加藤シゲアキさん×住野よるさん×阿川せんりさん×渡辺優さん×小嶋陽太郎さん×奥田亜希子さん「行きたくない」をテーマに書き下ろし短編小説集を刊行
書き下ろし短編小説集『行きたくない』が角川文庫から6月14日に刊行されました。
執筆陣は、『ピンクとグレー』で小説家デビューを果たし、その後もヒット作を刊行し続けるNEWS・加藤シゲアキさん、累計280万部を突破したデビュー作『君の膵臓をたべたい』をはじめ若い読者の圧倒的な支持を得る住野よるさんに加え、阿川せんりさん、渡辺優さん、小嶋陽太郎さん、奥田亜希子さんと、次世代を担うフレッシュな作家6人が集結。
カバーイラストは、若者を中心に海外からも支持を集めているイラストレーターのダイスケリチャードさんが描き下ろし、カバーデザインはbookwallが手掛けています。
「行きたくない」をテーマに、作家それぞれがまったく異なるアプローチをとりながら、所在ない思いに寄り添う短編集です。
どうしても行きたくないときだって、ある――アンソロジー『行きたくない』について
<あらすじ>
■加藤シゲアキさん「ポケット」
「ひとりで行きなよ」「いやなの、ねぇ条介お願い、ついてきて」
高校生の僕は幼馴染のアンから、恋人と別れるところを見ていてほしいと頼まれる。
バイトを休んで渋々ながら彼女についていった僕が目にしたのは--。
■阿川せんりさん「あなたの好きな/わたしの嫌いなセカイ」
高校の養護教諭のわたしの元を、毎週金曜日の放課後訪れる生徒の御子柴さん。彼女は大好きな作家の八木沼奏多についてわたしに語って聞かせるのだ。八木沼のことを真面目に語れる相手は「先生だけ」という御子柴さんだが、実はわたしは八木沼のことが大嫌いで――。
■渡辺優さん「ピンポンツリースポンジ」
ピンポンツリースポンジ型の僕のロボ。僕はあらゆることをロボまかせにしているので、これがないと生活がどうにもならない。ある朝僕が会社に行こうとすると、ロボが[行きたくありません]とのエラーを表示して――。
■小嶋陽太郎さん「シャイセ」
OL生活三年目の私は、社内のだれともつるまず、日々をやり過ごしている。毎日、家を出て行った元同棲相手の深山くんのことを考える。行きつけのコンビニ店員の女性、「シャイセ」との出会いが私の日常を徐々に侵食していって――。
■奥田亜希子さん「終末のアクアリウム」
この半年間、佳緒は一人で外出していない。結婚して会社を辞めた佳緒にとって、夫を困らせ、戸惑わせることはなによりの喜びだ。ある夜、近所の淡水魚店に一人向かった佳緒は、自分が夫との関係に抱いていた感情と向き合うこととなり――。
■住野よるさん「コンピレーション」
朝起きてぼうっと生きていたらいつの間にか時間が過ぎ去っている。仕事から帰宅すると、毎日違う知らない友達が家にいる。
そんなある日、一人の友達だけが何度も家に来ることに気がついて――。
――誰に何を言われようと行きたくない場所もあれば、なんとなく気持ちがのらない朝だってある。
ふとしたきっかけでサボってしまうかもしれないし、人生を変えるような決意で回れ右をすることもあるかもしれない。
ひとはいつでも「行きたくない」気持ちを抱えている。僕たちのそんな所在なさをそっと掬い上げる、刹那のきらめきを切り取った物語。
著者プロフィール
■加藤シゲアキ(かとう・しげあき)さん
1987年生まれ。大阪府出身。青山学院大学法学部卒業。NEWSのメンバーとして活動しながら、2012年1月に『ピンクとグレー』で作家デビュー。以降『閃光スクランブル』『Burn.-バーン-』『傘をもたない蟻たちは』『チュベローズで待ってる(AGE22・AGE32)』とヒット作を生み出し続け、アイドルと作家の両立が話題を呼んでいる。
■阿川せんり(あがわ・せんり)さん
1988年生まれ。北海道出身。北海道大学文学部卒業。2015年『厭世マニュアル』で第6回野性時代フロンティア文学賞を受賞しデビュー。他の著書に『アリハラせんぱいと救えないやっかいさん』『ウチらは悪くないのです。』がある。
■渡辺優(わたなべ・ゆう)さん
1987年生まれ。宮城県出身。宮城学院女子大学卒業。2015年に『ラメルノエリキサ』で第28回小説すばる新人賞を受賞しデビュー。他の著書に『自由なサメと人間たちの夢』『地下にうごめく星』がある。
■小嶋陽太郎(こじま・ようたろう)さん
1991年生まれ。長野県出身。信州大学人文学部中退。2014年『気障でけっこうです』で第16回ボイルドエッグズ新人賞を受賞しデビュー。他の著書に『今夜、きみは火星にもどる』『おとめの流儀。』『こちら文学少女になります』『ぼくのとなりにきみ』『ぼくらはその日まで』『悲しい話は終わりにしよう』『放課後ひとり同盟』『友情だねって感動してよ』がある。
■奥田亜希子(おくだ・あきこ)さん
1983年生まれ。愛知県出身。愛知大学文学部哲学科卒業。2013年『左目に映る星』で第37回すばる文学賞を受賞しデビュー。他の著書に『透明人間は204号室の夢を見る』『ファミリー・レス』『五つ星をつけてよ』『リバース&リバース』『青春のジョーカー』『魔法がとけたあとも』がある。
■住野よる(すみの・よる)さん
2015年に刊行したデビュー作『君の膵臓をたべたい』がベストセラーとなり、2016年の本屋大賞第2位にランクイン。他の著書に『また、同じ夢を見ていた』『よるのばけもの』『か「」く「」し「」ご「」と「』『青くて痛くて脆い』『麦本三歩の好きなもの』がある。
行きたくない (角川文庫) 加藤 シゲアキ (著), 阿川 せんり (著), 渡辺 優 (著), 小嶋 陽太郎 (著), 奥田 亜希子 (著), 住野 よる (著) 恋人との別れ話を見ていて―幼馴染に頼まれた僕に訪れた出会い(「ポケット」加藤シゲアキ)。私の家に毎夜違う知らない「友達」がやってくる。ある時から、同じ人が何度も現れるようになり(「コンピレーション」住野よる)。加藤シゲアキ、阿川せんり、渡辺優、小嶋陽太郎、奥田亜希子、住野よるが夢の競演。誰だって「行きたくない」時がある。そんな所在なさにそっと寄り添う、一瞬のきらめきを切り取った書き下ろし短編集。 |
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