松本清張賞受賞作家・梶よう子さんがアホウドリの撲殺事業で巨万の富を得た玉置半右衛門を描く『紺碧の海』が刊行
松本清張賞、新田次郎賞受賞作家・梶よう子さんが、アホウドリの撲殺事業で巨万の富を得た玉置半右衛門を描く時代小説『紺碧の海』を徳間書店より刊行しました。
この男、大罪人か? 稀代の開拓者か?
【あらすじ】
絶海の無人島で鳥を撲殺し、金を生み出す島へと変えた男、玉置半右衛門。その壮絶な人生とは!?
八丈島生まれの留吉は、大工の棟梁をしている同郷の半右衛門の誘いで横浜へ移り、奉公先で商いを覚え異国語も学ぶ。
偉ぶらず、やることは大胆で、強引さのある半右衛門に憧れていた留吉は「半右衛門の役に立ちたい」と思い続け、27年後ウィリアム商館で番頭を務めるまでになっていた。
「鳥島へ行かないか?」
半右衛門に声をかけられ島へ渡ると驚くべき光景が広がっていた。
「おい! 羽を毟るのは丁寧にしろよ。
売り物にならなくなっちまう」
品定めに厳しい商売人の留吉は、南洋開拓に命を懸けたこの男にますます魅了されていく!
<主な登場人物>
◎菊池留吉:八丈島生まれ。海を見る度閉塞感を覚えていた。半右衛門に誘われ、横浜へ。
◎玉置半右衛門:大工の棟梁となり、やがて八丈島と東京とをつなぐ廻船業を始める。
◎近藤富蔵:近藤重蔵の息子。流人となり、八丈島へ。島の子に算盤や読み書きを教える。
梶よう子さん コメント
明治初頭。日本の大航海時代が始まり、海に魅せられた冒険者たちが多数現れた。
離島の開拓に命を懸けた、八丈島出身の玉置半右衛門もそのひとりだ。
半右衛門のことを知ったとき、新時代を迎え、希望に燃える善人にすべきか、欲得にまみれた悪人として描くか、迷いに迷った挙句──。
やはり、人は一面ではない、と結論が出たような、出ないような──。
それだけ魅力的な人物であったわけで、あとは本書でお確かめいただければ幸いです。
著者プロフィール
梶よう子(かじ・ようこ)さんは、東京都出身。2005年『い草の花』で九州さが大衆文学賞、『一朝の夢』で第15回松本清張賞を受賞。『ヨイ豊』で直木賞候補、歴史時代作家クラブ賞作品賞を受賞。『広重ぶるう』で第42回新田次郎賞を受賞。
著書に『御薬園同心 水上草介』『ことり屋おけい探鳥双紙』『みとや・お瑛仕入帖』『とむらい屋颯太』などのシリーズ、『北斎まんだら』『我、鉄路を拓かん』『雨露』などがある。
紺碧の海 梶よう子 (著) この男、大罪人か? 絶海の無人島で鳥を撲殺し、金を生み出す島へと変えた男、玉置半右衛門。 |
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