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【第54回星雲賞】長谷敏司さん『プロトコル・オブ・ヒューマニティ』、春暮康一さん「法治の獣」などが受賞

日本SFファングループ連合会議は、SF作品およびSF活動を対象とした「第54回星雲賞」の受賞作品・受賞者を発表しました。

 

「第54回星雲賞」の受賞作品・受賞者が決定!

第54回星雲賞は、4月13日から5月31日にかけて第61回日本SF大会参加者によって行われた投票の結果、次の通り、各部門の受賞作品・受賞者が決定しました。
なお、受賞作品・受賞者の発表および授与式は8月5日に埼玉県さいたま市で開催された第61回日本SF大会(Sci-con2023)において実施されました。

 
<第54回星雲賞 受賞作品・受賞者> ※敬称略

■日本長編部門(小説)
『プロトコル・オブ・ヒューマニティ』(長谷敏司/早川書房)

■日本短編部門(小説)
「法治の獣」(春暮康一/早川書房 『法治の獣』収録)

■海外長編部門(小説)
『銀河帝国の興亡』全3巻(アイザック・アシモフ、訳:鍛治靖子/東京創元社)

■海外短編部門(小説)
「いずれすべては海の中に」(サラ・ピンスカー、訳:市田泉/竹書房『いずれすべては海の中に』収録)
「流浪地球」(劉慈欣、訳:大森望・古市雅子/KADOKAWA『流浪地球』収録)

■コミック部門
『チ。 ―地球の運動についてー』(魚豊/小学館)

■アート部門
鶴田謙二
加藤直之

■ノンフィクション部門
『地球の歩き方 ムー ~異世界(パラレルワールド)の歩き方~』(地球の歩き方編集室/Gakken)

 
なおメディア部門は「シン・ウルトラマン」(監督:樋口真嗣、製作:「シン・ウルトラマン」製作委員会)が受賞、自由部門は該当なし」となりました。

 

星雲賞について

星雲賞は1970年に創設された、SF作品およびSF活動を対象とした日本で最も長い歴史を誇る文学賞です。前年度に発表されたSF作品およびSF活動を対象に、毎年開催される「日本SF大会」の参加者の投票により受賞作品が決定します。1965年に結成された、日本のSFファングループ間の協議機構「日本SFファングループ連合会議」が運営。

「日本長編」「日本短編」「海外長編」「海外短編」「メディア」「コミック」「アート」「ノンフィクション」「自由」の9つの部門で構成されています。

 

プロトコル・オブ・ヒューマニティ
長谷 敏司 (著)

伝説の舞踏家である父の存在を追って、身体表現の最前線を志向するコンテンポラリーダンサーの護堂恒明は、不慮の事故によって右足を失い、AI制御の義足を身につけることになる。絶望のなか、義足を通して自らの肉体を掘り下げる恒明は、やがて友人の谷口が主宰するダンスカンパニーに参加、人のダンスとロボットのダンスを分ける人間性の【手続き/プロトコル】を表現しようとするが、待ち受けていたのは新たな地獄だったーー。SF史上もっとも卑近で、もっとも痛切なファーストコンタクト。『あなたのための物語』「allo, toi, toi」『BEATLESS』を超える、10年ぶりの最高傑作。

法治の獣 (ハヤカワ文庫JA)
春暮康一 (著), 山岸真 (解説), 加藤直之 (イラスト)

緻密な驚きが星々に息づいている。
また新しい宇宙がSFに生まれた。
――小川一水(作家)

高揚感・知的興奮に満ちた、
第一級のストレートなSFである。
――山岸真(SF翻訳業)

ハヤカワSFコンテスト出身の新世代作家が、生命の常識をくつがえす中短篇3作

解説:山岸真(SF翻訳業)

カバーイラスト:加藤直之

惑星〈裁剣(ソード)〉には、あたかも罪と罰の概念を理解しているかのようにふるまう雄鹿に似た動物シエジーが生息する。近傍のスペースコロニー〈ソードⅡ〉は、人びとがシエジーの持つ自然法を手本とした法体系で暮らす社会実験場だった。この地でシエジーの研究をするアリスは、コロニーとシエジーをめぐる衝撃の事実を知り――戦慄の表題作に、ファーストコンタクトの光と影を描ききる傑作2篇を加えた、地球外生命SF中篇集。

銀河帝国の興亡1【新訳版】: 風雲編 (創元SF文庫)
アイザック・アシモフ (著), 鍛治 靖子 (翻訳)

2500万もの惑星に版図を広げた人類。
その大銀河帝国に滅亡の影が兆していた。
迫真の感動をもってせまる傑作三部作、完全新訳。

銀河系宇宙を支配する大銀河帝国に、徐々に没落の影がきざしていた。ひとたび銀河帝国が崩壊すれば、各太陽系は小王国に分裂し、人類はふたたび原始の暗黒時代に逆行する運命にあった。このとき現われた天才的な歴史心理学者ハリ・セルダンの予言は? 巨匠の最高傑作たる未来叙事詩三部作。ヒューゴー賞受賞作。新訳決定版。

いずれすべては海の中に (竹書房文庫)
サラ・ピンスカー (著), 市田 泉 (翻訳)

最新の義手が道路と?がった男の話(「一筋に伸びる二車線のハイウェイ」)、世代間宇宙船の中で受け継がれる記憶と歴史と音楽(「風はさまよう」)、クジラを運転して旅をするという奇妙な仕事の終わりに待つ予想外の結末(「イッカク」)、並行世界のサラ・ピンスカーたちが集まるサラコンで起きた殺人事件をサラ・ピンスカーのひとりが解決するSFミステリ(「そして(Nマイナス1)人しかいなくなった」)など。
奇想の海に呑まれ、たゆたい、息を継ぎ、泳ぎ続ける。その果てに待つものは――。静かな筆致で描かれる、不思議で愛おしいフィリップ・K・ディック賞を受賞した異色短篇集。

アーシュラ・K・ル=グウィンや、ケリー・リンクの作風を受け継ぎながら、彼女自身の不屈の声が全面に響いている。
――〈カーカス・レビュー〉

幻想的な要素を含みながら、同時に、現実にある身近な喪失と痛みに根ざしたほろ苦い物語だ。この物語には、美しい繊細さがある。思索的(スペキュレイティヴ)な要素で読者の頭を殴ることはなく、物語の多くの側面を行間に残している。ピンスカーはサブテキストを非常に巧みに扱い、ページ上ではひとつの物語しか描かれていないが、読者にはふたつの完全な物語が提示されている。
――A・C・ワイズ(作家)

【短篇集として】
2020年度フィリップ・K・ディック賞受賞作
2020年度ローカス賞短篇集部門候補作
2020年度世界幻想文学大賞候補作

【収録作品一覧】
「一筋に伸びる二車線のハイウェイ」(2015年度ネビュラ賞短篇部門候補作)
「そしてわれらは暗闇の中」
「記憶が戻る日(リメンバリー・デイ)」
「いずれすべては海の中に」(2017年度ネビュラ賞短篇部門候補作)
「彼女の低いハム音」
「死者との対話」
「時間流民のためのシュウェル・ホーム」
「深淵をあとに歓喜して」(2014年度シオドア・スタージョン賞短篇部門受賞作、ネビュラ賞中篇部門候補作)
「孤独な船乗りはだれ一人」
「風はさまよう」(2018年度ヒューゴー賞中篇部門候補作、ローカス賞中篇部門候補作、ネビュラ賞中篇部門候補作)
「オープン・ロードの聖母様」(2016年度ネビュラ賞中篇部門受賞作、ヒューゴー賞中篇部門候補作、シオドア・スタージョン短篇部門候補作)
「イッカク」(2020年度ローカス賞中篇部門候補作)
「そして(Nマイナス1)人しかいなくなった」(2016年度ヒューゴー賞ノヴェラ部門候補作、シオドア・スタージョン短篇部門候補作、ローカス賞ノヴェラ部門受賞作)

流浪地球
劉 慈欣 (著), 大森 望 (翻訳), 古市 雅子 (翻訳)

中国大ヒット映画原作、『三体』著者によるSF短編集、待望の邦訳!

●ぼくが生まれた時、地球の自転はストップしていた。人類は太陽系で生き続けることはできない。唯一の道は、べつの星系に移住すること。連合政府は地球エンジンを構築し、地球を太陽系から脱出させる計画を立案、実行に移す。こうして、悠久の旅が始まった。それがどんな結末を迎えるのか、ぼくには知る由もなかった。「流浪地球」
●惑星探査に旅立った宇宙飛行士は先駆者と呼ばれた。帰還した先駆者が目にしたのは、死に絶えた地球と文明の消滅だった。「ミクロ紀元」
●世代宇宙船「呑食者」が、太陽系に迫っている。国連に現れた宇宙船の使者は、人類にこう告げた。「偉大なる呑食帝国は、地球を捕食する。この未来は不可避だ」。「呑食者」
●歴史上もっとも成功したコンピュータ・ウイルス「呪い」はバージョンを変え、進化を遂げた。酔っ払った作家がパラメータを書き換えた「呪い」は、またたく間に市民の運命を変えてしまう――。「呪い5・0」
●高層ビルの窓ガラス清掃員と、固体物理学の博士号を持ち、ナノミラーフィルムを独自開発した男。二人はともに「中国太陽プロジェクト」に従事するが。「中国太陽」
●異星船の接近で突如隆起した海面、その高さ9100メートル。かつての登山家は、単身水の山に挑むことを決意。頂上で、異星船とコミュニケーションを始めるが。「山」

チ。―地球の運動について― (1) (ビッグコミックス)
魚豊

動かせ 歴史を 心を 運命を ――星を。

舞台は15世紀のヨーロッパ。異端思想がガンガン火あぶりに処せられていた時代。主人公の神童・ラファウは飛び級で入学する予定の大学において、当時一番重要とされていた神学の専攻を皆に期待されていた。合理性を最も重んじるラファウにとってもそれは当然の選択であり、合理性に従っている限り世界は“チョロい”はずだった。しかし、ある日ラファウの元に現れた謎の男が研究していたのは、異端思想ド真ン中の「ある真理」だった――

命を捨てても曲げられない信念があるか? 世界を敵に回しても貫きたい美学はあるか? アツい人間を描かせたら敵ナシの『ひゃくえむ。』魚豊が描く、歴史上最もアツい人々の物語!! ページを捲るたび血が沸き立つのを感じるはず。面白い漫画を読む喜びに打ち震えろ!!

【編集担当からのおすすめ情報】
読み終わって「やべえな」と小さく息を吐いて、TwitterやLINEで知り合いに「これ読んだ? やばくない?」って伝えるような漫画があると思うんですが、この漫画はそれです。ぜひそうしていただけますと幸いです。

地球の歩き方 ムー-異世界(パラレルワールド)の歩き方ー超古代文明 オーパーツ 聖地 UFO UMA
地球の歩き方編集室 (編集)

共に1979年創刊のロングセラーブランドがスペシャルコラボ。
世界中に残る謎と不思議に満ちたスポットの数々。
諸説あるなかで、地球の歩き方、ムー、両方の視点から各スポットの神秘にせまるパラレルワールド(同時並行世界)の歩き方。
何を信じるかはアナタ次第。想像力を無限大に、世界を旅して自分の目で真実を確かめてください!

 
【関連】
2023年 第54回星雲賞

 


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