【第40回日本SF大賞】小川一水さん『天冥の標』と酉島伝法さん『宿借りの星』が受賞 功績賞に故・吾妻ひでおさんと故・眉村卓さん
日本SF作家クラブは2月23日、第40回日本SF大賞の受賞作を発表しました。
第40回日本SF大賞が決定!
2018年9月1日から2019年8月31日までに発表されたSF作品のうち、もっとも優れた作品に贈られる第40回日本SF大賞は、2020年2月23日に都内で選考会が開催され、次の通り大賞および特別賞の受賞作が決定しました。
なお、昨年10月に亡くなった漫画家・吾妻ひでおさんと11月に亡くなったSF作家・眉村卓さんに功績賞が贈られます。
また、今回は特例として、故・小川隆さんと故・星敬さんに「長年にわたるSF界への貢献を称え、クラブより哀悼の意を捧げ記念する」会長賞が贈られます。
<日本SF大賞 受賞者・受賞作品>
■大賞
◎小川一水(おがわ・いっすい)さん
『天冥の標』全10巻(早川書房)
◎酉島伝法(とりしま・でんぽう)さん
『宿借りの星』(東京創元社)
■特別賞
大森望(おおもり・のぞみ)さん・日下三蔵(くさか・さんぞう)さん編
『年刊日本SF傑作選』全12巻(東京創元社)
■功績賞
◎吾妻ひでお(あづま・ひでお)さん(漫画家)
◎眉村卓(まゆむら・たく)さん(作家)
■会長賞
◎小川隆(おがわ・たかし)さん(翻訳家)
◎星敬(ほし・たかし)さん(評論家・編集者)
選考委員は、池澤春菜さん、白井弓子さん、高槻真樹さん、森岡浩之さん、三雲岳斗さん。
贈賞式は、2020年4月17日(金)に東京都内で開催される予定です。
なお、最終候補作は以下の5作品でした。
<最終候補作>
◎『天冥の標』全10巻(小川一水さん/早川書房)
◎『なめらかな世界と、その敵』(伴名練さん/早川書房)
◎『年刊日本SF傑作選』全12巻(大森望さん・日下三蔵さん編/東京創元社)
◎『宿借りの星』(酉島伝法さん/東京創元社)
◎『零號琴』(飛浩隆さん/早川書房)
日本SF大賞について
日本SF大賞は、日本SF作家クラブが1980年に創設し、主催している賞です。毎年9月1日から翌8月31日までの1年間に発表された作品を対象としています。
第34回より、候補作選出にあたって「エントリー制」を導入。日本SF作家クラブ会員だけでなく、一般のファンや読者も、同等の権利でエントリーに参加できます。
エントリーされた作品のなかから、日本SF作家クラブ会員の会員投票によって、5作品ほどの最終候補作品が選ばれます。そして、「選考委員の討議」により、最終候補作品のなかから日本SF大賞が決定します。
エントリーできる作品は「出版物や映像作品、および現実に起きた出来事や製品も含む」となっており、「はやぶさ帰還」などの出来事や、「ボーカロイド」「ASIMO」などの製品も対象となります。
エントリーの際の評価基準は、SFとしてすぐれた作品であり、「このあとからは、これがなかった以前の世界が想像できないような作品」や「SFの歴史に新たな側面を付け加えた作品」となります。
自薦・他薦は問わず、同人誌、インターネット上の活動、自主制作ゲーム・動画・音楽等、インディーズの作品全般もエントリーできます。
天冥の標〈1〉―メニー・メニー・シープ〈上〉 (ハヤカワ文庫JA) 小川 一水 (著) 西暦2803年、植民星メニー・メニー・シープは入植300周年を迎えようとしていた。しかし臨時総督のユレイン三世は、地中深くに眠る植民船シェパード号の発電炉不調を理由に、植民地全域に配電制限などの弾圧を加えつつあった。そんな状況下、セナーセー市の医師カドムは、“海の一統”のアクリラから緊急の要請を受ける。街に謎の疫病が蔓延しているというのだが…小川一水が満を持して放つ全10巻の新シリーズ開幕篇。 |
宿借りの星 (創元日本SF叢書) 酉島 伝法 (著) その惑星では、かつて人類を滅ぼした異形の殺戮生物たちが、縄張りのような国を築いて暮らしていた。罪を犯して祖国を追われたマガンダラは、放浪の末に辿り着いた土地で、滅ぼしたはずの“人間”たちによる壮大かつ恐ろしい企みを知る。それは惑星の運命を揺るがしかねないものだった。マガンダラは異種族の道連れとともに、戻ったら即処刑と言い渡されている祖国への潜入を試みる。『皆勤の徒』の著者、初長編。 |
おうむの夢と操り人形 (年刊日本SF傑作選) (創元SF文庫) 大森 望 (編集), 日下 三蔵 (編集) 日本SFの最前線を追う 2018年の日本SF短編の精華を収録。今年度版には円城塔、斉藤直子、坂永雄一、三方行成、柴田勝家、高野史緒、田中啓文、飛浩隆、西崎憲、長谷敏司、藤井太洋、古橋秀之、日高トモキチ、水見稜、宮内悠介、宮部みゆきの短編作品のほか、肋骨凹介、道満晴明による漫画も収録。巻末には第10回創元SF短編賞の受賞作と選評を掲載。編者二人による各作品解説や年間日本SF概況、短編推薦作リストなど解説記事も充実した、2018年の日本SFが一望できる年刊ベスト・アンソロジー。 |
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