文藝賞受賞・山下紘加さん第2作『クロス』刊行 異性装者のアイデンティティと愛を巡る物語

山下紘加さん著『クロス』
少年の人形への愛と衝動を描いた『ドール』で2015年に文藝賞を受賞し鮮烈なデビューを果たした山下紘加さんの単行本二冊目となる『クロス』が、河出書房新社より刊行されました。
異才の20代文藝賞作家が描く異性装者(クロスドレッサー)の物語
本作の主人公は、ふとしたきっかけで女性の格好をすることにのめりこんだ28歳の「私」。ストッキングを履いたり、自らの手でメイクを施したりと女性性に寄り添うような生活をして、「私」は新鮮な喜びと自由を感じます。あるとき女の姿で訪れたバーで、タケオと名乗る男に出会い、強烈に惹かれて――。異性装者(クロスドレッサー)の、揺らぐ心身の性を大胆かつ繊細に映し出した会心作です。
<『クロス』あらすじ>
私はどちらの性で、どんな立ち位置で、彼を愛せばいいのだろう。警備会社で働く28歳の「私」は、結婚していながら関係を続けていた浮気相手との悪戯をきっかけに、女性装にのめりこむ。
ストッキングを履いたり、自らの手でメイクを施したりと女性性に寄り添うような生活は、「私」に新鮮な喜びと自由をもたらす。あるとき女の姿で訪れたバーで、タケオと名乗る男に出会い、強烈に惹かれていくが――。
「女装しているきみが好き」と彼は言う。それは女? 男? それとも、私?
異才の20代文藝賞作家が描く異性装者(クロスドレッサー)の物語。
<作家の中村文則さん、女優の秋元才加さんも注目の一作!>
解放と迷宮。
性の揺らぎだけではない、
これは「存在」の物語。
――中村文則さん
あなたといる私も、他の人といる私も私。
どの私も、私の真実。
マナは不自由でとっても自由だ。
――秋元才加さん
著者プロフィール
著者の山下紘加(やました・ひろか)さんは、1994年、東京都生まれ。
2015年『ドール』で第52回文藝賞を受賞しデビュー。
クロス 山下紘加 (著) 私はどちらの性で、どんな立ち位置で、彼を愛せばいいのだろう――。 異才の文藝賞作家が、揺らぐ心身の性を大胆かつ繊細に映し出す会心作。 |
■デビュー作
ドール 山下紘加 (著) 僕はユリカを愛していたんです。愛なんです。先生とか、クラスの連中には、わからない愛。僕は真剣でした。真剣なことを、気持ち悪いなんて言わないで欲しい。時代を超えて蠢く少年の「闇」と「性」への衝動。第52回文藝賞受賞作。 |
◆芥川賞&直木賞(2022年上半期)候補作が決定 芥川賞は5名全員、直木賞は5名中4名が女性 初ノミネートは合わせて6名 | 本のページ