気になる本、おススメの本を紹介

B O O K P O O H

『12歳の少年が書いた量子力学の教科書』 アインシュタインたちの「喧嘩」で量子力学を学ぶ

『12歳の少年が書いた量子力学の教科書』 アインシュタインたちの「喧嘩」で量子力学を学ぶ

『12歳の少年が書いた量子力学の教科書』 アインシュタインたちの「喧嘩」で量子力学を学ぶ

ベレ出版は7月3日、近藤龍一さんの『12歳の少年が書いた量子力学の教科書』を発売しました。

 
本書は、高校生(現在時点)の著者・近藤龍一さんが12歳の時に書き上げた量子力学の本です。量子力学など学問書には「入門書」や「専門書」はあるものの、その間をつなぐような「中間書」が無いという著者の思いから本書を執筆するに至りました。紀元前の哲学家の考え方から現代の最先端の科学者の発見まで、歴史の発展とともに追いかけ、わかりやすくかつ本格的に量子力学を学ぶことができる画期的な教科書です。

 

アインシュタインたちの「喧嘩」と本格的な数式

本書には実際の物理学者、数学者たちの様々なエピソードが登場します。アインシュタインが、同じく物理学者であるボーアの量子力学の解釈に納得いかず、問題を作りぶつけますが、結果的にうまくかわされてしまうエピソードや、量子力学の基礎となる方程式を導いたシュレーディンガーがボーアとの論争の挙句、うつ病となり入院。病床でさらに批判を繰り返すボーアにうんざりし、「私はあれ(量子力学)は嫌いであり、あれに関わったことが残念である。」との言葉を残し、量子力学の研究を放棄してしまうなど学者たちのユニークなエピソードが多数登場します。

 
そうしたエピソードのみではなく、彼らの論争の流れからそれまでの式にどのような矛盾があって、それをどのように解決していったかが順を追って理解できます。それにより、本格的な数式を厳密さを保ったまま、順を追って学ぶことができ大学生や研究者が読んでも知識を深めることができます。

 

量子力学の成り立ちから最先端の研究分野まで「なぜ」「何のため」が理解できる

歴史を追いかけていく構成のため、量子力学がなぜ必要になったかなども背景とともに理解されます。

19世紀の物理学の最高権威ケルヴィン卿が溶鉱炉における現象から「物理学の理論がもつ美しさと簡潔さが二つの暗雲によって損なわれている」と発言したように、それまで信じられてきたニュートン力学などの古典物理学がいかにして通用しなくなり、量子力学が必要になったかなどが実際の例をもって紹介されるほか、現代の「量子コンピュータ」や「量子テレポーテーション」、「超ひも理論」などが一体どういうものなのか、どうして生まれたのかなどを誰でも理解できるように書かれています。

 

近藤龍一さん プロフィール

著者の近藤龍一(こんどう・りゅういち)さんは、2001年生まれ。幼少期から本好きであり、あらゆる学問分野に興味を示し、貪欲に知識を吸収。科学分野では、無意識にある程度の知識と興味を持ってきましたが、9歳の時、本格的に理論物理の独学を開始。この頃に量子力学の存在を知り、その世界観に感銘を受けます。10歳の頃から数式レベルの理解を目指し物理数学の独学を開始。11歳で自分の本を書いてみたいと思い始め、12歳で本書の執筆を開始し、220日で完成。その後は場の量子論の研究に着手。現在は都内の中高一貫校に通う高校1年生。

書斎で読書する著者

書斎で読書する著者

 

最大で1年に3000冊の本を読み、本書を全て手書きで書き上げた著者

著者は12歳で本書を書き上げました。10歳時点で年間3000冊の本を読み、物理学だけでなく歴史や哲学などあらゆる分野に精通しています。一方で知識をひけらかすことはなく、さまざまなジャンルの知識を誰にでも平易にわかるように解説することができます。

PCに関しては苦手で、本書は全て手書きで書き上げられ、出版社にも自身で手書きの原稿を持ち込み出版まで至りました。祖父母や母親は著者に対し勉強を強制することなく、著者の自主性に任せました。その一方で、著者の興味のある書籍は惜しみなく送り、彼の知見を深めることに協力しました。現在自宅には数千冊の書籍があり、その中で生活しています。学校のテストは頭の使い方が違うため、今でも日々努力をしています。

著者直筆の原稿1

著者直筆の原稿1

著者直筆の原稿2

著者直筆の原稿2

自宅のホワイトボード

自宅のホワイトボード

 

本書の構成

本書は物理の発展の歴史を振り返る形で先端の量子力学まで話をつないでいきます。

第1章では、「万物の根源」とし、紀元前の創成期から哲学家の思想を振り返りながら、いかに「小さいもの」という概念が発展していったか、古典力学から量子力学への進化が求められたかを振り返ります。

第2章では、「前期量子論」とし、古典力学から量子力学への変化を本格的な数式とともに学びます。

第3章では、「数学的定式化」とし、そこから先の理解に必要な「行列力学」「波動力学」を準備します。

第4章では、「内在的矛盾と解釈問題」とし、研究者たちの議論を追いながら、量子力学はいかに不思議な世界か、どうとらえるべきかを学びます。

第5章では、「量子力学の先へ」とし、量子力学の現代の状況について「超ひも理論」などを交えて解説します。

第6章では、「近未来的応用」とし、量子コンピュータ、量子テレポーテーションなどの先端的技術への応用について理解します。

 

12歳の少年が書いた 量子力学の教科書
10歳の頃には物理学の他にも天文学、歴史、哲学、医学、論理学、経済学、法学などあらゆる学問分野の本を読み漁り(最盛期には年間3000冊)、最終的に量子力学が自分の目指す専門分野であると考えるに至った著者がこの書籍を執筆したのは12歳のときでした。独学で、本だけを頼りに量子力学に挑戦する上で「入門書は易し過ぎ、専門書は難し過ぎ」ということを感じ、その間を埋める、入門書と専門書の架け橋になるような本があればいい…という想いを実現したのが本書です。数式を追いながら読めば理解が深まるのはもちろんですが、入門者の方がそこを飛ばして読んだとしても、「量子力学」に一歩迫ることのできる一冊です。

 


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です