「ごまかすな、何も見えないときには、黒を塗れ」『ピカソの言葉』が刊行
没後50年、91歳で亡くなる直前まで描き続けた天才画家にせまる『ピカソの言葉 勝つためではなく、負けないために闘う』(著:山口路子さん)が大和書房より刊行されました。累計60万部突破、『ココ・シャネルの言葉』など言葉シリーズに初めて男性が登場します。
没後50年、20世紀美術の革命家、ピカソの熱狂的な生き様に迫る一冊
今なお世界中に愛されるパブロ・ピカソ。『ココ・シャネルの言葉』『オードリー・ヘップバーンの言葉』など、世界に名を残す女性の言葉を集め、累計60万部を超えた“読むことで美しくなる言葉”シリーズ初の男性は、ピカソです。
「ピカソが全部やってしまった!」
戦後アメリカ美術界のスター、ポロックは伝記映画の中で、絶望にまみれた声でこう叫びました。
新たな表現方法を目指す芸術家たちにとって、ピカソは彼らの夢をあらかじめ打ち砕いてしまうような、ありとあらゆることを成し遂げた人物でした。
ピカソの人生のキーワードである「変化」「発見」「破壊」、そして「闘い」。
「おまえは何者なのか」と自問し、闘い続けて生きてきたピカソの言葉。そして、その生涯をたどります。すべての「何かをつくるひと」に贈る一冊です。
「ごまかすな、何も見えないときには、黒を塗れ」
―みんな、いつも同じことをしている。何をやってもかまわないのに何がそれを妨げているのか―
変幻自在に画風を変えたことで知られるピカソは、つねに新しいことに目を向けていました。画風がめまぐるしく変わったのもそのためです。
―重要なのは熱狂的状況をつくることだ―
ピカソの「熱狂的状況」に巻きこまれた女性たち友人たちは数多くいて、それぞれ傷つきもしましたが、みなピカソが作る出した熱狂的状況の虜となっていました。
―何も見えないときには、黒を塗れ―
創作においては偽りや作為は何の役にも立たないどころか邪魔であり、なぜならそこには真実がないからで、真実がない作品で人の心を打つことはできない、とピカソはつねに考えていました。
―いい絵には、無数のカミソリの刃が突き刺さっているはずだ―
「絵は観る人を居心地よくさせるのではなく刺激を与えるものだ」というピカソの意見がするどくあらわれている言葉です。自ら摩擦を起こしにいき、摩擦によって生じる熱から想像力の炎を燃やしていたのです。
―自分のファンになったら終わりだ―
「絵を描きはじめると、美しいものを発見することがたびたびあるが、警戒が必要だ。美しい発見は破壊しなければならないからだ。破壊して、そして発見して、また破壊する。それを繰り返すのだ。成功は発見を否定した先にある」ピカソには自分自身を否定し続けることが必要だったのです。
―テクニックは必要だが、重要なのは完全にそれを身につけることだ―
「半端ではなく完全に身につければ、それを意識しなくなる。そのときはじめてテクニックが活きる」。誰でも描ける子どもの絵のようだなどと言われるピカソの絵画は、完璧なまでの「基礎」があってこそのものです。それも並大抵ではない完璧なまでの基礎です。その上で破壊し、崩し、構築したのです。「デッサンはいくらやっても充分ではないよ」とモディリアーニへもアドバイスしていました。
―絵はそれを観る人の目を通してのみ生きるのだ―
「ゲルニカ」の存在意義は、絵画鑑賞とは縁のない人たちまでをも震撼させる強い力にあります。「戦争はむごたらしい。戦争だけはだめだ」と思わずにはいられません。だからこそ「反戦」のシンボルとなり、第二次世界大戦後も、朝鮮戦争やヴェトナム戦争など、そして現在も戦争が起こるたびに、その存在を世界に知らしめ続けているのです。
本書の構成
はじめに
chapter1 流儀 ――肝心なのは、内側からあふれる衝動だ。それが紛れもない事実だ。
chapter2 創作 ――創りなさい。続けなさい。
chapter3 恋愛 ――わたしのような男のもとから立ち去る女はいない。
chapter4 交友 ――シャネルはヨーロッパでもっともセンスのある女だ。
chapter5 闘い ――何にもならないことだとしても、やらなければならないことはある。
著者プロフィール
著者の山口路子(やまぐち・みちこ)さんは、1966年5月2日生まれ。作家。核となるテーマは「ミューズ」「言葉との出逢い」「絵画との個人的な関係」。
著書『オードリー・ヘップバーンの言葉』『ココ・シャネルの言葉』をはじめとする「言葉シリーズ」が累計60万部突破を突破。
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