佐賀旭さん「第20回開高健ノンフィクション賞」受賞作『虚ろな革命家たち――連合赤軍 森恒夫の足跡をたどって』が刊行
山岳ベース事件、あさま山荘事件から50年の2022年ーー連合赤軍リーダー森恒夫の足跡を丁寧に追い、第20回開高健ノンフィクション賞を史上最年少で受賞した佐賀旭さんの受賞作『虚ろな革命家たち――連合赤軍 森恒夫の足跡(そくせき)をたどって』が集英社より刊行されました。
「連合赤軍事件とは何だったのか」を若き著者が見つめなおす、第20回開高健ノンフィクション賞受賞作『虚ろな革命家たち――連合赤軍 森恒夫の足跡をたどって』
大学院で学生運動について研究していた著者は、ある手紙に出合います。父から子への想いが綴られたその手紙は、12人の同志を殺害した連合赤軍リーダー森恒夫によるものでした。残酷な事件を起こした犯人像と、手紙から受ける印象が結びつかない筆者は、森恒夫の足跡を追い……。
なぜ森恒夫は日本に革命を起こそうとしたのか、なぜ同志を殺害したのか、そしてなぜ自ら命を絶ったのか……。
その答えを求め、森の高校時代の同級生、北朝鮮に渡った大学時代の後輩、「総括」を生き延びた連合赤軍の元メンバー、よど号ハイジャック事件実行犯の一人・若林盛亮らと対話します。
山岳ベース事件とあさま山荘事件から50年。当時の「彼ら」と同年代の若き著者が、「連合赤軍事件とは何だったのか」を求め、連合赤軍リーダー森恒夫の足跡をたるノンフィクション作品です。
【開高健ノンフィクション賞選考委員、絶賛!】
(選評より・五十音順)
◆「脱」というより、「没」政治化(a-political)が極限まで進んでしまった現代日本の若者にとって何を意味するのか。この困難な問題に「平成」生まれの30歳になったばかりのフリーランスライターが挑戦している点で出色である。――姜尚中さん(東京大学名誉教授)
◆この作品の良さは、読む者に答えを示したことではなく、さらなる問いを投げかけたことだろう。――田中優子さん(法政大学名誉教授)
◆すべてを政治化することの危険性、不安と恐怖から湧き上がる防衛意識など、現代においても重要な問題を提示しているのだ。――藤沢周さん(芥川賞作家)
◆時代の「感触」は、このようにして人から人へと受け継がれていくのだろうか。ノンフィクションによる「経験の伝承」という視点からも素晴らしい作品と言えよう。――茂木健一郎さん(脳科学者)
◆今年30歳になる筆者が同世代の若者に対して、なぜ政治的なイシューを共有できないのかと向ける切実な問いかけだ。――森達也さん(映画監督・作家)
著者プロフィール
著者の佐賀旭(さが・あさひ)さんは、1992年生まれ、静岡県静岡市出身。浜松市で育つ。明治大学情報コミュニケーション学部卒業後、早稲田大学大学院政治学研究科政治学専攻ジャーナリズムコース修了。
日刊現代入社後、ニュース編集部で事件や政治分野を担当する。2019年退社。以降『週刊現代』『週刊朝日』を中心に、記者として活動している。
開高健ノンフィクション賞について
開高健ノンフィクション賞は、日本のノンフィクション文学に大きな足跡を残した作家・開高健さんを記念して創設された公募の文学賞です。集英社と一橋綜合財団が主催し、受賞者には賞金300万円(単行本化の際は別途印税)が贈られます。
従来の枠にとらわれない、広いジャンル、自由なものの見方・方法によるノンフィクション作品を募っています。
虚ろな革命家たち ──連合赤軍 森恒夫の足跡をたどって 佐賀 旭 (著) ──誰だって、「彼」に成りうるのかもしれない。 |
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