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『「落ち着きがない」の正体』なぜ脳は「落ち着きがない」行動を命じるのか 子どもの「敏感すぎる反応」の仕組みと対応とは

『「落ち着きがない」の正体』なぜ脳は「落ち着きがない」行動を命じるのか 子どもの「敏感すぎる反応」の仕組みと対応とは

『「落ち着きがない」の正体』なぜ脳は「落ち着きがない」行動を命じるのか 子どもの「敏感すぎる反応」の仕組みと対応とは

なぜ脳は「落ち着きがない」行動を命じてしまうのか。じっとしていられない、周りに馴染めない、すぐに癇癪を起こす……そんな子どもの「敏感すぎる反応」の仕組みと対応とは?

東洋館出版社より、スチュアート・シャンカーさん著『「落ち着きがない」の正体』が11月10日に刊行されます。脳科学に基づいて子どもたちの行動を紐解き、落ち着きをもたらす触れ合いを導くための解説書です。

 

子どもの行動を脳科学に基づいて理解するには、脳の簡易モデルでイメージをつかむ

 
【旧哺乳類脳と爬虫類脳という存在】

イエール大学の神経科学者ポール・マクリーンが1960年代に示した脳の理論上のモデルがあります。今日では単純化されすぎていると指摘されていますが、自制心と自己調整の神経生理学的相違を理解する入り口には最適です。

(本書より)
・彼の「三層構造」のモデルによると、脳ははっきり3つに分かれていて、それぞれが異なる時代に進化し、三層構造になっている。一番上、外側にあるのが大脳新皮質で、名前の通り「一番新しい」脳だ。言語や思考、人の気分を読み取ったり、自制したりといった上位の指令機能を司る。この下にあるのが、より古い旧哺乳類脳で、大脳辺縁系を宿し、強い情動の連想や衝動を司る。最下層にあるのが、一番古くてもっとも原始的な、いわゆる爬虫類脳である。

 
自制心を働かせ合理的な判断を導くのは、大脳新皮質(前頭前皮質を含む部位)の現象。旧哺乳類脳と爬虫類脳はストレスに対して「戦うか逃げるか」という反応をし、それが癇癪や無反応といった形で出ます。

 
【反抗ではなく、生理的な反応である】

「戦うか逃げるか」においては、脳の高次の機能(言語能力、思慮深さ、相手の気持ちを読み取ること等)は停止してしまいます。

(本書より)
・おそらく一番困るのは、この「戦うか逃げるか」反応がいつ「点火される」か、あるいは敏感になるのかがわからない点である。そのため子どもは無防備のまま、繰り返し反応を引き起こすことになる。反応が起こると、子どもは私たちから身を振りほどこうとする。親はこの行為を自分に対する拒絶だと受け取ってしまいがちだが、実はこれは脳の異なった階層の働きによるもので、脅威に対する本能的で生物学的な反応なのだ。

・ストレスの強弱による脳の反応は4段階に分けられる。ストレスが弱い状態から順に、次の段階を踏んでいく。1. 社会参加、2. 戦うか逃げるか、3. フリーズ、4. 分裂。この順序は、前頭前皮質がある「もっとも新しい」脳での社会参加から、脅威に反応するための古くからのメカニズムにいたる、マクリーンの言う脳の三層構造を反映している。

 

ストレスに対処するのは、自制心ではなく「自己調整」

旧哺乳類脳・爬虫類脳の過剰な反応を、子どもが自分で直すことはできません。まずは、周りの大人が手助けをし、子どもの自己調整を育んでいくことが必要です。

そうして反応の過剰さを和らげることができれば、自ずと自制心は発揮され、その子の持っている可能性を押し広げていきます。

 
(本書より)
・誤解しないでほしい。自制心は重要だ。お手本のような自制心を持っていて、業界のトップに上りつめた人たちのことはよく知っている。だがもっと大事なのは、ストレスが私たちにのしかかっているとき、それにどううまく対処できるか、つまりどのようにうまく自己調整できるかなのである。実際、彼らの「成功談」をじっくり検証すればするほど、彼らがほかの人より抜きん出ているのは、驚くべき自己調整の能力のおかげだとわかってくる。いつストレス過剰になってしまうのかに自分で気づいていれば、そしてどのようにそのサイクルを断つかを心得ていれば、自己調整はうまくいく。つまり、人生に存在する無数のストレスに対処することができる。

 

自己調整は、「観察」「身体感覚」から入る

(本書より)
・私の当面の関心は目の前の子どもにある。この子を連れてきた先生が、その子の問題行動のヒントに気づき、それを理解するのをサポートすることだ。私はそっと教室のドアを閉め、頭上の照明(まぶしい光を放つだけでなく、たえずジーという音を出しつづけていた)を消し、自分の声量を落とした。その子が急にリラックスしたのを見て、先生は表情を和らげ、つぶやいた。「あら、なんてこと。気がつかなかったわ」

 
本書では、子どもに自己調整(セルフ・レギュレーション)のスキルを身につけさせるための一連の対応・方法を「セルフ・レグ」と呼び、実践事例とともに解説しています。
実践事例は、小学生を中心に、0歳児から大学生まで幅広く扱っています。

 

本書の目次

序章

PART1 脳の仕組みを利用する

第1章 なぜ落ち着けないのか

「頑張れ! 」と言っても意味がない
自制心と個人の努力は関係ない
脳は三層構造――三位一体の脳
脳は不眠不休でストレス対応に当たっている
ストレス過多の脳は「戦うか逃げるか」
脳はどのように覚醒状態を調整しているのか
慢性的な覚醒状態を救う「セルフ・レグ」
【コラム】親も「頑張らないと」に縛られている《オータム・12歳》
セルフ・レグ 5つの基本ステップ
私たちに必要なのは力ではなく安心だ

第2章 セルフ・レグの視点でマシュマロ・テストを読み解く

自己調整 VS 自己制御
マシュマロ・テストがセルフ・コントロール信仰を加速させる
ストレスはセルフ・コントロール能力を奪う
【コラム】マシュマロ・テストには予測できない未来《スティーヴン・0歳?高校生》
「どうして、いま?」に答えを出す「リフレーミング」

第3章 赤ちゃんに「ささいなこと」などない

ストレスへの反応性は1歳までに決まってしまう
誕生とは、刺激の嵐に見舞われること
【コラム】眠らない赤ちゃんの本音《メラニー・0歳》#1
赤ちゃんの睡眠と覚醒の関係
へその緒から間脳への移行
【コラム】眠らない赤ちゃんの本音《メラニー・0歳》#2
親と子は、間脳でつながる
なにが間脳の交流の邪魔をするのか

第4章 絡み合ったストレスをほどく

ストレスの蜘蛛の巣にとらわれた子どもが増えている
ストレスは5つの領域に分かれる
【コラム】家族との食事を嫌がる少年の言い分《ダミアン・15歳》
親子でストレスを高め合わないために
バオバブの木が教えてくれたこと

PART2 5つのストレス領域を知る

第5章 生物学的領域――食べる・遊ぶ・寝る

「罰かご褒美か」から脱する
【コラム】しつけが招いた悪循環《ロージー・10歳》#1
生物学的対応でイライラを断ち切る
生物学的領域におけるセルフ・レグへの道のり
【コラム】万人共通のリラックス法はない《ロージー・10歳》#2

第6章 情動の領域――泣く・笑う・騒ぐ・怒る

「なぜ興奮してるのか」を聞いても意味がない
ポジティブな性向が情動を成長させる
親の反応が、子どもの情動を形づくっていく
情動を調整する「三つのR」
【コラム】情動が不安定になるサインは「腕」に《ロージー・10歳》#3
子どもの情動の広がりを恐れない
不安や恐れにも光を当てよう
情動調整はふたり一組で
「怒り」への対処法

第7章 認知的領域――記憶する・注意を払う・集中する

認知的領域の「根っこ」とは
【コラム】数秒もじっとしていられない男の子《タイラー・5歳~7歳》#1
認知の根っこに働きかけるエクササイズ
パターンの学習で、認知的領域が発達する
集中力の起点をつくるゲーム
集中できない子は怠け者なのか
「育児の常識」という思い込みを手放す
注意障害における間脳の逆作用
抽象的な言葉遣いに頼らない
学習する姿勢を支えるのは安心感
【コラム】〝13歳らしさ〟はひとつじゃない《タイラー・12歳~13歳》#2
「彼らが見ている世界」に寄り添って

第8章 社会的領域――友達を作る・学校に通う・グループ活動に参加する

3人の幼稚園生と社会的スキルの観察
脳のシステムが愛着や友情を育んでいる
ボディランゲージは社会的脅威になりうる
人は他人の脳を使って安心感を得る
怯える子どもを社会参加に導くために
社会的成長には、OFFの時間が欠かせない
【コラム】小学5年生からの社会参加訓練《ジェイムズ・9歳~16歳》
すべての子どもたちは社会的スキルを身につけられる

第9章 向社会的領域――共感する・思いやる・敬う

向社会性と反社会性
向社会的性格は植えつけるものではなく、育てるもの
強制は恐怖しか残さない
共感の経験が向社会性の基礎を作る
なぜ我が子を傷つけてしまう親がいるのか
「他者が抱えるストレス」からの影響
人間は、歩く前から共感のやりとりをはじめている
挨拶やスキンシップは人類共通の共感の源
共感できる環境をつくるのはおとなの役割
「私」から「私たち」中心の時間へ
親のストレスが、子どもの向社会的成長を阻む
親と子はお互いを成長させ合う
みんなはひとりのために、ひとりはみんなのために

PART3 思春期と付き合う

第10章 思春期の力と危機

思春期の子どもは「大胆な冒険者」だ
思春期のストレスが増大している
思春期の不安定さは、人類進化の代償か
説明すればわかるはず、は通用しない
〝ナイーブな思春期〟は医学的に証明されている
社会的つながりがティーンエイジャーに安心を与える
「顔を合わせる」時間の大切さ
食事と運動と睡眠が育むストレス耐性
ティーンエイジャーと親の距離感
【コラム】過食の引きこもり少女を変えたもの《二クス・15歳~大学3年》

第11章 子どもたちを虜にする刺激

退屈は気分ではなく生理現象
ゲームにハマるのは神経科学の必然
戦闘ゲームからジャンクフードへ
刺激なだめるための刺激という連鎖
【コラム】ポテトチップスを食べつづけても満たされない《ジョナ・9歳》
自制心との戦いをやめるという合理的な選択
「都市化」がもたらすストレス因子

第12章 親にもセルフ・レグが必要だ――5つのストレス

(1)子どもが社会生活になじまない
(2)子どもの不安の伝染
(3)親同士の競争
(4)子どもを虜にする刺激との攻防
(5)子育てについてのレッテル貼り

[まとめ] 子どものサインに気づき、セルフ・レグの習慣を育てる12の方法

おわりに

原註

 

スチュアート・シャンカーさん プロフィール

著者のスチュアート・シャンカーさんは、ヨーク大学(カナダ)名誉教授。専門は心理学と哲学。セルフ・レグの実践・普及をめざすMEHRITセンターの創設者。ユニセフ「乳幼児期の子どもの発達(ECD)協議会」前委員長。

トロント大学にて学士号と修士号を取得。オックスフォード大学で哲学博士号を取得。国際的な実績を積み、カナダ、アメリカ各地のさまざまな政府機関にて乳幼児の発達に関する顧問を務めてきた。

 

「落ち着きがない」の正体
我が子の敏感すぎる反応をやわらげる《セルフ・レグ(自己調整法)》という提案。

脳科学に基づいた理解と触れ合いが、親子のストレスサイクルを断つ。

「頑張れ! 」「静かにしなさい! 」……子どもに対して、こんなことをいくら言い続けても意味がない。
なぜならそれはセルフ・コントロール(自制心・自己制御)に期待しているから。
すでにストレスに見舞われている子に「頑張れ! 」とセルフ・コントロールを強要すればするほど、人はポジティブな行動変化をなしとげにくくなる。

そこで大切になってくる視点が、セルフ・レギュレーション(自己調整)だ。

落ち着きがないとき、脳はどのような指令を出しているのか。
「落ち着きがない」ということの正体を理解することから、セルフ・レギュレーションは始まる。

ユニセフ「乳幼児期の子どもの発達(ECD)協議会」の委員長も務め、子どもの発達に関して研究を深めてきた著者がセルフ・レギュレーションの視点から、親子(先生・生徒)の触れ合い方を導き出した「セルフ・レグ(自己調整法)」のメソッドを紹介する。

 


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