NHK子ども科学電話相談でおなじみ、 田中康平さん初の書き下ろしエッセイ『恐竜学者は止まらない! 読み解け、卵化石ミステリー』が刊行 オンライントークイベントも開催!
田中康平さんの科学エッセイ『恐竜学者は止まらない!――読み解け、卵化石ミステリー』が、創元社より刊行されました。また、刊行を記念して、オンライントークイベント「丸くて硬くて面白い!卵化石への愛が、オンラインでも止まらない!」が8月27日に開催されます。
ダイナソー小林こと小林快次さん、作家・万城目学さん推薦! NHKラジオ「子ども科学電話相談」でおなじみの恐竜学者・田中康平さん、初の書き下ろしエッセイ
◆小林快次さん(北海道大学総合博物館教授)
「一流の恐竜研究者のレシピここにあり!恐竜から鳥へ引き継がれる命と進化に迫る!!」
◆万城目学さん(作家)
「卵が先か、恐竜が先か。恐竜研究の最前線の風景を日本語で真っ先に読める時代が来た!」
著者は恐竜の繁殖行動や子育ての研究を中心に、恐竜の進化や生態を研究する「恐竜学者」。本書は、恐竜学者を目指して北海道に旅立ち、カナダに留学した著者が、恐竜の謎を追い求め、モンゴル、中国、アメリカ、ウズベキスタンと世界を飛び回り、恐竜の行動・生態を解き明かすべく奮闘し続けた青春の日々と現在の研究を、ユーモアを交えて語る、サイエンス・エッセイです。
恐竜学者って、毎日何をして過ごしているの? 研究はどうやって生まれて、完成するの?
地道な研究、世界を股にかけた学会のようす、あらゆる人種・世代の人々との異文化間コミュニケーション、知られざる恐竜学者の日常……。
ユーモアたっぷりにつづる、恐竜少年が恐竜学者になるまでの道のりは、サイエンス読み物としての面白さはもちろん、夢を叶える冒険物語さながら、ハラハラドキドキの連続。若き科学者の卵である子どもたちから、恐竜ファンの大人まで、楽しめる一冊です。
本書「はじめに」より
「恐竜研究をしていて、つらいと思ったことは何ですか?」
先日、ある中学校のクラスでお話しする機会があった。いろいろな職業の人に質問をぶつけ、生の声を聞いてみる授業だ。新型コロナウィルスの感染が広がる2020年、私はリモート会議で石川県の中学一年生に恐竜研究についてお話しした。画面の中で、生徒たちが礼儀正しく起立、礼、着席する。自然と私の背筋もピンと伸びた。
「つらいと思ったことはまったくありませんヨ。楽しいことならたくさんあります!」
私はそう答えた。未来ある中学生に話を盛っているわけでも、嘘を言っているわけでもない。恐竜研究をしていて、本当に楽しく、つらいと思ったことは一度もないのだ。
では、恐竜研究のどういうところが楽しいのか。本屋さんに行けば恐竜の本がたくさん並んでいるけれど、研究者の生の声を伝えた本は意外と少ない。研究はたいてい、成果しか取り上げられない。その過程にこそ、ドラマがあったりするのに。そこで本書は、恐竜研究がどうやって生まれ、完成するのか、私の研究を例にお話ししたいと思う。
恐竜研究の舞台裏――これは、私が子供の時の疑問でもあった。「大人になったら恐竜研究をするんだ」と勇み立ってみても、外国の砂漠で化石の発掘調査をしている様子以外、イメージが湧かない。そもそも研究者って、毎日いったい何をして過ごしているのだろう。これは、大いにナゾであった。当時、それに答えてくれる本はなかったし、そんな大人も私の周りにはいなかった。でも今なら恐竜研究者の日常について答えることができる。私自身の日常をお話しすればよいのだ。
自分の研究について講演すると、お客さんから「ほほー、まるで見てきたようなことを言いますね」とコメントをもらうことがある。ごもっともだ。タイムマシンを持っていない以上、生きた恐竜を見に行くことはできない。研究者の言っていることが100%正しいとは限らない。そこで私は「研究のすえ、現段階でこれがもっともらしい仮説なのです」と答えることになる。どうしてそういう結論に行き着いたのか。それをお見せするのが本書である。第1章だけは導入として私自身の経験が話の中心だけれど、それ以降の章は研究そのものが主役だ。
出典(「はじめに」一部抜粋)
本書の構成
はじめに
第1章 さあ、カナダで恐竜研究を始めよう!
1 ジャックポット! /2 卵化石研究との出会い/3 カナダにやってきた! /4 卵殻研究プロジェクト、始動! /5 卵殻化石を研究しよう/6 別れは突然に/7 黄金色の光が降り注ぐ
第2章 読み解け、化石からの伝言
1 パンクな生活が始まる/2 恐竜の抱卵をめぐるナゾ/3 ティレル博物館のバックヤードに潜入! /4 魔法の値、卵殻のガスコンダクタンスとは? /5 ガスコンダクタンス研究に穴あり! /6 混ぜるな危険!
第3章 イクメン恐竜は卵を抱いたか?
1 いざ、卵殻のナゾを探る旅へ! /2 今度はアメリカ東海岸へ! /3 行くぜ、ハーバード大学とイェール大学! /4 最後は日本の動物園へ! /5 卵殻の間隙率を測定せよ! /6 卵殻の間隙率を比較せよ! /7 いざ、米国古脊椎動物学会へ! /8 ストレーレンの予言
第4章 中国、恐竜化石ミステリーツアーへようこそ
1 ジュンチャン・ルー博士からのメール/2 中国へようこそ/3 卵化石の調査を開始! /4 卵化石研究者の楽園/5 世界最大の恐竜クラッチ化石/6 卵どろぼうの歴史/7 卵どろぼうのその後/8 開かずの扉が開く
第5章 ゴビ砂漠の集団営巣のナゾを追え!
1 アジア恐竜研究の聖地、ゴビ砂漠へ/2 集団営巣跡を発見! /3 リモートワークを始めよう/4 自分の目で確かめないと納得できない/5 なにゆえ君は群れるのか/6 ついにK子さんの発見が日の目を見る
第6章 安楽椅子研究のススメ
1 YOUは何しに北極圏へ? /2 恐怖のキャンディデシー・イグザム/3 ベルリンの旅/4 安楽椅子研究の始まり/5 触れればつかめる/6 安楽椅子研究の終わりと春の始まり/7 日本で記者発表に挑む! /8 いざ、最終試験へ! /9 ラスト・ディフェンス・ラウンジ
第7章 恐竜学者は止まらない!
1 再びジャックポット! /2 新たな研究が始まる/3 世界最小の恐竜卵化石を発見! /4 恐竜たちの「生きる」をめぐるナゾ/5 謎解きはランチの後で/6 新たな恐竜化石を探して旅に出よう!
おわりに
オンライントークイベントも開催!
本書の刊行を記念して、著者・田中康平さんのオンライントークイベント「丸くて硬くて面白い!卵化石への愛が、オンラインでも止まらない!」が開催されます。
■日時:2021年8月27日(金) 19:00~20:30(オンライン開場18:30)
■定員:100名
■会場:オンラインのみ(zoomウェビナー機能)
※見逃し配信あり
■参加費:500円(税込)
■申込締切:2021年8月27日(金) 18:00
★チケット購入ページ:https://peatix.com/event/1972269/view
著者プロフィール
著者の田中康平(たなか・こうへい)さんは、1985年生まれ。名古屋市出身。2008年北海道大学理学部卒業。2017年カルガリー大学地球科学科修了。Ph.D。日本学術振興会特別研究員(名古屋大学博物館)を経て、現在、筑波大学生命環境系助教。恐竜の繁殖行動や子育ての研究を中心に、恐竜の進化や生態を研究している。恐竜の卵化石を探して、世界中を飛び回る。
主な著書に『まどあけずかん きょうりゅう』(共監修、2019年、小学館)、『恐竜の教科書』(共監訳、2019年、創元社)、『恐竜と古代の生き物図鑑』(監訳、2020年、創元社)、『いまさら恐竜入門』(監修、2020年、西東社)、『アメリカ自然史博物館 恐竜大図鑑』(監訳、2020年、化学同人)などがある。NHKラジオ「子ども科学電話相談」の回答者としても活躍中。
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