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【第40回渋沢・クローデル賞】奨励賞に西村晶絵さんと佐藤香寿実さん

公益財団法人「日仏会館」は、第40回(2023年度)渋沢・クローデル賞(日本側)の受賞者を発表しました。

 

第40回(2023年度)渋沢・クローデル賞(日本側)が決定!

第40回渋沢・クローデル賞の受賞者は、次の通り決定しました。

 
<第40回渋沢・クローデル賞 受賞作品>

 
■本賞
該当作なし

 
■奨励賞

◎西村晶絵(にしむら・あきえ)さん
『アンドレ・ジッドとキリスト教 「病」と「悪魔」にみる「悪」の思想的展開』(彩流社)

◎佐藤香寿実(さとう・かずみ)さん
『承認のライシテとムスリムの場所づくり 「辺境の街」ストラスブールの実践』(人文書院)

 
奨励賞を受賞した西村晶絵さんは、2005年、慶應義塾大学文学部卒業。2009年東京大学大学院総合文化研究科地域文化研究専攻修士課程、2011年東京大学大学院総合文化研究科地域文化研究専攻博士課程、2012年パリ第7大学大学院文学芸術映画研究科修士課程、2013年パリ第4大学大学院フランス文学比較文学研究科博士課程修了。盛岡大学文学部助教を経て、2023年4月より静岡県立大学国際関係学部 国際言語文化学科講師。

同じく奨励賞を受賞した佐藤香寿実さんは、リヤド生まれ。20016~2017年、仏政府給費生としてストラスブール大学大学院に留学・修士課程修了(Master/人文社会科学)。2020年3月、お茶の水女子大学大学院博士後期課程修了。(博士/社会科学)。お茶の水女子大学グローバルリーダーシップ研究所特別研究員、東京農業大学非常勤講師、敬愛大学非常勤講師を経て、2021年~芝浦工業大学建築学部建築学科特任講師。フランスにおけるムスリムの社会的統合をめぐる現代的課題を専門とし、ストラスブールを中心に調査を実施。第20回人文地理学会学会賞(論文部門)を受賞。

 
審査委員は、伊達聖伸さん、石川美子さん、川出良枝さん、河本真理さん、中地義和さん(委員長)、重田園江さん、澤田直さん、篠田勝英さん、矢後和彦さん、山元 一さん。

 

渋沢・クローデル賞とは

公益財団法人日仏会館が1984年に創立60周年を迎えたのを機に、創立者である渋沢栄一とポール・クローデルの二人を記念して、同会館と毎日新聞社との共催で、渋沢・クローデル賞が創設されました。これは日仏両国において、それぞれ相手国の文化に関してなされたすぐれた研究成果に対して贈られます。なお、2008年度より、読売新聞社が毎日新聞社に代わり共催に加わっています。在日フランス大使館が後援、渋沢栄一記念財団、帝京大学が協賛。

両国でそれぞれ1名が受賞し、受賞者には日本・フランス間往復航空券と、相手国での一ヶ月間の滞在費が贈呈されます。

 

アンドレ・ジッドとキリスト教
西村 晶絵 (著)

「病」と「悪魔」にみる「悪」の思想的展開 本書は、1890年代から1930年代までのジッドにおける「悪(le mal)」をめぐる思想的展開を、「病(le mal, la maladie)」と「悪魔(le diable, le demon,le Satan, le Malin)」という二つの軸となる観念の検討を通じて明らかにしようとしたものである。ジッドの著作を読み解くと、彼が「病」と徹底的に向き合わねばならなかったからこそ、「悪魔」をめぐる関心や思索の展開が開かれた様子が浮かび上がる。「病」も「悪魔」も、彼の実存のみならず、文学創作においても避けては通れない課題であった。これら「悪」との対峙を 通じて形成されたジッドの思想的独自性を浮かび上がらせることが狙いである。「悪」をめぐってジッドが示した思索が、彼個人またキリスト教社会に留まらない普遍的射程を有していたことを最終的に結論づける論考である。

承認のライシテとムスリムの場所づくり: 「辺境の街」ストラスブールの実践
佐藤 香寿実 (著)

ローカルな取り組みから、ライシテの普遍主義を問う

フランス共和主義と政教分離の原則「ライシテ」とイスラームをめぐる現況を概観しつつ、国境の街ストラスブールにおける大モスクとムスリム公共墓地の建設、行政主導の「宗教間対話」等の具体的な事例を分析。政府による介入の緊張を孕みながらも、「ヨーロッパにおけるイスラーム」がどのように誕生し、いかにその場所に息づいているのか。混淆の現場から、新たなヨーロッパの息吹を活写する。

「宗教間対話は、暴力やテロリズム、他者に対する拒絶といった、社会を分裂させるような種々の態度に対するアンチテーゼとして機能する。」
「――共生は、維持しなければならないものであり、日々の戦いである。われわれは決してやめることはできない」(本書より)

 
【関連】
渋沢・クローデル賞 – 日仏会館

 


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