生まれ育った場所だけが「ふるさと」ですか? 浅田次郎さん5年ぶりとなる現代小説『母の待つ里』が刊行
浅田次郎さんのじつに5年ぶりとなる現代小説『母の待つ里』が新潮社より1月26日に刊行されます。
読めば大切な人に今すぐ会いたくなる? 中井貴一さん、隈研吾さんが共感!
故郷も家庭もない東京に住む還暦世代の三人の男女。ある日、独り暮しの彼らの元に「理想のふるさとへの招待」が舞い込んだ。半信半疑で向かった東北のある村落には、お国訛りで温かく迎えてくれる母、かつての同級生、先祖代々の墓が待っていた。この「不思議なふるさと」の存在が彼らの人生への見方を少しずつ変えていく……
読者の意表をつく設定を舞台に、家族も帰る場所も持たないリタイア年代の「おひとりさま」たちを魅了する新しい故郷の形、母の抱く無限の愛情とその人生、細りゆく山村と最先端ビジネスの組合せなど、多彩な魅力を巧みに織り上げられた本書は、ぐいぐい引き込まれますが結末はまったく読めず、すべてが明らかになるラストでは落涙必至です。
【あらすじ】
上京して40年、一度も帰ろうとしなかった故郷で私を温かく迎えてくれたのは、名前も知らない母でした――。
家庭も故郷持たない人々のもとに舞い込んだ「理想のふるさと」への招待。半信半疑で向かった先には奇跡の出会いが待っていた!雪のように降り積もる感動、新しい浅田文学の名作誕生!
「70歳を迎えて、新しい視野が開けた」と語る浅田さん。ますます脂の乗ったストーリーテリングの技と、そこに潜ませたリアルに現代を映し出す批評眼を是非お楽しみください。大切な人に今すぐ会いたくなる、コロナ禍を耐えてきた全ての人々への浅田次郎さんからの贈り物です。
<著者からのメッセージ>
都会に生まれ育った私にはふるさとがありません。家はビルの谷間に沈み、風景は様変わりし、幼なじみもちりぢりになってしまいました。このごろになってその事実がとても虚しく淋しく思えます。
そしてもうひとつ、人間は豊かな自然とともに生きてこそ、幸福なのだと知りました。だとすると、現代社会は自然から不自然へと急速に傾斜しているのではないかと思うのです。
私は60歳を過ぎ、社会の中心から外れていくにつれ、それまで見えなかったものが見えるようになりました。私の住んでいる場所は、日本は、こういうところだったのか、と意外な発見がたくさんありました。
『母の待つ里』は、そうした私なりの疑念や発見を、面白い小説に仕上げたものです。
コロナ禍で大切な人に会えなかったあなたに、ぜひ、ゆったり楽しく読んで頂きたいと思います。
(浅田次郎)
★特設サイト:https://www.shinchosha.co.jp/special/hahanomatsusato/
<著名人からの推薦コメント>
◆中井貴一さん(俳優)
デジタル優先の現代、
愚直に人生を積み上げてきた者たちが求める心の原風景とはなにか?
身につまされる物語
◆隈研吾さん(建築家)
フィクションでもかまわない、
だまされていてもいいから、「ふるさと」が欲しい。
そう望まずにいられないほどの現代日本の「ふるさと喪失」の深さに、涙せずにいられない。
著者プロフィール
浅田次郎(あさだ・じろう)さんは、1951年生まれ。東京都出身。1995年『地下鉄(メトロ)に乗って』で第16回吉川英治文学新人賞を受賞。以降、『鉄道員(ぽっぽや)』で1997年に第117回直木賞、2000年『壬生義士伝』で第13回柴田錬三郎賞、2006年『お腹(はら)召しませ』で第1回中央公論文芸賞・第10回司馬遼太郎賞、2008年『中原の虹』で第42回吉川英治文学賞、2010年『終わらざる夏』で第64回毎日出版文化賞、2016年『帰郷』で第43回大佛次郎賞を受賞するなど数々の文学賞に輝く。また旺盛な執筆活動とその功績により、2015年に紫綬褒章を受章、2019年に第67回菊池寛賞を受賞している。
他の著書に『プリズンホテル』『天切り松 闇がたり』『蒼穹の昴』のシリーズや、『憑神』『赤猫異聞』『一路』『神坐す山の物語』『ブラック オア ホワイト』『わが心のジェニファー』『おもかげ』『長く高い壁 The Great Wall』『大名倒産』『流人道中記』など多数。2011年から6年にわたり、第16代日本ペンクラブ会長も務めている。
母の待つ里 浅田 次郎 (著) 上京して四十年。初めて帰郷する私を暖かく迎えたのは、見知らぬ〈母〉だった――新しい家族とふるさとの形を描く、感動の最新長篇! |
【関連】
▼『母の待つ里』浅田次郎著 特設サイト | 新潮社
◆【第18回小説現代長編新人賞】桜井真城さん「転びて神は、眼の中に」が受賞 | 本のページ
◆島崎遥香さん初エッセイ『ぱるるのおひとりさま論』刊行記念サイン本お渡し会を開催 | 本のページ
◆ターシャ・テューダーに影響された12人の暮らしを紹介!『私たちの「ターシャ」を探して』が刊行 | 本のページ
◆人気作詞家からエッセイストへ難病を得て転身――麻生圭子さん『66歳、家も人生もリノベーション』が刊行 | 本のページ