝撃から16年。今も、コロナ禍のなかでひざを抱えて泣いている子の存在に、わたしたちは気づかずにいるのではないでしょうか?人と人との距離ってほんとうに難しい。難しいけれど、あえて踏み込む勇気がほしい。この本を書きながらずっとそれを自分のなかに探していた気がします。そして、その先に広がる光をみたいと願っていました。

 

著者プロフィール

八束澄子(やつか・すみこ)さんは、広島県因島生まれ、岡山県倉敷市在住の児童文学作家。

『青春航路ふぇにっくす丸』(文溪堂)で日本児童文学者協会賞、『わたしの、好きな人』(講談社)で野間児童文芸賞を受賞。

その他の作品に、『明日につづくリズム』『オレたちの明日に向かって』(ともにポプラ社)、『海で見つけたこと』(講談社)など。

 

団地のコトリ (teens’best selections 54)
八束 澄子 (著)

居所不明児童の問題を、中学生の少女の視点から描いた著者渾身の意欲作!

 


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