ローマ教皇の著書「LET US DREAM」日本語版『教皇フランシスコ コロナの世界を生きる』が刊行
PHP研究所より、『教皇フランシスコ コロナの世界を生きる』(訳:早野依子さん)が刊行されました。
本書は、第266代ローマ教皇フランシスコが、伝記作家でジャーナリストのオースティン・アイヴァリーさんと対話を重ねながら執筆した著書『LET US DREAM』(2020年刊/サイモン&シュスター)の日本語翻訳版です。
『LET US DREAM』について
原著『LET US DREAM』執筆のきっかけは、ロックダウン真っ只中の2020年3月27日に発信された「ウルビ・エト・オルビ」です。ラテン語で「ローマと全世界へ」を意味するこの祝福が、クリスマスとイースター以外に行われるのは史上初のことでした。
コロナ禍で苦しむ人々のために捧げられた祈りとメッセージについて、もっと深く語りたいという教皇の強い意向もあって、異例の出版が実現しました。
教皇の著書とあって反響は大きく、ニューヨークタイムズのベストセラーにランク入り。世界中の注目を集めており、中国、スペイン、フランス、インドなど、これまでに20ヵ国で出版されています。
教皇が思い描く「コロナ後」
異例の祝福「ウルビ・エト・オルビ」で、雨の中たった一人で祈りを捧げる教皇フランシスコの姿は、見守る人々に感動を与えました。その時も、本書でも、教皇は「コロナ禍の今こそ、これまでの自己中心的な価値観を見直し、より安全で健全な世界を生み出しましょう」と世界中の人々に語りかけています。
「今は審判のときです。(中略)自らの心が試されると、人は何が自分たちを抑圧してきたのかを意識するようになります。そして、民の叫びに必ずお応えになる、心強い神の存在を認識します。苦難との遭遇は、新しい未来への扉を開くのです。」
(本書「プロローグ」より)
戦争や貧困、自然破壊など、コロナ以前の世界も、決して完璧とはいえないものでした。それなのに「今までどおりの生活に戻る」と思い込んで生きることに、教皇フランシスコは警鐘を鳴らします。
本書では、ロックダウンした目の前の光景は「新しい時代の始まりだ」と繰り返し説き、より良い未来への道筋を示します。人生観を変えた闘病体験、医療従事者や難民に向ける眼差しから、メディアのあり方や教会の役割まで、教皇自身の言葉で率直に語られる貴重な著書です。
日本語翻訳版について――教皇フランシスコのメッセージ
◆今こそ、大きな夢を見るべきときです。自分が何に価値を置くか、何を欲するか、何を求めるかといった優先順位を見直し、自ら描いた夢の実現のために日常の中で力を尽くすのです。
◆私たちは、コロナ禍以前の政治や経済システムによってもたらされる、偽りの安定に戻るわけにはいきません。
◆私たちの成長、現実との繋がり、そして精霊の行動を阻むものについて警告したいと思います。即ち、「自分本位」「虚脱感」「厭世主義」です。
◆危機は大体いつでも、自分を見失った末にやってきます。そして自分たちのルーツを思い返すと、前に進むための道は見えてくるのです。
◆私たちの最も偉大な力は、他者から尊重されることではなく、自分が他者に尽くすことです。
教皇フランシスコ プロフィール
ホルヘ・マリオ・ベルゴリオは、1936年12月17日、イタリア系移民の息子として、アルゼンチンのブエノスアイレスに誕生した。
1969年にイエズス会の司祭に叙階され、1973年には管区長に、1980年にはブエノスアイレスのコレヒオ・マクシモ(Colegio Maximo)の院長に任命された。1992年には司教に任命され、1998年にはブエノスアイレス大司教となり、2001年には枢機卿に任命された。そして2013年3月、第266代ローマ教皇に選出された。
教皇フランシスコ コロナの世界を生きる 教皇フランシスコ (著), 早野 依子 (翻訳) 『ニューヨーク・タイムズ』ベストセラー。全世界で発売されて話題沸騰。 歴代法王初の「フランシスコ」という名は、清貧に徹して中世のカトリック界を刷新したアッシジのフランチェスコに由来する。出身地ブエノスアイレスでも公用車に乗らずに公共機関を利用し、自炊をし、質素な暮らしを守り、いつも貧しい人の側に立っていたという法王にふさわしい。ユーモアを忘れずシンプルに率直にものを言う教皇フランシスコは、同時に、徹底的に弱者の側に立ち、どんな権力者にも忖度しない姿勢が世界中で人気を得ている理由だろう。 |