第18回ジュニア冒険小説大賞受賞作『鈴の送り神修行ダイアリー』が刊行

第18回ジュニア冒険小説大賞で大賞を受賞した、山下雅洋さん著『鈴の送り神修行ダイアリー』（絵：酒井以さん）が岩崎書店より刊行されました。

『鈴の送り神修行ダイアリー』について

本書は、受賞時は「鈴の死神修行覚書」というタイトルでしたが、刊行にあたり、『鈴の送り神修行ダイアリー』に改題されました。

 
【あらすじ】

あわいの世界で過ごした7日間を忘れない。　中2の鈴は、夏休みに田舎に帰省したが、ひょんなことから池に落ち、溺れてしまう。目覚めた場所は、この世とあの世の「あわいの世界」。そこには、死者の魂を送る死神・左衛門と八重という名の少女がいた。鈴は、左衛門のもとで送り神の修行をして、死を通じて生きることを見つめ直す7日間を過ごす。

ジュニア冒険小説大賞とは

海外ファンタジーばかりが持て囃される傾向にあった2001年、現代の子どもたちがワクワクするような日本オリジナルの冒険物語を子どもたちに届けようとして創設されたのがジュニア冒険小説大賞です。

賞を主催する創作集団プロミネンスは、SFを核としながら長く児童向けエンターテインメントの創作と普及に努めてきた作家・翻訳者・画家の団体。岩崎書店は、コナン・ドイル、H・G・ウェルズ、ジュール・ベルヌなどの冒険小説を早くから子どもたちに紹介してきた児童図書出版社です。

長編の児童読み物が刊行しにくい出版状況のなかにあって、書き下ろしの児童向け冒険小説を出版し、児童読み物をめざす新しい書き手の登場を応援しようとする、作家集団と出版社の挑戦でもありました。

「小学校高学年から読め、冒険心に満ち溢れた長編小説」という難しい条件から応募数こそ多くはありませんが、送られてくる作品の質は高く、これまでに「ふしぎ駄菓子屋 銭天堂」シリーズ（偕成社）の廣嶋玲子さん（第4回大賞受賞）、『給食アンサンブル』（光村図書出版）の如月かずささん（第7回大賞受賞）をはじめとする、数々の児童文学作家のデビューに結びついた実績を持つ児童文学賞です。

★ジュニア冒険小説大賞：https://www.iwasakishoten.co.jp/news/n10303.html

第18回ジュニア冒険小説大賞贈呈を開催

第18回ジュニア冒険小説大賞贈呈式が4月14日（金）、日本出版クラブ（東京都千代田区）において開催されました。
ジュニア冒険小説大賞は第18回を迎え、隔年開催になってから三度目。応募総数は119編で歴代二位の応募数となりました。新型コロナウイルス感染拡大防止のため、しばらく関係者のみでオンラインでの開催でしたが、今回は4年ぶりのリアル開催となりました。

 
【受賞者・受賞作品】
◎大賞：山下雅洋さん 「鈴の送り神修行ダイアリー」（※選考時のタイトルは「鈴の死神修行覚書」）
◎佳作：山羊とうこさん「幽霊メーコと命のひも」
◎佳作：戸川桜良さん「クマザサ森の小人のはなし」

左から選考委員の東野司さん、後藤みわこさん、受賞者の山下雅洋さん、山羊とうこさん

贈呈式では、選考委員の東野司さんより、大賞の山下雅洋さんに賞状と賞金20万円が、佳作の山羊とうこさんに賞状と副賞が贈られました。

 
＜第18回ジュニア冒険小説大賞 受賞者コメント（一部抜粋）＞

◆大賞：山下雅洋さん

9歳と6歳の我が子からもらった「自分が書きたいものを書いた時点で、その人はもう作家なんだよ」という一言に背中を押してもらって初めて書いた作品が、この世界に『本』としてうまれたこと、とても嬉しく思います。今回の受賞作品のテーマが「死を通して生を見つめる」なのですが、縁起でもないかもしれませんが、今際の際に「ああ、よく書いたなあ…」と人生を振り返りながら息を引き取れるように、これからも書き続けていきます。本当にありがとうございました。

◆佳作：山羊とうこさん

今回入選したことは本当にものすごく嬉しくて、受賞の連絡をいただいた時は、文字通り飛び上がって喜んでしまったのですが、まだまだ佳作ということで、いただいた選評しっかり自分の糧にして、慢心せずに、いずれ自分の本が出せるように精進して参ります。選考委員の先生方、岩崎書店のみなさん、本当にありがとうございました。

鈴の送り神修行ダイアリー 山下 雅洋 (著), 酒井 以 (イラスト) 中2の鈴は、夏休みに田舎で池に落ちて溺れてしまう。目覚めた場所は、「あわいの世界」。そこで送り神修行をした7日間の物語。

 
【関連】
▼ジュニア冒険小説大賞 – 株式会社岩崎書店