もともとは非売品だったけど、書店員の“署名運動”から出版化された絵本『あまがえるのかくれんぼ』が重版
世界文化社は、2019年5月に刊行した絵本『あまがえるのかくれんぼ』(作:たてのひろしさん/絵:かわしま はるこさん)の3刷重版を決定しました。
一人の少年が21万冊の中から選んだ本は当初非売品だった――
『あまがえるのかくれんぼ』は当初、園向けの直販商品(ソフトカバー)でした。しかし、非売品として置いていた丸善飯能店でのあまりの人気ぶりから書店員さんの署名運動がはじまり、ハードカバー版として出版されることになりました。
本書は、小学館児童出版文化賞受賞作家 たてのひろしと、生物画家 かわしまはるこが初めて描く “会話するカエル”の物語です。子どもから大人まで楽しめる心温めるストーリーを描いています。新聞書評・ラジオなど各メディアでも話題となり、今回の重版が決定いたしました。
この絵本が生まれた背景
(丸善 丸広百貨店飯能店 福島亮子さんの談話より)
著者のかわしまはるこさんと御縁があり、ソフトカバーの『あまがえるのかくれんぼ』を、地元の絵本作家さんの紹介として置くことになりました。かわしまさんが師事する舘野鴻さんの本の隣りに並べ、その際、書店流通の本ではない為「非売品」とさせて頂いたのです。そんなある日、一人の少年(8才)が「あまがえるのかくれんぼ」をレジに持ってきて、「この本が欲しい!」と離しません。お母さんが非売品だからほかの本をと言ってもダメです。
ふと見ると、その子のTシャツにも靴にもかえるの絵が……。うちの本屋には約21万冊の本があるのに、少年にはその1冊しか目に入らない様子です。私は、かわしまさんから自分用にと頂いた1冊を、かえる好きの少年にあげることにしました。
その後、何人ものお客さまが手にされ、少年と同じことを言いました。そんなに心惹かれる魅力的な本ならば、是非、ハードカバーにして皆さまの手にという気持ちが、署名運動に繋がり、形となることになったのです。
本書のあらすじ
<あらすじ>
あまがえるのラッタ、チモ、アルノーの3匹がかくれんぼをして遊んでいると、ラッタの体がへんな色になってしまいました。一体どうしてしまったのでしょうか?
小学館児童出版文化賞受賞作家・たてのひろしさんと、生物画家・かわしまはるこさんが初めて描く “会話するカエル”。愛しき小さな者たちの成長の物語です。
著者プロフィール
■作:たての ひろし(舘野 鴻)さん
1968年生まれ。神奈川県出身。絵本作家・生物画家。幼少期より、熊田千佳慕さんに師事。美しい細密画で多くの人々を魅了している。
『つちはんみょう』(偕成社)で小学館児童出版文化賞を受賞。その他の作品に、『しでむし』『ぎふちょう』(偕成社)、『はっぱのうえに』(福音館書店)などがある。
■絵:かわしま はるこさん
1967年生まれ。埼玉県出身。生物画家。2006年より舘野鴻さんに師事し、昆虫や植物などの観察法や生物画を本格的に学ぶ。
絵本に『せみのこえ』(福音館書店)、 挿絵に『野が集まる庭をつくろう』『世界の美しき鳥の羽根』(誠文堂新光社)などがある。
あまがえるのかくれんぼ (世界文化社のワンダー絵本) たての ひろし (著), かわしま はるこ (イラスト) 「無表情なのに笑ってる。 「Dearest ポター、あなたが現れたかと思いました。」 |
◆【第66回小学館児童出版文化賞】市川朔久子さん『小やぎのかんむり』と舘野鴻さん『つちはんみょう』 | 本のページ