発想力、思考力、行動力――すべては好奇心から生まれる!緑慎也さん『13歳からのサイエンス』が刊行 ノーベル物理学賞・梶田隆章さんインタビュー「科学的に考えるとは」収録
緑慎也さん著『13歳からのサイエンス 理系の時代に必要な力をどうつけるか』がポプラ社より刊行されました。ノーベル物理学賞・梶田隆章さんインタビュー「科学的に考えるとは」も収録。
「これ、おもしろい!」が原点――科学コンテストの受賞者8名にみる好奇心の伸ばし方
2002年から始まった、スーパーサイエンスハイスクール(SSH)。狙いは科学技術分野で国際的に活躍する人材を育てること。その指定を受けた高校や中高一貫校(全国5000校のうち、2022年度の指定校は217校)は、既存の科目に縛られずにカリキュラムを編成できます。
本書に登場する学生・卒業生たちの多くは、SSHで学び、オリジナリティ溢れる研究で賞を獲得した若者たちです。彼らは、どのように科学に考える力を育んだのか。幼少期の経験まで遡り、そのヒントを探ります。
ノーベル物理学賞を受賞した梶田隆章さんと米テキサス大学オースティン校冠教授の鳥居啓子さんにも取材し、理系の時代に必要な力の育み方を考える一冊となっています。
<本書の目次>
1.落ち葉に裏向きが多い理由を探ったファンタジー小説好きの高校生
2.不登校を経て、世界初となる数学の証明に挑んだ高校生
3.曾祖父のために新聞の字を拡大できるアプリを開発した高校生
4.ゴミとして捨てられるおがくずで、断熱材を開発した6名の高校生チーム
5.数百万する装置を3万円で手作りし「火星の水」を研究した定時制高校の科学部
6.国際生物学オリンピックを経て、YouTubeでゲーム実況もする研究者
7.高校時代に麹菌を研究し、東大理学部からコンサルタントに転じた会社員
8.蚊に刺されやすい妹のために蚊を研究し、コロンビア大に進学した大学院生
9.科学的に考えるとは 東京大学宇宙線研究所教授 梶田隆章さん
10.好奇心の種がなければ、花も咲かない 米テキサス大学オースティン校冠教授 鳥居啓子さん
著者・緑慎也さんからのメッセージ
(あとがきより抜粋・編集)
仮説を立て、実験し、検証するのが科学の方法だ。それぞれの段階には様々な能力が求められる。仮説を立てるには、たとえば身の回りの出来事を注意深く観察して問いを見出し、問いを洗練させるため過去の文献を念入りに調べなければならない。実験では、仮説に白黒を付けられる条件を設定する構想力が、検証では、実験結果から導けないことは主張しない自制心が必要だ。
これらの能力を若いうちに身につけておけば将来、科学者になるときにはもちろん、そうでない場合にも役に立つ。スポーツ選手なら練習方法(仮説)を考え、練習して大会(実験)に出場し、その結果に応じて練習方法を改善(検証)する。ビジネスパースンならビジネスプラン(仮説)を立て、市場調査を経て製品・サービスを市場に投入(実験)し、その結果に応じて生産量の調整やマーケティング方法の変更(検証)に取り組む。いずれも科学の方法と基本は同じだ。
科学の方法は新たな発見をもたらす方法として発展してきた。どんなスポーツも、どんなビジネスも、他の人と同じことをやっても競争相手に勝つことはできない。だからこそ新しさが求められる分野で、科学の方法は特にその威力を発揮する。
書にご登場いただいた若者たちや、科学界の第一線で活躍する研究者たちの言葉が、読者の皆さんが科学の方法について考えるきっかけになれば幸いである。
著者プロフィール
著者の緑慎也(みどり・しんや)さんは、1976年生まれ。大阪出身、福岡育ち。サイエンスライター。出版社勤務を経て、フリーランスとして、週刊誌や月刊誌などにサイエンス記事を執筆。
著書に『認知症の新しい常識』『消えた伝説のサル ベンツ』、共著に『山中伸弥先生に、人生とiPS細胞について聞いてみた』など。
13歳からのサイエンス: 理系の時代に必要な力をどうつけるか (ポプラ新書) 緑 慎也 (著) 「これ、おもしろい!」が原点。 ノーベル物理学賞・梶田隆章氏インタビュー 曾祖父のために新聞の字を拡大できるアプリを開発したプログラミング好きの高校生、数百万する装置を3万円で手作りし「火星の水」を研究した定時制高校の科学部――オリジナリティ溢れる研究で賞を獲得した10代の若者たちは、どう好奇心を育み、新しい考えを形にしたのか。世界的に著名な研究者にも取材し、科学的に考える力の育み方を考える。 |
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