毎日なんとなく息苦しいと感じるあなたへ――八束澄子さん『森と、母と、わたしの一週間』が刊行
八束澄子さんが毎日なんとなく息苦しいと感じるあなたへ贈るものがたり『森と、母と、わたしの一週間』(装画:いとうあつきさん)がポプラ社より刊行されました。
山にかこまれた小さな町での一週間が、少女の心を少しずつ変えていく……
【あらすじ】
友達の一言に傷つき、仕事に疲れた父親には悩みも言えず、やりきれない気持ちを抱える中学生の野々歩。
通学の途中、ふと風によばれた気がして、電車に乗って向かったのは、亡くなった祖母の住んでいた町。遺産の後片づけのため、母親がしばらく家を空けて、そこにいるのだ。
自分を放っておく母親への複雑な気持ちを抱えたまま、なりゆき上、母親がボランティアで関わる「森のようちえん」の子どもたちと一緒に過ごすことになる。大自然の中で力強く生きる子どもたちを目の当たりにして、野々歩も自然の美しさ、厳しさを知り、自分自身とも向き合っていく。
<刊行前から感動のコメントが続々と!>
本書の刊行前に「ネットギャリー」に公開されたところ、続々とコメントが集まりました(一部抜粋)。
◎自分の人生の主役はいったい誰なのか? 子どもたちの姿や言葉から野々歩自身が感じとったものにより、たった一週間なのに大きく成長したように感じました。野々歩とともに子どもたちと森の中でいっぱい遊び、深呼吸をして肩の力が抜けて、一緒に冒険できて楽しかったです。
◎野々歩たち家族を通して、家族との関係性や、生まれ育った土地の素晴らしさを見つめ直す要素も含まれているので、親子で読んでほしい本だと思いました。
◎“―解き放つのは自分。”の言葉は、その境地に至るには難しいかもしれないけど、とても心地よい健全な考え方で、頑張ることの大切さも、助けを求める重要さも生きていくうえではとても大切だから人は1人ではないんだな…、と心にすとんっと刺さりました。
著者のことば(「あとがき」より)
三年の月日がたち、コロナ騒動も終息のきざしを見せはじめ、社会は落ち着きをとりもどしたように見えます。ですが、子どもたちと森を駆け回るうちに、野々歩のうちに芽生えた、「わたしたちって、ほんとうに守られてるんだろうか?」の問いは残されたままです。ひょっとしたらそれは、生きている以上、ずっとつづく問いかもしれません。でも、かれらといっしょに笑ったり、泣いたりした思い出がある以上、それが野々歩のあしたのささえとなってくれるんじゃないだろうか。そう願いつつ、書き進みました。
著者プロフィール
八束澄子(やつか・すみこ)さんは、広島県因島出身。『青春航路ふぇにっくす丸』(文溪堂)で日本児童文学者協会賞、『わたしの、好きな人』(講談社)で野間児童文芸賞を受賞。『明日のひこうき雲』『団地のコトリ』(ともにポプラ社)は国際推薦児童図書目録「ホワイト・レイブンズ」に選出。
そのほかの作品に、『明日につづくリズム』『オレたちの明日に向かって』『ぼくたちはまだ出逢っていない』(ともにポプラ社)、『いのちのパレード』(講談社)、『ぼくらの山の学校』(PHP研究所)など多数。
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