気になる本、おススメの本を紹介

B O O K P O O H

『14歳からの個人主義 自分を失わずに生きるための思想と哲学』変化の多い時代だからこそ身につけたい「個人主義」の考え方!

丸山俊一さん著『14歳からの個人主義 自分を失わずに生きるための思想と哲学』

丸山俊一さん著『14歳からの個人主義 自分を失わずに生きるための思想と哲学』

NHK「欲望の資本主義」「ネコメンタリー 猫も杓子も。」プロデューサー・丸山俊一さん著『14歳からの個人主義 自分を失わずに生きるための思想と哲学』が、大和書房より刊行されました。

 

目まぐるしく変化する今の時代だからこそ身につけたい「個人主義」

「ワクワクしてますか?」「ワクワクしましょう!」
最近よく聞く言葉です。こうした呼びかけをメディアなどで目にするたびに、ぼくは少し複雑な気持ちになってしまうのです。
そもそも「ワクワク」って、意思の力で「する」ものだったっけ?
人に聞かれるほど、いつもしてなくちゃいけないものだったっけ? と。

(「みんなと同じでいることが、すこししんどい人へ」より引用)

 
「ワクワクしよう」「多様性を大事にしよう」という言葉ばかりが叫ばれる今の世の中では、皮肉なことにむしろ「個」という存在がおざなりになってしまいがちです。

現代において、自分を大切にするとはどういうことなのでしょうか?
グローバル化、資本主義の限界、デジタル化、そしてコロナ禍……
目まぐるしく変化している今の時代だからこそ、「個人主義」の考え方を身につけませんか?

 

夏目漱石が強調した「個人主義」

夏目漱石の著作の一つに『私の個人主義』と題された講演録があります。

現代では、自分勝手な人、自分の都合しか考えない人を指して、マイナスなイメージのある「個人主義」。夏目漱石はいまから100年以上前に、大学生に向けて「個人主義」の大切さを説いています。

 
自分の個性を発展させていく自由を持つ、自分の感受性に正直に生きることが、「自分の人生」を生きることに繋がるのです。これは独りよがりということではなく、他人の個人主義も尊重するからこそ自分の個人主義も貫けるという考え方です。

変化が加速する現代において、このことは14歳からでも考える意味があることでしょう。

 
コロナ禍の今、これからの時代を生き抜くための知恵を、夏目漱石、ラカン、フロム、老子、モンテーニュなど、世界の知性に学びます。

 

『14歳からの個人主義 自分を失わずに生きるための思想と哲学』本文より

 
みんなで一体となる「集団主義」が好きな日本人

(略)コロナによって浮かび上がった問題、その対処法の中に、漱石が直感していた時代の空気と重なるもの、ある種のねじれが透けて見える、という話をしました。

そうした目で振り返ってみると、明治の開国以降、確かに日本は、「追いつけ追い越せ」という精神でがんばることが、つねに奨励される歴史だったと言えるでしょう。

そして、そこには、「みんな」が一様にがんばる「集団主義」もありました。

その間、第二次大戦の敗戦など、大きな歴史的な反省を迫られることもありましたが、いつも、どこかしら、「みんな」で一体となってがんばることがよしとされる空気がずっと基本にあって、ここまで来たように感じます。

個の軽視、目指される効率的な解決など、結果を急ぐがゆえの集団主義は、「同調圧力」と言われる空気となって深く浸透し続け、残念ながら、いまもその土壌は変わらないものがあります。

その意義がよくわからないままに強制される行事や、時代に対応していない、ただ惰性で続いている校則など、学校でも感じる場面があるかもしれませんね。

もちろん、長い歴史の中では、「個性」の大事さが叫ばれたり、教育のうえでも「ゆとり」が必要だと言われたりすることもありましたが、なかなか、本来の意味での「多様な個」が尊重される方向への転換はうまく進められていないように思います。

14歳のあなたは、どう感じているでしょうか。

「個性が大事だ」「多様性が大事だ」と言われますが、どこかそのかけ声自体が同じように聞こえてきて、なんとなくおかしいなと感じている人もいるのではないでしょうか。

 

本書の構成

はじめに みんなと同じでいることが少ししんどい人へ

1章 この社会の中で「自分」を失わずに生きるための「個人主義」とは

2章 「みんなと同じ」から離れる勇気――ひとり歩きする自分を見すえて

3章 自分の中にある2つの自分との向き合い方――ラカンとフロムに学ぶ

4章 自分の基準を外すということ 老子と荘子に学ぶ

5章 あるがままの「自分」に向き合うーーモンターニュとパスカルに学ぶ

6章 おのずから「自分」は生まれる 鈴木大拙と西田幾多郎に学ぶ

最終章 「自分」を解き放つということーーふたたび漱石へ

おわりに 自分の価値を自分で決める生き方

 

著者プロフィール

著者の丸山俊一(まるやま・しゅんいち)さんは、1962年生まれ。長野県松本市出身。NHKエンタープライズ エグゼクティブ・プロデューサー/東京藝術大学客員教授/早稲田大学非常勤講師。

旭町中学校、松本深志高等学校を経て、慶應義塾大学経済学部卒業後、NHK入局。「英語でしゃべらナイト」「爆笑問題のニッポンの教養」「仕事ハッケン伝」「ニッポン戦後サブカルチャー史」「ニッポンのジレンマ」「地球タクシー」「人間ってナンだ?超AI入門」ほか数多くの異色教養エンターテインメント、ドキュメントを企画開発、制作統括。大学では、社会哲学、社会思想を講じる。現在も「欲望の資本主義」「欲望の時代の哲学」をはじめとする「欲望」シリーズの他、「ネコメンタリー 猫も、杓子も。」「世界サブカルチャー史」などをプロデュースし続ける。妻と黒猫と暮らす、遊歩人。

著書に『14歳からの資本主義』『すべての仕事は「肯定」から始まる』(大和書房)、『結論は出さなくていい』(光文社新書)、制作班との共著に『欲望の資本主義 1~5』(東洋経済新報社)、『欲望の民主主義』(幻冬舎新書)、『マルクス・ガブリエル 欲望の時代を哲学する/自由と闘争のパラドックスを越えて/危機の時代を語る/新時代に生きる「道徳哲学」』『AI以後~変貌するテクノロジーの危機と希望』(NHK出版新書)ほか。

 

14歳からの個人主義~自分を失わずに生きるための思想と哲学
丸山 俊一 (著)

14歳から大人まで必読。
同調圧力から自由になりたい人へ
NHK「欲望の資本主義」プロデューサーが古今東西の知の言葉をたどりながら思索する。
夏目漱石、フロム、荘子、モンテーニュ、西田幾多郎など世界の知性とともにーー。

 


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です