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『得する、徳。』テイクを考えるな!ギブ、ギブ、ギブ! 経済記者が書くこれからの新しい徳の積みかた

栗下直也さん著『得する、徳。』(CCCメディアハウス)

栗下直也さん著『得する、徳。』(CCCメディアハウス)

書評サイトHONZの栗下直也さんによるビジネス書『得する、徳。』が、CCCメディアハウスより刊行されました。

 

成毛眞さん推薦!「信用がカネに取って代わる社会を泳げ」

成毛 眞さんより

「昔から「ビジネスには信用が大事だ」と言われ、昨今では「信用があれば生きていける」という議論が盛んである。しかし、信用とは一体なんなのか? 漠然とした「信用」を読み解くヒントは渋沢栄一や土光敏夫などの名経営者が実践してきた「徳を積む」行為にある。財界人を取材してきた経済記者が書く、新しい徳の積みかた。会社は誰のもので、我々は何のために働くのか? 信用がカネに取って代わる社会を泳げ。」

 
「カネより信用を積め」「信用があれば生きていける」という議論を耳にするようになりました。

実際、融資を受けるにも、取引をするにも、信用が大切なのは昔から自明でした。しかし近年になって、いまさら声高に、信用を「見える化」、具体的には信用をポイント化する動きなどが出てきています。

 
そんな風に、重視されつつあるらしい信用ですが、いったい信用とは何なのでしょうか?
本当に信用があれば生きていけるのでしょうか。

ヒントはすべて、日本に昔からある「徳を積む」という行為にあります。子曰く、子曰く、トイレの壁にも、子曰く。中小企業の事務所の壁に論語が貼ってあるのには意味があったのです。

 
本書のテーマは「徳」です。本書では、これからの徳の積みかたを次のように定義しています。

(1) 何もかもは引き受けてはいけない
(2) 犠牲を払っていると思うなら断れ
(3) 無理に「いい人」を目指すな
(4) 行為ではなく関係性を強調しろ

 
わかるようでよくわからない「信用」という概念を「徳」というキーワードに置き換えてみると、今後の自分の働きかた、生きかた、社会が目指す方向性が明確になっていきます。

 
第1章では、グローバリズムの権化のようなイメージがある米国でも「徳」が重視されつつある現状を読み解き、「これから時代の徳の積みかた」について定義します。

第2章では、渋沢栄一、土光敏夫といった日本の名経営者たちの足跡をたどり、彼らの「徳」が、いまという時代で考えても、いかに古びずにフィットしていたかを探ります。

第3章では、「徳」がけっして無縁ではない「会社という存在」について考えます。会社は誰のものなのか? 我々は誰のために、なんのために働くのか? 利益の追求と徳の追求は両立が可能であることがわかってきます。

そして、第4章では、そうは言っても「カネにならないことはやりたくない」と思うあなたが、それでも「徳」を積んだほうがいい理由について考えます。

 
まさにいま、「徳」が問われています。そして、歴史を振り返ればわかります。「徳」はいつか、忘れた頃に「得」になる。「俺だけどうにかなればいい」と考える人が増えるほど、あなたの小さな「徳」が、きっと輝きます。

 

本書の構成

はじめに ロシアンパブと論語と私

第1章 信用社会の到来 テイクを考えるな。ギブ、ギブ、ギブ!

3タイプの人間: 与える人、欲をかく人、天秤にかける人
ホリエモンの一貫:「ふしぎな信用でかなえてくれる♪」
皆が上場する時代?:自分の株価を知っているか
きれい事なのか否か:いい人は成功からもっとも遠いのか
欲をかく人の生存戦略:なぜタダ乗りするヤツは嫌われるのか
道徳はいつも不安定:「カネに転んだのか!」と罵倒するけれど…
親切をする快感:テレビの月光仮面、現実の伊達直人
利他と利己の関係:利己的じゃダメなんですか

第2章 偉人の「徳」に学ぶ 徳、徳、徳! 会社と社会に寄与せよ。

何をした人?:名前に「徳」が付き、像まで建っているのに
大乗仏教の徳:布施、忍辱、精進の3つについて
二宮尊徳に学ぶ(1):大声で『大学』を朗読するヤバい人?
二宮尊徳に学ぶ(2):道徳なき経済は犯罪、経済なき道徳は寝言
淀屋常安に学ぶ(1):商人は「損して得しろ!」が常識なのか
淀屋常安に学ぶ(2):人が嫌がる仕事を買って出た結果
淀屋常安に学ぶ(3):損と得のバランスが崩れるとき
淀屋常安に学ぶ(4):淀屋の没落が商人にもたらしたもの
渋沢栄一に学ぶ(1):日本の資本主義の父、令和に大人気
渋沢栄一に学ぶ(2):論語(道徳)とソロバン(経済)を一致させよ!
渋沢栄一に学ぶ(3):いまいち存在感ない…その理由に「徳」
渋沢栄一に学ぶ(4):人に会うことを惜しまない
土光敏夫に学ぶ(1):不祥事があれば「土光を見習え」
土光敏夫に学ぶ(2):年収5000万、メザシを食う
土光敏夫に学ぶ(3):無私の徳は社会を変え、国をも変える
土光敏夫に学ぶ(4):我々はなんのために働くのか?

第3章 会社は誰のモノなのか カネを出したら、俺のモノ、でもない…。

物言う株主:利益の追求と利他は両立するわけ?
国際目標はSDGs:幸せな社会の実現は話が大きすぎるのか?
日本の「株主至上主義」:「従業員のモノ」から「株主のモノへ」
抜けない昭和体質:ガバナンス先駆者だったはずの日産と東芝
3つの理由:なぜ「会社は株主のモノ」になったのか
有限責任制:会社の悪さは誰が謝まるべきか
倫理観と社会通念:「俺の会社だから好きにしていいだろ!」
出資は所有「株式社員権説」:株主の関心は配当ばかりの現状で
社会的存在としての会社:「会社は個人のモノ」だった時代

第4章 なんのために働くのか 自分はどうしたいのか。我々はどう生きるのか。

世界人助け指数:見知らぬ人を助けたか?
不寛容社会:やよい軒でおかわりもできない…
人のポイント化:強制的に「徳」を積まされる社会
内発的動機と外発的動機:監視社会は「徳」の高い社会を実現するか
良い社会とは何か:アリストテレスの基準で考える
外発的動機からの転換:リターンがなければやれないと思うなら

おわりに 「徳」消費社会をよく生きる

 

栗下直也さん プロフィール

栗下直也(くりした・なおや)さんは、1980年生まれ。東京都出身。横浜国立大学大学院国際社会科学研究科経営学専攻修了。経済記者のかたわら、書評サイト「HONZ」や週刊誌、月刊誌などでレビューを執筆。書籍構成も手がける。

著書に『人生で大切なことは泥酔に学んだ』(左右社)がある。戦前のダダイスト、辻潤の研究がライフワーク。新橋系泥酔派を自認するが、酒場詩人は目指していない。

★ツイッター(@naokurishita):https://twitter.com/naokurishita

 

得する、徳。
栗下 直也 (著)

 


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