『キャッシュレス覇権戦争』消費増税のポイント還元策はどうなる? 熾烈なスマホ決済覇権争いのゆくえは?
これからの「キャッシュレス生活」を送るうえで知らなければならないこと全てを分かりやすく解説した、磐田昭男さん著『キャッシュレス覇権戦争』が、NHK出版より2月に刊行されましたが、売上好調により重版が決定しました。
セブンペイ終了のから見える、ことの本質
2019年7月に鳴り物入りで始まった、セブンイレブンのスマートフォン決済サービス「セブンペイ」。開始早々に不正利用が発覚したことで、充分なセキュリティー対策が施されていなかったことなどが批判を集め、早くも9月末に終了することが発表されました。
なぜコンビニ業界の王者ともあろう同社が、不完全なサービスを始めてしまったのか?
その背景には、「キャッシュレス」をめぐる官民あげての一大ブームに乗り遅れまいとする焦りがあったと伝えられています。
ペイペイ、LINEペイ、楽天ペイ、メルペイ……。
テレビCMやお店のレジで、こうした「○○ペイ」の名前に接したことのある方も多いでしょう。これらは政府が経済活発化の柱に位置付け、官民挙げて推進に取り組んでいる「キャッシュレス決済」、とくにQRコードを使ってスマホで決済を行うサービスのことです。
これらのスマホ決済は、まず消費者側には、以下のメリットがあります。
◎現金不要で支払いがスムーズ
◎キャンペーンで割引がある
◎ポイントをためやすい
またお店の側にも、
◎現金を扱うコストの減少
◎お客の購買データを収集できて、販促に活かせる
といった、さまざまなメリットが喧伝されています。ただし、いいことづくめでは決してなく、
◎個人情報が企業に筒抜けになる
◎ひいては、一人一人の信用力が企業によって格付けされ、優遇や差別を受ける「信用格差社会」が生まれる
などの問題も危惧されています。
好むと好まざるとに関わらず、今後ますます普及するキャッシュレス決済を、私たちはいかに便利でおトクに、そして安全に使いこなしていけばよいのか?
『キャッシュレス覇権戦争』では、消費生活ジャーナリストとして、金融分野で豊富な取材経験と活発な執筆活動を続ける岩田昭男さんが、「キャッシュレスってそもそも何?」というところから、
◎どうして現金じゃいけないの?
◎どの決済サービスを使うのが一番おトク?
◎使いすぎることはないの?
◎スマホをなくしたり、盗まれたりしたときの補償は?
◎個人情報が抜き取られる心配は?
など、キャッシュレスについて消費者が知らなければならないことを、わかりやすく解説しています。
本書の構成
序章 ドキュメント「ペイペイ祭り」――「100億円還元」キャンペーンは何を残したか?
第1章 現金の壁を突破せよ!――キャッシュレス狂騒曲
第2章 キャッシュレス社会はアメリカで始まった
第3章 キャッシュレス先進国に躍り出た中国
第4章 「信用スコア」の衝撃
第5章 GAFAがすべてを支配する――狙われる個人情報
終章 データ監視社会で身を守る
磐田昭男さん プロフィール
著者の岩田昭男(いわた・あきお)さんは、1952年生まれ。早稲田大学第一文学部卒業、同大学院修士課程修了。消費生活ジャーナリスト。
月刊誌記者などを経て独立。NPO法人「消費生活とカード教育を考える会」理事長も務める。流通、情報通信、金融分野を中心に、取材・執筆を続けている。
著書に『「信用力」格差社会』(東洋経済新報社)、『Suicaが世界を制覇する』(朝日新書)など多数。
キャッシュレス覇権戦争 (NHK出版新書 574) 岩田 昭男 (著) 誰が300兆円決済市場を制するか?「信用格差社会」をいかに生き延びるか? PayPay、LINE Pay、NTTドコモ……。政府の旗振りの下で吹き荒れるキャッシュレスの大嵐。米中巨大資本も虎視眈々と狙う、日本の300兆円消費市場を誰が制するのか? フィンテックの進化がもたらす「信用格差社会」をいかに生き抜けばよいか?──激動の業界と、私たちの暮らしの行方を読み解く。 |