本のページ

SINCE 1991

寺地はるなさんが「めんどうな人」の機微を描く『雨夜の星たち』が文庫化

カバーイラスト:カシワイ

カバーイラスト:カシワイ

2021年に刊行された寺地はるなさん著『雨夜の星たち』が初文庫化され、徳間文庫より刊行されました。

 

空気を読まない三葉、「お見舞い代行」にスカウトされる――めんどうな人だけど目が離せない!

 
【あらすじ】

「できないことは、できません。やりたくないことも、やりません」
他人に感情移入できない二十六歳の三葉雨音(みつば・あまね)は、それを長所と見込まれ、お年寄りの病院送迎やお見舞い代行の「しごと」をはじめる。

聞き上手な八十代セツ子、手術の付き添いを希望する四十代の好美など依頼人は様々。空気を読まない三葉だが、行動に変化がみられていく──。めんどうだけど気になる三葉から目が離せない。

 
<巻末解説より(抜粋)>

主人公が少しだけ他人と心を通わす様が、わざとらしくなく無理がなくて、好きです。
――沖田修一さん(映画監督)

 

寺地はるなさん 単行本刊行時のコメント

「雨夜の星」は目に見えません。でもたしかにそこにあります。空気を読むという言葉があります。空気は目に見えません。見えないけれどそこにあるものは、良いものとはかぎりません。その場の空気を読むことばかりに心を砕き、いつのまにか決定的に間違った方向へ進んでいく。そんな危険だって、とうぜんあるのではないでしょうか。空気は読めなくてもいい。あるいは読めても従わないという選択肢だってきっとあると信じて、この物語を書きました。

 

著者プロフィール

寺地はるな(てらち・はるな)さんは、1977年生まれ、佐賀県出身。大阪府在住。『ビオレタ』で第4回ポプラ社小説新人賞を受賞しデビュー。

2020年に第38回咲くやこの花賞(文芸その他部門)、2021年『水を縫う』で第9回河合隼雄物語賞を受賞。

著書に『夜が暗いとはかぎらない』『みちづれはいても、ひとり』『大人は泣かないと思っていた』『正しい愛と理想の息子』『架空の犬と嘘をつく猫』『わたしの良い子』『希望のゆくえ』『やわらかい砂のうえ』『彼女が天使でなくなる日』『どうしてわたしはあの子じゃないの』『白ゆき紅ばら』『わたしたちに翼はいらない』『こまどりたちが歌うなら』など。

 

雨夜の星たち (徳間文庫)
寺地はるな (著)

【主な登場人物】
◆三葉雨音 26歳。職業はお見舞い代行。
他人に興味がない。
◆霧島開 三葉の雇い主。
喫茶店の店主で、ホットケーキが苦手。
◆リルカ スナックで働く、
感情豊かで共感能力が高い霧島の彼女。
◆星崎聡司 三葉の元同僚。
湯気の立つ食べものが苦手。失踪中。

【依頼人たち】
◆田島セツ子 病院への送迎。聞き上手な80代。
◆権藤 肝臓の病気で入院中の70代。
因縁の相手。
◆清川好美 手術の付き添い。
配偶者なしの42歳。

 
【関連】
雨夜の星たち@試し読み

 


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です