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『部下のやる気はいらない』あなたが部下に与えるべきは「やる気」ではなく、「やる理由」だった!

岩崎徹也さん著『部下のやる気はいらない』

岩崎徹也さん著『部下のやる気はいらない』

岩崎徹也さん著『部下のやる気はいらない』が日本能率協会マネジメントセンター(JMAM)より刊行されました。

 

「やる気がないから行動しない」というのは間違い

「部下のやる気を出させるために、一体どうすればいいのだろう?」
人材育成で、このような悩みを抱えている方は多いのではないでしょうか。実際、若手社員が自発的に行動しない、と悩むマネジメント層は数多くいます。

行動しない原因を尋ねると、みな口をそろえて「やる気がない」ことを理由にあげます。しかし、実はこれは間違いで「やる気がない」から行動しないのではありません。若手が行動しないのは、「行動する理由がない、もしくは行動する理由が明確ではない」ことが原因なのです。

 
実際、脳科学の世界では「何かに取り組んだり行動したりするのにやる気は必要ない」と言われています。人間の「やる気」は、脳内で分泌される神経伝達物質・ドーパミンによって引き起こされます。ドーパミンは脳の側坐核と呼ばれる場所を活性化することで分泌されます。

では活性化するためには何をすればよいでしょうか。活性化のカギは「実際に行動を起こす」ことです。「やる気」がないから行動しないのではなく、行動しないから「やる気」が起きなかったのです。

 

「やる気」に左右されないコーチングメソッドの実践で、徐々に自走する部下へ

本書では脳科学で言われている「実際に行動を起こす」ことを促すコーチングメソッドを紹介しています。

 
まず一歩踏み出し、行動すること。そしてその一歩を振り返り、内省し、次の一歩を設定する。このサイクルを伴走することで部下は業務に意味を見出すようになり、自ら行動するようになります。
今は「やる気」ありきの仕事のやり方ではなく、1人1人が自ら考えて仕事をすることが求められます。

 
本書ではコーチングとは何か、にはじまり、具体的な実践方法まで説明します。適切なコーチングメソッドを実践することで、部下が行動するようになるだけでなく、部下との信頼関係が構築され、仕事上で抱えるコミュニケーションの悩みも解消してくれるので、仕事に良い循環が生まれるようになります。

 

本書「はじめに」より

「やる気がない」とは何か?
突然ですが、このようなお悩みはありませんか?
「若手が全然行動しない。会社の目標に対してコミットしない」
「主体的に発言しないし、自主的に行動しない」
実際、多くのマネジャー職の方から、このようなお悩みをいただきます。そしてその原因を聞いてみると、みなさん口をそろえてこう答えます。「やる気がない」と。「部下のやる気を出させるために、一体どうすればいいのだろう?」

 
そのようなことを考えている人は、とても多いのではないかと思います。ですがそれ、ちょっと違うと思うのです。実は若手が行動しないのも、成長しないのも、「やる気がない」が原因ではないのです。
そもそも、「やる気のある」行動とは何でしょうか? おそらく、この本を読んでいる方の多くが考える「やる気」とは、「難しいことでも文句も言わずに立ち向かうこと」「自分から率先して手を挙げること」などかもしれません。これをシンプルに言い換えると、「とりあえずやってみる」という「前向きな気持ち」だと思います。ですが、それを今の時代に持つことは、実は非常に難しいのです。

 
今の20代前半のビジネスパーソンが学生時代を過ごした頃の環境は、10年前とかなり違っています。ITやネットが普及していて、個性を尊重した教育がなされてきた世代。調べればわかることが多く、ミスをしないように選択ができる世代です。
だからこそ、「競争や挫折・不条理や我慢」の経験がないと言われています。SNSでは有名人がちょっとしたことで叩かれて炎上し、何か不条理なことがあればSNSで不満をぶつけることができて、かつその不満を「いいね」で肯定してもらえます。そういった情勢もあって、挑戦することが少なく、反対に安全な道に進む。失敗を恐れるあまり大人が言う「ああしなさい」「こうしなさい」という言葉を鵜呑みにすることが多いのです。
そしてそれは、社会に出てからも同じです。今の社会は、昔に比べて多様化しています。10年前に売れていた商品が今も堅調に売れている、といったことはどの業界でもあまりない話ですよね。それに加えて「失われた30年」の影響もあり、どこの会社も余裕がありません。
そのような中で、「とりあえずやってみる」という「経験の量」が少なくなっている場合が非常に多いのです。実際に触れてみた手触り感のある経験が少なく、その経験に裏打ちされた成功や失敗の情報が容易に手に入らなくなっています。

 
だからその分、「まずやってみよう」となりにくいのです。
「まずやってみよう」ができない状態の若手が、どうして自分の意思で「こんなことをやろう」となるでしょうか?ならないですよね。自発的な行動が生まれなければ、経験の量は必然的に少なくなってしまいます。すると、経験が少ないことで、昔よりも人材の質が下がってしまうことは容易に想像できます。
私は、これから10年後の日本が抱える1番の経済の問題は、次の日本を作るはずの次世代の経営幹部が、経験不足により圧倒的に弱くなってしまうことだと思います。ですがそれは、やる気という精神の問題ではないのです。環境がそうさせているだけであり、部下に対して「なんでやる気がないんだ!」と怒っても何の解決にもならないのです。
では、どうすればいいのか? 私たちは、最初の一歩を踏み出すきっかけをデザインすることと、そこからの学びを最大化することでこの問題を解決しようとしています。実は私たちは、日々この問題を解決する仕事をしています。「コーチング」と呼ばれる、メンバーの方との1on1を通して、「やる気に依存せず、目の前のコトに今以上に向き合う」ことを支援する仕事をしているのです。

~中略~

私たちのコーチングノウハウの根源にあるのは、やる気があるから成長するといった従来の考え方ではなく、対話によって「行動のきっかけを与えることで一歩踏み出し、日々の何気ない経験から気づきを得ることで成長する」といった科学的なアプローチ方法なのです。

 

本書の構成

序章 部下のやる気に依存しないコーチングメソッド

第1部 部下が一歩前に踏み出す準備をする―コーチングレディ
 第1章 やらない理由があるか?
 第2章 コーチングレディSTEP1 信頼関係を構築する
 第3章 コーチングレディSTEP2 自分が今いる環境や自身の強み弱みを言語化する
 第4章 コーチングレディSTEP3 真に達成したい目標(want to)から行動計画を策定する
 第5章 一歩踏み出すときに意識すべきこと

第2部 経験から学び、部下は自立自走する―経験学習サイクル
 第6章 なぜ、「経験」が大事なのか?
 第7章 あなたの成功体験は?失敗体験は?―振り返りの壁
 第8章 経験から得た教訓は? その教訓をどう活かす?―教訓の壁
 第9章 経験を次の機会にどう活かす?―応用の壁

 

著者プロフィール

著者の岩崎徹也(いわさき・てつや)さんは、株式会社PABLO代表取締役社長。

2013年新卒で株式会社リクルートホールディングス入社。その後起業して法人向けコーチング会社を設立。当初は自身の経験に準え、「モチベーション」が高まるコーチングを実施していたが、若手営業パーソンへのコーチングから、モチベーションが高まることや中長期の目標を設定する以上に「まずやってみる」ことや「やってみたことにエンジョイメントを感じる」ことが大切だと気づく。その後1,000回以上のコーチングを分析して、独自のコーチング理論を構築。現在、約100名のプロコーチャーを抱え、主にミドルマネージャーや若手ビジネパーソン向けに毎月300回以上のコーチングセッションを実施している。

 

部下のやる気はいらない 「一歩踏み出す」からはじめるコーチング
岩崎 徹也 (著)

■やる気のない部下を嘆くマネジャー
「部下のやる気がなくて困っている」、このような悩みがマネジャーから多く寄せられる。
実際、本来やる気が高いはずの若手社員のワークエンゲージメントが低く、マネジャーはこの現状を不満に思い、やる気のない若手を嘆いているケースは多く見られる。

ただ、脳科学の世界では「何かに取り組んだり行動したりするのにやる気は必要ない」と言われている。人間の「やる気」は、脳内で分泌される神経伝達物質・ドーパミンによって引き起こされるのだが、それは実際に行動を起こさなければ分泌されないのだ。

■やる気に左右されず部下が成果を上げるコーチングメソッド
本書で紹介するのは、脳科学で言うところの「実際に行動を起こす」を促すための方法。「やる気<一歩踏み出す」のコーチングメソッドである。 やる気より大切なのはまず一歩踏み出し、行動すること。そしてその一歩を振り返り、内省し、次の一歩を設定する。そのサイクルを伴走することで、部下は徐々に業務へ熱中していくようになる。結果として、やる気に依存しないこのコーチングメソッドは、部下の業務へのマインドを向上させ、成果を創出することができる。

 


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